tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプさん、自分の首を締める?

2018年10月26日 14時20分14秒 | 国際経済
トランプさん、自分の首を締める?
 どう見ても暴走気味のトランプ大統領ですが、何を目指して走っているのでしょうか。
 「アメリカ・ファースト」、「アメリカを再び偉大な国に」と選挙で公約しているのですが、このところ何かあちこちで馬脚が現れてきているように思われます。

 NAFTAの衣替えは、いわばご近所同士のお付き合いというところかもしれませんが、対中国という事で、世界の第1位と第2位の経済大国がガチンコの衝突となりますと、これは、世界経済にも大きな影響を及ぼします。

 もともとトランプさんの発想は単純で、「移民が大勢入ってきて、アメリカ経済を蚕食し、お蔭で競争力がなくなって、ラストベルトなどと言われる地帯が出来てしまった。これは外国に親切にし過ぎたせいだから、これからは、世界のためのアメリカではなく、アメリカのためのアメリカとなり「アメリカの繁栄」を考えるべきだ」という事でしょう。

 ラストベルトの繁栄を取り戻すというのが目玉なのかもしれませんが、そのためには政治的には国境を厳しくし、経済的には関税で輸入を防げばいいだろうという程度の着想だったようです。

 しかし、多少昨今の世界経済情勢を理解している人ならば、それで巧く行くはずはないと解っているのではないでしょうか。
 アメリカの企業自体が、中国をはじめ世界中に展開して仕事をしているのです。GMからアップルまで、中国で仕事をし、稼いでいるのに、中国との経済関係を悪くしても、アメリカさえよくなれば、と考えているのがトランプさんなのです。

 そんなに巧く行かないのですよ、という事がこの所現実になって来たのでしょうか、トランプ景気で上がっていたダウ平均も現実が解れば下がらざるを得ません。
 そのトバッチリは日本にも来て東証も大変です。日本はそんなに悪くないのですよと言っても、国際投機資本は儲けやすいところで稼ぐわけで、日経平均はアメリカよりも振れ幅が大きくなっているようです。

 現に中国の実体経済には成長率低下という形で、悪化の兆しが見えるようで、そうなりますと、事はゲームの域を越えて、中国もアメリカも、共に傷つく「トランプ・ショック」になりかねません。
 
 経済の大敵は先が見えない不確実性です。何を言い出すか解らないトランプさんは、アメリカを偉大にしようとして、結果的にはアメリカ経済をさらに駄目にし、自分の首も締めることになるのではないでしょうか。

 その余波が大きくなって トランプ・ショックで世界経済が混乱するようなことににならないことを願っていますが、それは、アメリカ国民が現状をどう判断するか (正しく判断することが出来るかどうか) にかかっているという事になるのでしょう。