tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費増税分は全額社会保障へ:税・社会保障一体改革の理念追求

2018年10月15日 17時04分14秒 | 政治
消費増税分は全額社会保障へ:税・社会保障一体改革の理念追求
 8%から10%への消費税増税もあと1年弱に迫りました。安倍さんはもうこれ以上先伸ばしは出来ないという状況で準備に入る気になったようですが、増税で人気が落ちるのが矢張り怖いのでしょう、影響を小さくすることばかりお考えのようです。

 もともと、公明党の主張に従って、生活必需品などについては「軽減税率」を適用するという方針のようですが、今回は小規模店舗のキャッシュレス決済について消費者に2%還元すれば、その費用を補助するのだそうです。

 キャッシュレスというのは店にとって便利でコスト削減になるから値引きをするので、なぜ政府がその費用を負担するのか良く解りません。
 以前からコンビニ弁当を持ち帰れば税率は8%、中で食べれば10%、何で違うか解らないなどと言われたりしていますが、解りにくさは税金の大敵です。

 こうした訳の分からないことが起きるのも、「軽減税率」という当然に不規則性が含まれることになるものを、人気取りのために持ち込もうとすることが根本原因なのです。

 本来、税と社会保障の一体改革の理念は、消費増税分はもっぱら社会保障に使うという事だったはずです。
 これは極めて重要なことで、格差社会化を防止し、 資本主義の中身をより良いものにするための知恵の一環だからこそ国民も受け入れるのでしょう。

 勿論、格差は社会化の阻止のためには、所得税の累進税率の在り方や、相続税の在り方など種々の方法はありますが、消費税(国際的には付加価値税といったほうがいいでしょう)は誰にも非常に解り易く、負担はある意味で一律公平というメリットがあります。

一部に消費税は逆進的という意見もあります。しかしそれは消費税の使途、使い方次第で、解決できる問題です。
国民にとって、消費増税分を全て社会保障の財源にするという理念は納得性もあり、税収増とそれによる社会保障の充実の関係が国民に解り易く説明できるという素晴らしい特性を持っているのです。

 折角こうした特徴を持つ消費税の導入であるのに拘わらず、わざわざ税収の総額をわかりにくくし、ビジネスの現場を混乱させ、余計なコストをかけ、結果的に税収を減らして、社会保障充実の原資を少なくするのが軽減税率です。

 こうした政策を取るのも、与党として、消費税増税で人気を落とすことを少しでも食い止めようという、まさに姑息な思考回路によるものでしょう。
 でなければ、税収の計算をわかりにくくし、全額社会保障という公約への違反を、国民に解りにくくするためでしょうか(小規模店舗への補助の財源は何処から?)。

 取るべきものはきちんと取り、2%の増税でこれこれの増収(国民所得統計の消費支出に2%を掛ければ誰でも計算できます。)になりますから、それを全額社会保障の改善に「このように」使いますと、解り易く国民に説明してほしいと思います。

ついでに、増収分は全部政府が社会保障支出として使いますから、その分家計の負担(医療、年金、介護、育児、公教育などへの支出)は軽減され、 経済には±0で、悪影響はありませんという説明でも付け加えたらどうでしょうか。

 先ずはキチンと財政再建への一歩を踏み出すこと、そして日本の社会をより健全で暮らしやすくするための消費税増税だという事を国民に解り易く説明して、国民がそれならやって下さいというような状況を作り出すことが先決でしょうか。