tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ワシントンG20とアメリカを見る目

2015年04月20日 09時44分48秒 | 国際経済
ワシントンG20とアメリカを見る目
 18日に閉幕したワシントンG20 についての報道の中では、「AIIBが存在感」などという見出しが躍りまし。
未だ形も見えていないAIIBが存在感を示したというのはどういう事でしょうか。

 中国が一人頑張ってみてもG20で存在感を示すことは不可能でしょう。存在感という言葉の裏には、参加国、参加者の多くが、AIIBに何か意義を見出し、それに期待する意識があって始めて存在感が出て来るのでしょう。
 まだ実体がないものに期待するということは、今あるものが期待外れだからということにほかなりません。

 現状はブレトンウッヅ体制に基づくIMF・世界銀行体制の延長ですが、経済力の付いてきている新興国は、IMFに対する出資を増やし、発言権も高めたいと考えるのは当然で、それに対してアメリカが、アメリカ議会の承認が共和党の反対で得られないという形で、事実上の拒否権発動となっているのは報道のとおりでしょう。

 AIIBについては「中国が拒否権を持つべきではない」と言っているアメリカの事ですから、常識的には、自分ならいいが中国なら駄目といった些かわがまま、あるいはあからさまな中国批判ということになります。

 確かにブレトンウッヅ体制は、アメリカ主導で世界経済発展のための高い志を持って出発し、日本もかつては、GATTの11条国、IMFの8条国を目指して、経済建設に努めた経験があります。

 しかし、アメリカが万年経常赤字国に転落、ドルをペーパーマネーにしたニクソンショック以降、ドル切り下げで経済の行き詰まりを回避し、真面目に努力をした日本には円の大幅切り上げをさせ、遂には、サブプライムローンの証券化で世界中の金融機関に大穴を開け、自らも返り血でリーマンショック、その処理に未だ目鼻がつかないのです。

 この間多様な形で、多くの国に 迷惑をかけたわけですから、国際金融はアメリカが主導する、アメリカは公平で透明だと言っても、説得力はあまりないでしょう。
 中国にはいろいろ問題はあるが、これまでのアメリカにも問題が多すぎる、というのが多くの国の意見ではないでしょうか。

 サラリーマンの世界に例えれば、今多くの国は、アメリカという上司の行動に問題を感じ、新しい上司が来ればいいと思っているのかもしれません。しかし、サラリーマンの世界によくあるように、次に来る上司がいい上司とは限りません。
 その中で日本の政府は何をすればいいのか、是は是、非は非として、日本として持つべき「志」を国民にも、世界にも語ってほしいと思います。