tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

裏目に出た年金資産の株式運用

2016年01月26日 10時29分01秒 | 経済
裏目に出た年金資産の株式運用
 世界的な経済の変調で株式市況は低迷状態です。その中でも日本経済は比較的健全なので、一昨日のように、反発を見せることもありますが、東京市場でも相場をリードしているのは国際投機資本なのでしょう。日本株も一蓮托生です。

 こうなるとマスコミなどが問題にするのは安倍内閣が目玉の一つにしていた年金の株式運用の拡大で狙った年金財政改善の結果が大きなマイナスになるという問題です。
 週刊誌などでは、運用損失が十数兆円とか、30兆円などといった数字が踊ります。

 安倍さんも内心は心穏やかではないでしょうが、浜田洪一教授(安倍さんに金融緩和を進言したといわれる)も、「株式運用のリスクも説明すべきだった」と発言されたといいう新聞報道もありました。

 tnlaboはもともと株式投資などの「キャピタルゲイン」で年金原資を作るというのは不賛成で、日本経済を成長させる自信がるなら、日本の国債を買っておけば、長期的には必ずペイするはずだと考えています。

 もともとキャピタルゲインは単なる富の振り替えで、誰かが損した分がGPIFの儲けになるのですから、付加価値の創造、社会の豊かさの増進には関係ありません。投資が投機化している今の株式市場では、基本的にはご禁制の賭場と一緒です。

 こうなる可能性はある程度予見できたわけで、2014年の9月8日に「 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式運用枠増」を書かせていただきました。
 去年の夏ごろ全部売って手じまいしていれば良かったのでしょうが、それではその後のGPIFの仕事がなくなってしまいます。常設機関だと仕事ないと困るでしょう。結局は高値掴みになったようです。

 いつも述べていますように、tnlabo は、現状、日本経済には健全な成長を可能にする条件は揃っているとみており、よほどの政策の失敗がない限り、徐々に成長率も高まると考えています。だから株価も少し長期で見れば回復していくのでしょう。

 新聞に日本電産の守永社長が「今は設備投資のコストも企業買収のコストも安い。積極的投資の時期」と言っておられるとの記事があり、守永社長にとっては「自社株買い(自社に投資すること)が最も良い投資」なのでしょうという趣旨のコメントが付け加えてありました。

 安倍さんも、本当に日本経済が元気に発展すると自信を持っているのなら、年金資産は日本国債で運用するのが日本国民にとってはベストぐらいの気概を持ってほしいものです。