tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国際投機資本はストーリーテラー?

2016年04月18日 12時01分07秒 | 経済
国際投機資本はストーリーテラー?
 アメリカの利上げが遠のいたといいうことになったようです。
 このブログでは以前から繰り返し「利上げは容易でないよ」と書いてきましたが、やはり、金融経済は最終的には実体経済に従わなければならないということなのでしょう。

 金融経済の主要なプレーヤーである国際投機資本は、この辺りを自在に組み合わせて、その時々のストーリーを作り、債券・証券の価格を動かして、キャピタルゲインを作り出しているようです。

 アメリカが金利を上げそうだというのは、アメリカ経済が強い証拠だから株は買いだという解説が行われたこともありました。
 金利を上げるとドル高になり、経済にブレーキがかかるから株は売りだというストーリーの時もありました。
 事態は同じでもストーリーは正反対、株価の動きも正反対、どちらが本当でしょう?

 原油価格が下がれば、日本経済にとってはプラスに決まっていますが、原油価格下落は、世界経済が不振の証拠で、アメリカではシェールオイルの生産にブレーキがかかる、アメリカの株が下がれば東京市場も影響を受けると原油安で日経平均は下がりというストーリーが語られ、日経平均は原油価格とともに下がり、この所の原油高騰で急反発です。

 今日はまた、原油の減産の話が付かないということで、原油安継続予想、日経平均は大幅下げです。
 そのうちまた原油安は日本経済にプラスというストーリーが語られて、日経平均が上がる時も来るかもしれませんね。

 こうしたストーリーをだれが作るのか知りませんが、権威ある所が作れば、多くの投資家はそれに従うことになる(従わないと損をすると考える)でしょう。
 しかしストーリーは、きわめて短期的なもので、次の局面では反対のストーリーがまことしやかに語られ、それに従って、また、マーケットは動いて行くことになります。

 過日、ソロスが中国経済はハードランディングが不可避と言って上海株が下がったことを書きましたが、世界中の短期的キャピタルゲイン狙いの大小の投機家は皆こういうストーリーに極めて敏感なようです。

 経済学では「アナウンス効果」というのもありますし、中国の諺では「一犬虚に吠えて、万犬実を伝う」というのもあります。

 株価動向に極めて敏感な一般投機家は、藁をもつかむ思い(?)で、こうしたストーリーに注目するのでしょう。
 しかし結局、おカネ(キャピタルゲイン)はこうしたストーリーを作れる人のところに集まることになります。やはりギャンブルは胴元(ルールメーカー)が決定的に有利なのです。日本のトップ証券会社も太刀打ちできないようです。

 昔は「マーケットは正しい」などと言われました。これはマーケットが実体経済に忠実だった時代の話です。
 今ではマネー経済学などという言葉もでき、金融工学でノーベル経済学賞をもらう人も出、実体経済から見ればまさに「あだ花」のマネーゲームこそが経済学などという認識もあるようです。

 ならば、タックスヘイブン利用も立派な経済学でしょうか、パナマ文書で主要国のリーダ―(の親戚)の名前などを見ますと、「これで世界はきちんと前進していけるのか」と情けなくなるのは私だけでしょうか?