tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

正常な段階に移行する日本経済

2015年04月30日 09時41分08秒 | 経済
正常な段階に移行する日本経済
 アベノミクスによる日本経済の回復の本質は何だったのでしょうか。第1の矢:金融政策、第2の矢:財政政策、第3の矢:構造改革などとしていますが、本当に有効だったのは「金融緩和」だけだったような気がしています。

 それほど金融政策の影響が大きかったということでしょうが、それには当然理由があります。だいたい日本経済が「失われた20年」を経験したのは何のせいだったのでしょうか。多くの方が実感しておられるように、それは1ドルが240円から120円になり、更に80円になるという円高のせいでした。

 現に「プラザ合意」までは日本経済は「ジャパンアズナンバーワン」でした。世界でも超健全で高パフォーマンスの日本経済を地獄の苦しみに落としたのは「円高」でした。
 であってみれば、円レートが正常に戻れば、日本経済は自然に「世界でも最も優れたパフォーマンス」の経済に戻るはずです。

 勿論失われた20年は日本経済・社会に様々な歪みをもたらしましたが、それも、為替レートが正常に戻れば、次第に復元していくでしょう。
 繰り返しますが、長かった日本経済の不振は、日本経済に原因があったのではなく、強いられた円高に原因があったのです。

 そして日銀の政策変更で、円レートは正常な状態に戻りました。私が日本経済の今後を(対外関係さえ安定していればという条件付きで)楽観している理由です。

 ただ、最近言われる「株価はバブルか?」といった問題との関連で言えば、この2年間は、2度にわたる日銀の金融緩和で企業は奇貨(windfall profit)を得たということです。

 円安は、輸出入部門にプラス/マイナス影響を齎すよりずっと大きなマグニチュードで「日本国内の全てのコスト」(同時に物価も)を下げる(勿論ドル建て)という効果で、日本経済の競争力を強化する効果を持つからです。

 この効果による企業収益の増加(典型的には円安差益)が証券市場の活況をもたらしたとすれば、今後、企業収益は正常な営業取引によって生まれるものが中心となり、株式市場も円安による大幅増益で株価上昇といったことはなくなり、正常に戻るでしょう。

 しかし一方では、この2年の過程で、日本企業は財務体質を改善し、強化された競争力は、豊かな資金による技術開発でさらに磨きがかかるかもしれません。
 円安バブルはもう期待すべきではありません。これからは、企業が実力で勝負し、高収益を上げられる体制に磨きがかけられるか、それが試される時期になるようです。