tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融システムの劣化ではないのか

2016年07月14日 11時29分22秒 | 経済
金融システムの劣化ではないのか
 三菱UFJ銀行が国債市場特別参加者の資格を返上するというニュースがありました。国債を買うことにメリットがないということでしょう。

 銀行員の方にお聞きしたら、国債利回りはマイナス、日銀はマイナス金利導入、市中の資金需要はない、銀行は他社の保険や年金プランを売って手数料稼ぎですとのこと(多少自嘲的に)。

 この2月に「 マイナス金利の功罪」シリーズを書きましたが、マイナス金利というのは基本的におカネの価値の否定です。「役に立たないものを預かるのだから手数料を戴きます」ということでしょう。

 日本の中央銀行が、「¥は役に立たない」と宣言したようなものです。だからでしょうか、最近の保険や年金プランは外貨建てのものが多く、銀行員がその販売係をやっているのでしょうか(しかし、国際投機資本は、何故か、何かあると必ず¥を買います)。
 

 ところで、こんな現状の原因を手短かに言いますと、マネー資本主義の盛行で集めたお金は付加価値を生まないマネーゲームに集まり、その破綻の救済のため超金融緩和、おカネはじゃぶじゃぶで価値は目減り、実体経済の方は成長ストップこれが現状でしょう。

 マネーゲームはおカネの偏在を作り出しました。それに税制や財政政策も加担しました。格差社会の深刻化です。典型的なアメリカでは1%の人が99%のおカネを持っているとのこと。日本も何となく似てくる気配です。

 経済学者や政府・中央銀行は、ヘリコプターから金をまけば、消費や投資が増えるという「単純な貨幣数量説」を信奉して、さらに金融緩和をすればと考えているようですが、おカネが道端に落ちていても、それを拾って使うのは良くないと皆思います。
 おカネは「所得」(拾得ではありません)として入ってきて初めて健全に使われるのです。

 金融機関は余ったお金を預かり、足りないところに回すのが本来の仕事ですから、その本来の仕事をもう少しうまく回すような仕組みを、金融システム全体を、税制や財政の在り方も併せて、本気になって作り替えることが必要になるように思います。

 これは、道を間違えてしまった「資本主義」を本線に戻す作業です。道を間違えた大本は金融の在り方ですから、その点を「金融」中心に考えてみましょう。以下次回