どんな経済政策が可能か3、民間の力で景気回復を試みる
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4月1日付の朝日新聞朝刊に京都大学名誉教授の佐伯啓思氏の「アメリカ経済学への従属 日本に見合った思想を」と寄稿がありました。
首相官邸に3人のアメリカ経済学者を呼び意見を聞いたというニュースに「何とも言えない居心地の悪さを感じた」というものです。
その原因は「日本人の経済についての思考が、ますますアメリカ経済学に呑み込まれていくといいう不快感」だと書いています。
日本の本質を知らないアメリカと舶来崇拝の残る日本の困った組み合わせでしょうか。
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安倍総理は何か自分の思う所があって、自分の思っているような日本国、日本社会にしたと思っているようで、マスコミも、「祖父の思いを果たす」などと書いていますが、国民の殆どは、本音で安倍さんが日本や日本社会をどのようなものにしたいのか解りません。
先行きが解らないと人はなかなかついていきません。
「GDPを600兆円にする」というスローガンも、総理大臣が言ったからできるといったものでもないでしょう。
私自身、日本人の頑張りを見れば、そう遠くない将来に600兆円ぐらいは十分クリアできると思いますが、出来れば早いに越したことはありません。そのための手段も、消費拡大がベストの方法ということで、国民の中でも、大方の理解は一致していると思います。
しかし、賃上げしろと言っても賃金上昇率は昨年より低いようですし、将来不安で財布の紐は緩みません。
さて、ではどうするかです。スティグリッツやクルーグマンといったノーベル経済学賞の受賞者は「財政出動だ」といいます。当然更なる国債発行が必要になります。しかし国民の多くは、これ以上の国債発行には懸念を強めています。
このブログで、折に触れて書いているのは、政府に頼むと政府の借金が膨らむので、政府に頼まないで、民間が自主的に金を使って消費を拡大するという方法です。このブログでは「民間がやるケインズ政策」と言ってきています。
しかし、現政権が、「消費者よ、もっと金を使おう」といっても誰も動かないでしょう。これではまともな政策にはなりません。「大幅賃上げを」の掛け声と同じです。
こうした政策が成功するためには、国民が、その内容を理解して、賛成し、「よし、それなら、やってみようじゃないか」と本気になることです。
例えば、1億2,600万の日本人が、年間10万円消費支出を増やせば、GDPは12兆6000億円増えます。経済成長率にすれば2.5パーセントです。
先日書いたように、個人貯蓄の僅か1パーセント取り崩して使えば(個人事業主の貯蓄も入っていますから、設備投資に回る分もあるかもしれません)、GDPは16兆円増えます。
政府が12兆円とか16兆円とか国債を余計発行して、公共投資に使うより、よほど国民の納得のいく支出内容になるでしょう。国民自身が使っているのですから。
経済学で言う「乗数効果」も公共投資より個人消費のほうが大きいでしょう。
問題は、どうすればそういうことが可能になるかです。私は、日本社会なら、コンセンサス方式を活用すれば、「それが現実に可能な政策」になるのではないかと考えています。(以下次回)
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4月1日付の朝日新聞朝刊に京都大学名誉教授の佐伯啓思氏の「アメリカ経済学への従属 日本に見合った思想を」と寄稿がありました。
首相官邸に3人のアメリカ経済学者を呼び意見を聞いたというニュースに「何とも言えない居心地の悪さを感じた」というものです。
その原因は「日本人の経済についての思考が、ますますアメリカ経済学に呑み込まれていくといいう不快感」だと書いています。
日本の本質を知らないアメリカと舶来崇拝の残る日本の困った組み合わせでしょうか。
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安倍総理は何か自分の思う所があって、自分の思っているような日本国、日本社会にしたと思っているようで、マスコミも、「祖父の思いを果たす」などと書いていますが、国民の殆どは、本音で安倍さんが日本や日本社会をどのようなものにしたいのか解りません。
先行きが解らないと人はなかなかついていきません。
「GDPを600兆円にする」というスローガンも、総理大臣が言ったからできるといったものでもないでしょう。
私自身、日本人の頑張りを見れば、そう遠くない将来に600兆円ぐらいは十分クリアできると思いますが、出来れば早いに越したことはありません。そのための手段も、消費拡大がベストの方法ということで、国民の中でも、大方の理解は一致していると思います。
しかし、賃上げしろと言っても賃金上昇率は昨年より低いようですし、将来不安で財布の紐は緩みません。
さて、ではどうするかです。スティグリッツやクルーグマンといったノーベル経済学賞の受賞者は「財政出動だ」といいます。当然更なる国債発行が必要になります。しかし国民の多くは、これ以上の国債発行には懸念を強めています。
このブログで、折に触れて書いているのは、政府に頼むと政府の借金が膨らむので、政府に頼まないで、民間が自主的に金を使って消費を拡大するという方法です。このブログでは「民間がやるケインズ政策」と言ってきています。
しかし、現政権が、「消費者よ、もっと金を使おう」といっても誰も動かないでしょう。これではまともな政策にはなりません。「大幅賃上げを」の掛け声と同じです。
こうした政策が成功するためには、国民が、その内容を理解して、賛成し、「よし、それなら、やってみようじゃないか」と本気になることです。
例えば、1億2,600万の日本人が、年間10万円消費支出を増やせば、GDPは12兆6000億円増えます。経済成長率にすれば2.5パーセントです。
先日書いたように、個人貯蓄の僅か1パーセント取り崩して使えば(個人事業主の貯蓄も入っていますから、設備投資に回る分もあるかもしれません)、GDPは16兆円増えます。
政府が12兆円とか16兆円とか国債を余計発行して、公共投資に使うより、よほど国民の納得のいく支出内容になるでしょう。国民自身が使っているのですから。
経済学で言う「乗数効果」も公共投資より個人消費のほうが大きいでしょう。
問題は、どうすればそういうことが可能になるかです。私は、日本社会なら、コンセンサス方式を活用すれば、「それが現実に可能な政策」になるのではないかと考えています。(以下次回)