tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高と原油高、どちらがより恐ろしい?

2012年03月30日 13時00分28秒 | 経済
円高と原油高、どちらがより恐ろしい?
 こんな質問が出たら、どうお答えになりますか。「そんなことは一概には答えられない。第一、円高や原油高の幅がどのくらいかによっても違う話だし・・・。」
というのも尤もな答えだと思います。

 しかし私は「それは円高です。」と即座に答えたいと思います。以下はその理由です。

 もちろん、原油高の幅ということもあります。第一次オイルショックの時には、原油価格の引き上げ幅が4倍という事で、世界経済は大混乱に陥り、特に、原油の99.8パーセントを輸入に頼るといわれた日本経済は石油が入ってこなくなったら日本経済は壊滅するという事でトイレットぺーパーや洗剤パニックが起こり、それまでの高度成長が、一気にマイナス成長に落ち込みました。

 それに比べれば、今の原油高は、ユーロの問題も一段落で、行きどころをなくした投機マネーが、イラン問題などを口実に、石油投機で儲けようと企んでいる、などのうがった解説もあり、「上がればそのうち下がるだろう」などという落ち着いた見方もありますから、そう心配しないでよいという見方が大宗でしょう。

 しかし少し違った見方もあります。原油価格の上昇は世界共通の問題です。産油国の会社であっても、安くは買いにくいでしょう。石油生産会社は高く買うところに売ろうとするからです。

 これに対して、円高は、世界で日本のコスト(物価も同時に)だけが高くなり、他の国のコストはすべて相対的に下がるという事です。日本が差別的に不利になり,他の国はその分自動的に有利になるという性質のものです。
 ですから、自由競争の中での影響は、原油高と円高では、全く性質の異なるものです。切り上げで高くなった物価は下がり日本だけが デフレになります。

 ついでに申しあげますと、原油高のように、世界中が一律に同じ影響を受ける場合には、それにより巧く対応できる(省エネ、代替エネルギー開発など)国は、結果的に競争上優位に立ちます。 
 第二次オイルショックを経て、対応の下手だった、欧米に比し、対応の巧かった日本が、ジャパンアズナンバーワンと言われるようになったのは、こうしたはっきりした理由があってのことです。

 ついでに言えば、これに対して欧米の取った対抗策がプラザ合意による円高という事になるのでしょう。欧米の打った手はまさに的中、そこまで気付かなかった日本は、今度は「完敗」という事になりました。