tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

久方ぶりのベア、経済回復の成果

2014年03月12日 23時37分53秒 | 労働
久方ぶりのベア、経済回復の成果
 今春闘の集中回答日の今日、予想通り主要企業の多くで、本当に久方ぶりのベースアップの回答が聞かれました。
 もちろん、2000円、3000円といった回答はそれほど大きな額ではありません。但しボーナス満額という所も多いので、サラリーマンの懐にはある程度の所得増が流れ込むことになるでしょう。

 経済が成長し、企業の利益も増え、賃金も上がる中で、物価はあまり上がらないというのが、本当に健全な経済成長の姿です。
 大幅ではありませんが、プラスに転じた経済成長を反映して賃金が上がり、円安のよる国内企業の(国際的に見た)賃金コストダウンが賞与に反映されるというのは、ほぼ健全な姿と歓迎したいと思います。

 マスコミの報道には「政府主導の春闘」とか「政治主導のベア」といった見出しも見られましたが、報道は正確でなくても注目されればいいというのなら別ですが、それなりの見識があると自認するマスコミの報道としてはどうもいただけません。

 主要企業のトップ、労組のリーダーの中で「政治に影響された」という声は聞かれません。聞かれるのは「政府は賃金決定についての発言はすべきでない」という批判的な発言だけでした。

 ではなぜベアが実現したのかと聞かれれば「日本経済がプラス成長に転じたから」というのが全てではないでしょうか。
 歴史的に見れば、日本の経営者のほとんどは、常に「従業員には報いてあげたい」と考えています。日本では従業員は最も大切な経営者の宝なのです。

 それに対して、労働組合も、要求は合理的な範囲を見極め、常に安定した信頼に値する行動を規範とする哲学を堅持する、それこそが長年積み上げてきた日本の相互信頼という労使関係のベースなのです。

 もちろん日本経済はまだ病み上がりです。また円高に振れてデフレがぶり返す恐れが完全になくなったわけではないでしょう。しかし、日銀の政策変更が、経営者の円高への恐怖を徐々に取り除いているのも事実でしょう。

 集中回答日のベアの一般化の影響が中小企業の賃金決定にどう影響するかは、6月ごろの春闘総括まで待たねばわかりませんが、今年、春闘が国民的行事として、復活の第一歩を踏み出したことは確実でしょう。

 今年は消費税増税もあり、日本経済も多少ゴタゴタするでしょう。来春闘で、労使がさらにどう春闘を発展させるか、春闘論議の活発化は、日本経済の活発化に下支えされたものであると同時に、日本経済成長への国民的論議の活性化でもあることを思えば、先ずは今年の春闘復活とその成果を喜びたいと思います。