tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「プラザ合意なかりせば」の日本経済

2010年11月26日 15時50分08秒 | 経済
プラザ合意 なかりせば」の日本経済 
 今回はちょっとした(まじめな)お遊びです。
 戦後の廃墟から立ち上がった日本経済は、1949年$1=¥360と決めてもらいました。
 スミソニアン合意で一時308円というのがありましたが、変動相場制になって、$1=¥300前後、その後$1=¥250前後と推移してきましたが、プラザ合意で一挙に$1=¥120となり、「失われた10年」に突入しました。
 2000年代に入り、120円でも何とかやれそうになったのが「いざなぎ越え」でしたが、リーマンショックで$1=¥80、改めて「失われた数年」に突入でしょうか。

 いつも例えているように、ゴルフのハンディに例えれば、36から始まって24まではよかったのですが、12にされ、今度は8、まさにシングルプレーヤーの栄誉に浴したわけです。こんなにハンディを切り上げられた国は他にありません。これでは当分日本は勝てないでしょう。

 問題は、為替レートがいくらに決まっても、「それはマーケットのせい」ということで、文句のいいようがないことです。正式なハンディ改定委員会があれば、まだ合理的でしょうけれども。
 ということで、思惑渦巻くマネーマーケットに翻弄される日本経済が、プラザ合意以降、どのくらいの損失をこうむったかを試算してみました。

 やり方は単純で、1985年(プラザ合意の年)の実質GDPを基準にして、プラザ合意前の5年間の平均実質経済成長率(3.34%、1990年基準、経済企画庁)が維持されたという前提で、1986年以降の日本の実質GDPの水準を推計し、現実の実績値と比較したものです。(因みに、1985~2009年までの日本経済の平均実質成長率は1.67%)

 2001-2009年からの平均GDP(名目値)は、ほぼ500兆円。このGDP現在値を基準にします。1985年の実質GDP(2001~2009年基準)は、逆算すると336兆円になります。

 この336兆円のGDPを1980~1985年の平均実質経済成長率3.34%で2009年まで延長すると、2009年の実質GDPは、740兆円になり、さらに、その間の実質GDPの年々の差額(推計値―実績)を累計すると1479兆円です。

 つまり、プラザ合意による日本経済への急ブレーキがなければ、日本経済は順調に成長していて、今日現在、多分、実質で今の日本経済の規模の約5割増しの740兆円規模に達していたと試算され、その間の試算と実績の差額の累計、つまりプラザ合意による日本経済の累積損失実質GDPは現在価値にして、今のGDPの約3倍の1479兆円ということになります。
 
 日本も大損害ですが、世界経済にも大きな損失ではないでしょうか。


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