tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人を育て協力しあう楽しい企業・職場環境を

2016年04月29日 10時07分20秒 | 労働
人を育て協力しあう楽しい企業・職場環境を
 最近、ブラック企業などという嫌な言葉がマスコミに出てきます。中身は何かといいますと、長続きがしないような仕事のさせ方をしたり、企業がいらないと考える従業員を辞めてもらうように仕向けるといったものが多いようです。
 そうした仕事を請け負う「人材ビジネス?」もあるようです。

 日本企業では昔から「資源のない日本では人間だけが資源だ」と言われ、「人間を育て、生かして使う企業がいい企業」と言われて来ました。
 こうした視点から見ると、いわゆるブラック企業というのは「人間を使い捨てにする企業」ということになりそうです。

 人間を使い捨てにして、何を求めるのでしょうか。多分それは「利益」でしょう。こうした考え方は、欧米流の「企業の目的は利益」という考え方に立つのでしょう。
 これは日本の企業の「劣化」以外の何物でもありません。

 日本の企業は従来社会に貢献することを目指してきていました。社会とはわれわれ人間が生活する場所です。人間生活の役に立つという意味では、企業としては「雇用の確保」が直接の役割です。
 ですから日本企業では「雇用の安定が第一義」と言われ続けてきました。


 企業が安定的に発展し、雇用の安定が確保されるためには「利益」が必要、と考えてきた日本企業が、利益のために雇用をないがしろにするのは、経営理念の逆転、企業の在り方としては退歩であり、劣化でしょう。

 おそらくこうした一部企業の経営行動(経営理念?)の変化の裏には、欧米流の利益至上主義と20年以上に亘る、「欧米による強いられた円高不況」があったのでしょう。
 しかしこれだけ雇用情勢が好転してきた今の日本経済の中では、改めて人間を大事にし、雇用確保を大切にする本来の日本的経営に戻るべきでしょう。

 すべての改善も進歩も、開発も技術革新も人間にしかできないことですし、人間を教育することによって、はじめて可能になることです。
 社会の発展の担い手である企業は、同時に社会の発展の中に市場を求めなければならないのです。 人間の知恵と努力しか、それを可能にするものはありません。

 日本人、そして日本企業は、昔からそれを知っていたのでしょう。だからこそ、働くことは(端を楽にする)良いことで、楽しいことだと教え、そういうことが納得できるような企業や職場の雰囲気を作ってきたのでしょう。
 戦後、雇用上の身分を廃し、全員を社員とした知恵はその典型的なものでしょう。

 企業の仲間との付き合いが楽しくて、家族を置き去りにするのは行き過ぎかもしれませんが、この辺り、企業や職場の在り方の問題を、企業経営者、企業の管理者層は、改めて真剣に考え直す時期が来ているように思われます。