tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米・欧、利下げへ、日銀どうする

2019年07月31日 23時21分59秒 | 経済
米・欧、利下げへ、日銀どうする
 トランプ大統領は、強烈に利下げを望んでいるようです。FOMC(金融政策決定会合)に向けて、今回は大幅に下げろと発言しているとのことです。

 ダウ平均が史上最高を記録するアメリカ経済ですが、今回の対中貿易摩擦で株価もちょっと振るいません。トランプさんの頭の中は、殆ど来年の大統領選挙で占められているのでしょうから、経済成長率や、株価、雇用の増加といった数字が低くなることは何としてでも避けたいというのでしょう。

 トランプさんにかかっては「中央銀行の独立性」等という言葉は意味を持たず、アメリカ経済や雇用の数字、選挙に向けては何としてでも良くなければならないのでしょう。
 
 世界の中央銀行が注目するのは、アメリカの利下げでドル安の進行がどの程度になるかということになるのでしょう。
 ECBも、利下げと量的緩和の両方を、夏休み明けには考えていると伝えられています。

 アメリカの場合は、これまでいわゆるテーパリングで金利を引き上げてきました。いま2.5%が政策金利です。
 トランプさんは自分のとった対中関税政策などで、経済が減速という見方をよそに、「こんなに金利を上げなければ、経済はもっと良くなった」といているそうです。

 日本では、日銀も当然、対応する政策方針を言わなければならないのですが、先日の金融政策決定会合では、現状の異次元金融緩和の継続という方針でした。
 日銀の場合は、異次元金融緩和のやりっ放しで来ていますから、これ以上打つ手はないというのが本音でしょう。もし円高になるようなことがあれば、即座に手を打つといったコメントを出すことですましています。

 結局は円高になったら、手を打つということで、国際投機資本が円高にしないように予防線を張るしかなかったという事でしょうか。

 アメリカが貿易摩擦(実体経済の問題)を金融緩和で切り抜けようとすることが、本来経済政策を歪めているのですが、それによって、為替レートがドル安に動けば、世界中が迷惑します。EUはユーロ高を避けようとしますし、日本は円高になればアベノミクスもアウトでしょう。

 バーナンキさんが、リーマンショックを世界金融恐慌にしないためにやった金融緩和政策は、それなりの合理性もあったでしょう。日本は、遅ればせながらそれを真似た異次元金融緩和で、$1=¥80を$1=¥120に戻しました。

 しかし実体経済が安定した経常黒字国ですから、何時円高になるか不安で、異次元緩和がやめられません。そこで出てきたアメリカの利下げです。
 そろそろ日本の政策当局も、金融頼みではなく、実体経済を適正化(経常黒字減らし)することで円高を防止するといった本来の経済政策を考える時が来ているのではないでしょうか。