tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

賃上げ、金融政策と物価の関係 4 経済成長を目指して

2014年03月18日 15時27分13秒 | 経済
賃上げ、金融政策と物価の関係 4 経済成長を目指して
 このテーマは今回で一応の纏めとしたいと思いますが、現状は結果オーライも含めて「何とか巧くいっている」という所でしょうか。
 
 インフレターゲットの2パーセントはデフレ脱出の証拠としたいという事でしょうし、デフレ脱出は日本経済の成長路線の実現を目指してという事でしょう。

 その点ではアベノミクスの第3の矢は、経済政策としては、財政支出のメリハリのない拡大も含めて、がむしゃらな成長路線のようですが、他方では、国際関係を著しく損ねるような行動をしたりして、アクセルとブレーキを一緒に踏んでいるようなところがあり、消費増税もしがらみになって、なかなかうまくいきません。

 一方、渦中の春闘は、政府の「賃上げ節」を横目に、労使は極めて節度ある路線を取りつつあり、恐らく経済成長の邪魔になるようなコストアップはないでしょう。
 消費拡大は賃上げではなく、雇用の安定に大きく依存しますから、新卒採用の増加、求人倍率の上昇、節度ある賃上げや、非正規の正規化の動きは大きな援軍です。

 そんな状況の中で、物価上昇目標2パーセントの達成は、消費税増税分を入れたみたいな話になり、日本経済の今後は、日本人、日本企業の「元気度」次第ということになりそうです。
 「元気度」は先行き見通しに大きく依存するものでしょうし、現状、日本人の元気度は「失われた20年」のレベルから見れば、随分上がっていると思います。

 企業がもう一つ迷っているのは、FRBを中心としたアメリカの政策がどうなるか、国際投機資本がどう反応するか(円の今後をどう見ているか)などで、最も気にするのは、また円高が進む可能性はないか、という点でしょう。
 国際投機資本は日銀の政策を注視しているようで、ヘッジファンドなどは虎視眈々、最高のビジネス(プロフィット)チャンスとみているようです。

 「円が下がれば株が上がる」という相関関係は、誰の目にも明らかで、マネーゲーマー達はそうした現状を楽しんでいるのだろうと私ですら考えてしまします。
 それはそれで、円安の定着は多くの企業が望んでいることですし、そして、株が上がれば、これは消費支出にかなりの影響をもたらすようです。

 長期的には、日本の貿易赤字、つれて悪化する経常収支の黒字縮小、あるいは赤字化が円安への影響力を持つでしょう。しかし国際投資資本の多くは、まだ「円は安全資産」と考えているようです。

 やはり、当面最も重要なのは、日銀の金融政策でしょう。黒田日銀は「異次元の金融緩和」を着実に進めています。インフレターゲットの2パーセントを目指すというのがその理由でしょうが、恐らく胸の内は、カネをジャブジャブ出せば、インフレになるという貨幣数量的発想ではなく、「日銀の超金融緩和政策がどこまで円安を呼ぶか」でしょう。

 既に述べましたように、円安を呼べばデフレは解消、日本経済は「デフレ経済からインフレ経済に転換」します。
 今その境にある日本経済が「為替操作国」という批判を呼ばずにそれを実現することが出来れば、「安倍政権の国際関係での問題行動」以外の日本経済成長へのしがらみは消えるでしょう。

 残される問題は、既に経済問題ではなく、縄文時代が形成した「自然を大事にし、争いを好まない」本来の日本人(舶来崇拝を卒業した日本人)として、すべての日本人が、平和憲法も含め、まさに真剣に考えるべき問題でしょう。