tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの景気回復を喜んでいいのか

2012年03月13日 11時59分38秒 | 経済
アメリカの景気回復を喜んでいいのか
 世界情勢は、経済も政治も軍事も種々不安定要因を含みながら何とか安定的解決を求めて綱渡りの状況ですが、日本にとって当面ありがたいことは、円が$1=¥82台まで行き、当面落ち着いているように見えることです。

 ところで、アメリカ経済についても、意見は交錯しているようですが、雇用指数、消費者マインド、住宅着工の一部などに上向きの動きが出て、景気回復への動きを歓迎する意見が見られます。

 今年は選挙の年ですから、いずれにしても、何とか景気上昇は確保したいアメリカの現政権でしょうから、景気は何とか保たせられるという見方は根強いようです。

 これまでも関連したことは何度も書いていますが、現状のような形でも、アメリカの景気回復を歓迎するというのが、今日の経済学なのでしょうか。そして、それでいいのでしょうかという疑問はいつも頭を離れません。

 報道によれば、アメリカの財政赤字は、無理な経済対策のせいで膨らんでいます。もともと双子の赤字の国ですから、おそらくそれは経常収支の赤字幅の拡大につながるはずです。

 当然アメリカはその分を資本収支の黒字で埋めなければなりません。この構図、基軸通貨国の万年赤字という構図は、これまでの世界経済の不安定化をもたらした構図そのものです。

 サブプライム問題以来、アメリカにとって、年々の赤字のファイナンスがますます困難になってきている中で、近い将来、何か深刻な世界経済上の問題が起こることは当然予見されます。

 経済学が、経済活動の安定的な発展をさせるための学問であるとすれば、こうした経済の不安定化を避ける方向を論じすべきでしょう。
 行く先の不安を増幅しつつ、目の前の景気さえ良くなれば、というのは、あまりにも近視眼で、学問と呼ぶに値するのかといった気がします。

 こんなことになったのも、マネー経済学の影響のせいでしょうか。