連合、日本経済の現状を憂う2019春闘構想発表
先週10月18日、連合は来春闘に向けての基本構想を発表しました。
2013年の日銀の新政策による異常な円高是正以来、終焉したと言われた春闘が復活、次第にその形を明確にしてきました。
今年はその形が一段と明確になったように感じられます。
春闘と言えば、賃上げ闘争で、労働組合が掲げるのは「賃上げ」だというのが一般的ですが、日本の連合の考え方は些か違うのです。
「政労使」というのは国の運営に関わる3大主体ですが、多くの国では、「政府」が国全体を考え、「使用者」は企業の利益を考え、「労働組合」は賃金の引き上げを考えるというのが常識的な理解ですが、日本の場合はそういう段階を卒業し、「政労使」で日本の経済社会をいかなる形に作り上げるかを「春闘」で論じようという、「年に一度の全国的学習集会」に発展してきていました。
これは第一次オイルショックの失敗を経験した結果、日本の「政労使」が到達した新たな次元でした。
その後オランダが政労使のワッセナー合意などを実現し、こうした新次元の「政労使関係」が更に発展するかと思われましたが、なかなかそうはいきません。
日本ではその後「 プラザ合意」による急激な円高があり、平成という長期不況の時代に突入し、見通しを誤った政府は為す術を知らず、労使は、この円高不況のもとでのサバイバルで手一杯、前向きの議論などをする余裕はなく「春闘は終わった」と言われたのです。
2013年以降の円高解消で、ようやく「日本経済・社会の将来」について労使の話し合いもできる環境になって来年で6年目でしょうか、連合の意識は、長期不況で歪みにゆがんだ産業社会の状況を、立て直し、健全な経済成長路線の実現と安定した快適な社会の実現を目指しているように思われます。
この間労使にとって迷惑だったのが、環境整備をすべき政府が本来自分の役割でない「 賃上げ奨励」に走ったことでしょう。
昨年の今頃、連合は2018春闘の基本構想を出し、その中で賃上げ2%以上を打ち出しました。ところが後から政府が3%賃上げを言い出し、大迷惑だったでしょう。
政府はインフレにしたかったのでしょうが(2%インフレターゲット)連合は、日本経済の現状を考えれば、経済成長(正確には日本経済の生産性向上)に見合う賃上げは2%程度と踏んでいたのでしょう。これは客観的に見ても 経済整合性のある数字です。
賃上げは経済成長の成果の配分です。先に賃上げをしてしまいますと、経済はインフレ傾向になり、引き締め→不況の可能性が出てきます。
連合の2%以上という表現はその辺りを確り読んで、持続的な安定成長を視野に入れた発言でしょう。これは経済運営の責任持つ立場からの発言です。
今年は、昨年の様な事にならないよう、賃上げの%は今の段階では掲げていません。その代わり、日本社会の格差社会化の阻止を重要な力点としています。
以前から述べている、「サプライチェーン全体への付加価値の均等な配分」の徹底です。表現は「取引の適正化」です。
これは言い換えれば、生産性を上げたところに適正に付加価値が配分されるという考え方でしょう。生産性を上げたが納入先から値引き要求があり、生産性向上分の付加価値は納入先に移転してしまったということが無いようにしたいという事でしょう。
これこそ政府が「下請取引適正化法」などできちんとやるべき問題です。
日本の政府も経営者も、未だ長期不況の悪夢から醒めきっていないところもあるようですが、極めてまともな論陣を張る連合の様な労組組織を持ったことを、日本の政府も使用者(経営者)も感謝すべきかもしれません。
春闘についてはまた折に触れ取り上げたいと思っています。
先週10月18日、連合は来春闘に向けての基本構想を発表しました。
2013年の日銀の新政策による異常な円高是正以来、終焉したと言われた春闘が復活、次第にその形を明確にしてきました。
今年はその形が一段と明確になったように感じられます。
春闘と言えば、賃上げ闘争で、労働組合が掲げるのは「賃上げ」だというのが一般的ですが、日本の連合の考え方は些か違うのです。
「政労使」というのは国の運営に関わる3大主体ですが、多くの国では、「政府」が国全体を考え、「使用者」は企業の利益を考え、「労働組合」は賃金の引き上げを考えるというのが常識的な理解ですが、日本の場合はそういう段階を卒業し、「政労使」で日本の経済社会をいかなる形に作り上げるかを「春闘」で論じようという、「年に一度の全国的学習集会」に発展してきていました。
これは第一次オイルショックの失敗を経験した結果、日本の「政労使」が到達した新たな次元でした。
その後オランダが政労使のワッセナー合意などを実現し、こうした新次元の「政労使関係」が更に発展するかと思われましたが、なかなかそうはいきません。
日本ではその後「 プラザ合意」による急激な円高があり、平成という長期不況の時代に突入し、見通しを誤った政府は為す術を知らず、労使は、この円高不況のもとでのサバイバルで手一杯、前向きの議論などをする余裕はなく「春闘は終わった」と言われたのです。
2013年以降の円高解消で、ようやく「日本経済・社会の将来」について労使の話し合いもできる環境になって来年で6年目でしょうか、連合の意識は、長期不況で歪みにゆがんだ産業社会の状況を、立て直し、健全な経済成長路線の実現と安定した快適な社会の実現を目指しているように思われます。
この間労使にとって迷惑だったのが、環境整備をすべき政府が本来自分の役割でない「 賃上げ奨励」に走ったことでしょう。
昨年の今頃、連合は2018春闘の基本構想を出し、その中で賃上げ2%以上を打ち出しました。ところが後から政府が3%賃上げを言い出し、大迷惑だったでしょう。
政府はインフレにしたかったのでしょうが(2%インフレターゲット)連合は、日本経済の現状を考えれば、経済成長(正確には日本経済の生産性向上)に見合う賃上げは2%程度と踏んでいたのでしょう。これは客観的に見ても 経済整合性のある数字です。
賃上げは経済成長の成果の配分です。先に賃上げをしてしまいますと、経済はインフレ傾向になり、引き締め→不況の可能性が出てきます。
連合の2%以上という表現はその辺りを確り読んで、持続的な安定成長を視野に入れた発言でしょう。これは経済運営の責任持つ立場からの発言です。
今年は、昨年の様な事にならないよう、賃上げの%は今の段階では掲げていません。その代わり、日本社会の格差社会化の阻止を重要な力点としています。
以前から述べている、「サプライチェーン全体への付加価値の均等な配分」の徹底です。表現は「取引の適正化」です。
これは言い換えれば、生産性を上げたところに適正に付加価値が配分されるという考え方でしょう。生産性を上げたが納入先から値引き要求があり、生産性向上分の付加価値は納入先に移転してしまったということが無いようにしたいという事でしょう。
これこそ政府が「下請取引適正化法」などできちんとやるべき問題です。
日本の政府も経営者も、未だ長期不況の悪夢から醒めきっていないところもあるようですが、極めてまともな論陣を張る連合の様な労組組織を持ったことを、日本の政府も使用者(経営者)も感謝すべきかもしれません。
春闘についてはまた折に触れ取り上げたいと思っています。