tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済にギャンブルは役立つか

2011年11月22日 11時41分45秒 | 経済
経済にギャンブルは役立つか
 誰もが心配しているように、世界経済は、かなり深刻な状態にあります。では、みんなが心配しているのかというと、そうではありません。この状況を絶好のチャンスとして、お金を儲けようとしている人たちもいます。国際投機資本といわれる人たちです。この人たちは、世界経済に役立っているのでしょうか。

 役立っていると考える人たちが多いから、その存在と活動が認められているのでしょうが、反対に、世界経済の破壊に貢献していると考える人も多くなっているようです。

 もともとマネーゲーム(ギャンブル)が経済活動として認めれているのはそれが金融取引における各種の価格(証券・債券価格、金利など)決定を「金融取引を活発にすることによって」よりスムーズに、より適切なものにするという考え方からでしょう。
 そうであれば、時価会計などもそれなりの合理性を持つでしょう。

 しかし最近の現実はそうではないようです。G20でFinancial Stability Boardの設置が決められ、行き過ぎたり不透明な金融取引、格付けの問題などを監視するということになったのも、今日の金融取引に問題が多すぎるからでしょう。

 実体経済の活動を促進するために活用されるべき金融がなぜそんなことになってしまったのを考えてみますと、大きく2つの問題があるような気がします。
1つは、金融取引が実体経済とは全く違った原理で活動するものであること
2つは、金融取引が実体経済に比しあまりに巨大になってしまったこと
の2つがそれです。

 御承知のように、実体経済は、経済発展のために活動していますが、金融取引は、瞬間的な利益の極大化のための活動ですから、空売りのように時に実体経済を破壊しても、それによってキャピタルゲインが拡大するならば、やらねばなりません。
 また、資金のあまりの巨大化で、一国経済の浮沈を左右するような規模のマネーが、瞬時に動くことを可能にしてしまっています。

 こうしたことを可能にした金融技法が、レバレッジやデリバティブの極端な活用、実体経済が悪化してもそれで利益が出る空売り(典型例はネイキッド ショート セリング)ということでしょう。こうした技法の発達の結果、上の2つは繋がっています。

 さらに、こうした金融技法は、安定を志向する実体経済とは正反対に、変動が大きいほどビジネスチャンスが大きくなるという決定的な違いを生み出します。

 もちろんマーケットが活発でないと適切な価格決定は期待できません。だからと言って、野放図な金融活動は、まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」の状態を生み出しているようです。EUの金融危機もこうした眼で見る必要があるのではないでしょうか。