tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本の国債が紙屑になる条件(3)政治の部

2020年12月12日 16時16分26秒 | 政治
 日本の国債が紙屑になる可能性があるかどうか、累増する国債残高とそれで得た金を無駄遣いしていないか、財政収支の面から見て来ました、データ不足で解らないことも多いのですが、容易に金が入れば無駄遣いも多くなるし、カネの使い道を国民に知られたくないという気持ちも強くなることは矢張りあるようです。

 民主主義がポピュリズム化して、カネのバラマキで票が取れるという事になると、つい、財政規律を破壊しても金を使いたくなるのが人情でしょうか。
 アベノミクス以来の政治が、自ら「国債紙屑」路線を走り始めていないか、今回は政治の面から検討してみましょう。

 安倍さんが病気との理由で政権を菅さんに任せてから、桜を見る会の資金収支の辻褄が合わなくなりました。

 民主主義が機能する社会であれば、国民への説明もなしにこうした杜撰な財政管理をするような政権に対しては「ノー」が突き付けられ、国民の声を尊重する姿勢を示す政党が政権を取るのでしょう。

 しかし日本の場合はいわゆる一強多弱で、正面切って自民党に代われる政党がありません。そして自民党に取り入って与党の一角に入ろうとするなどいろいろですが、右から中道まで何とかまとめる自民党に対し、野党は、少しの違いを誇大視し、離合集散を繰り返す 狭量の党に成り下がっています。

 結局選挙をすれば自民党中心の与党連合が絶対多数を握り、強行採決でやりたいことをやるといった構図になっているようです。
 前回の選挙でもそうでしたが、自民党は、賢くそのタイミングを計ってきているようです。

 特に安倍政権になってからは、 田中角栄の予言が当たったのでしょうか、それまでの柔軟性を持った自民党とはだいぶ違った、歴史から学んでいないと思われるような強硬路線を時に国民を欺きながら進める様相が見えます。

 そして困ったことに、 官邸に人事を握られた官僚が、「忖度」などという難しい言葉を流行語にしてしまうような、国民の為ならぬ、政権の為のような態度に簡単にさせられてしまっていることです。
 昇進や昇給がそれほどまでに魅力的なのか、国民の為に立派な行政をやることが真の人間の価値を高めることなどという矜持は殆ど頭から消え去っているようです。

 そして恐ろしいと思うのは、こうして権力を握ることが、権力を握った人をどんどん劣化させ腐敗させるという事でしょう。
 「権力は腐敗する」何千年の歴史の中で生まれ、今も生き残っている諺ですから、初心は「自分が権力を握ったら、世のため人のために役に立つことをしよう」と思っていても、時と共に変わっていくというのが現実なのでしょう。

 世の独裁者はほとんど皆、最初は正義感から出発しているのではないでしょうか。
 リーダーになるものは、古今東西の歴史を、まさに 総合的、俯瞰的に学び、いかなるリーダーが優れた業績を残し、いかなるリーダーが悲劇的な結末を迎えたかを十分に理解し、国民との対話を常に尊重しつつ政権を運営して欲しいと思う所です。

 そして表題に帰って付け加えなければならないことは、今の野党の在り方では、自民党政権を長持ちさせ、腐敗を助長するだけではないか 、結果は財政の在り方についての規律が失われるだけでなく政治そのものの規律が失われ、(独裁にインフレはつきもののようです)政治の破綻が「国債紙屑」を齎す可能性が、時間と共に大きくなるという事ではないでしょうか。