tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

累積する赤字財政は何処に行くのか(3)

2020年12月04日 22時16分20秒 | 経済
蓄積社会の進展とも関係あるようです
 前回は、日本のGDPと国債発行残高、その内、日銀が保有するものの3者をグラフにしてみました。
 そこから見えてきたことは、政府としてこの膨大な借金を返済するといった.ことはとてもできないだろうという事でした。

 この現実を前提に、そうした現状にも拘らず、日本では、誰もが国債はきちんと金利は払われ、元本保証で、最も安心できる資産だと考えているというのが現実です。

 理由ははっきりとはわかりませんが、個人貯蓄に占める国債等債券は3%未満で、普通預金などは30%ですから、通常の資金繰りは銀行預金で済ませ、国債安定資産として保有することで済んでいるのでしょう。

歴史的にも銀行で取り付け騒ぎなどが起きるのは、誰かがあらぬ噂を流し、大衆がそれ信じて銀行から金を下ろし、大騒動になるという事のようです。

 しかし、今はすべてが信用通貨ですから、国債を1万円札に替えれば日銀が1万円札を印刷するだけで、特に大騒ぎするようなことは起きないでしょう。
お札を持っているよりも銀行に個人国債の勘定を持っていた方がペイオフもなし、泥棒に入られる危険もなく、資産管理としては余程安全なのです。

 こうしたシステムはすべて蓄積社会に対応するように作られているのは明らかで、GDPの3倍を超える個人貯蓄があるような蓄積社会では証券や債券の現金化の要求は極めて少なく、国債も紙幣も政府、日銀の借金証書ですし、デジタル社会では流動性預金が現金と同じという事になっているのです。

 その意味では巨大な蓄積社会の日本で、国債の90%以上を日本人が持っている状態の下で、外国の影響は少なく、国内インフレも小さいという事になりますと、国債は、政府にとっては借金とはいえ、国民にとっては蓄積資産の最も確実な保有の形態として利用される可能性は高いという事でしょう。

 銀行システムが確りしている限り、銀行預金も極めて安全な資産保有の手段ですが、リターンより安全を優先するならばペイオフのない国債は国民にとって最も確実な資産保有手段なのです。

 ですから、今回のコロナ問題で数十兆円の国際が発行されても、誰も心配していません。それだけ円の価値を信用している、国債の価値も信用しているということでしょう。

 日銀保有の国債は急増していますが、それを心配する人もあまりないようです。
 この辺りは改めて論じることになると思いますが、国の今年度決算の半分以上が国債という借金で賄われても政府は平然、国民も「もっと補助金が欲しい」というわけです。

 それでも日本経済は大丈夫だと政府は太鼓判、国民もそれを信用しています。信用しているうちは、特に問題は起きないという事のようです。
 ではなぜ信用できるのでしょうか*?