tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ギャンブルは賭博場で:2

2011年11月27日 11時45分38秒 | 経済
ギャンブルは賭博場で:2
 前回、経済のギャンブル化の中で6つの教訓・問題点を書きましたが、よりご理解を頂くために、その具体的な説明をここでさせて頂きたいとと思います。

① 「経済の中での投機は、本来のギャンブルより、儲けの確率は極めて高い」 ですが、経済の動きは、こうすればこうなるという理屈が、かなりはっきりしています。
 リンゴが豊作ならリンゴの値段は下がりますし、経常赤字の国は、いつかは経済的に行き詰まります。
 本来のギャンブルは、胴元が儲けて、客は損をします。支配するのは確率の法則で、誰にも予測はできません。最近も100億円も損した人がありましたね。
 テレビの解説に出てくる××ストラテジストなどというのは、予測の専門家でしょう。それなら儲かるのは当たり前です。これはインチキではないのでしょうか。

② 「資本力が巨大だと、市場を操作できる(個人の中でのインサイダー情報)」 がそれに拍車を掛けます。巨大な投機資本が売りに出れば、ほとんど確実に市場価格は下がります。自分がやると考えて、その結果を予測しながら、自分が動くのですから、まさに純粋な「インサイダー情報」です。そんなのいいんですか?

③ 「実体経済や善意の人たちが、大変迷惑する」 については、土地バブルの時、善意のサラリーマンが、自分の住むところを確保するためにいかに苦しんだかです。いまだにローンを払い続けている方もおられると思います。
 我々は土地の上でしか生活きません。そういう人間生活に基本的なものをギャンブルの対象にするなよ、と当時つくづく思いました。天然資源、農産物、などなど、儲けやすいからギャンブルの対象にするのは、一種の犯罪でしょう。

④ 「本来の経済活動の魅力が希薄化 する」 ですが、理工系の優秀な人たちが、製造業に魅力を感じなくなり、金融界に入り「理工系の製造業離れ」が問題になりました。優秀な人材が、「GDPを増やす」実業に行かずに「「富の移転 」だけを業とするマネーゲームを職業にするのは人的資源の無駄遣いでしょう。

⑤ 「実体経済を過度に弱体化したり、破壊したりする」 今の実体経済が弱体化してきているのは、こうしたことの相乗効果が端的に現れているという面を見落としてはいけないと思います。

⑥ 「最終的な負担は結局納税者に回る」 ギャンブルの市場は乱高下しますから、時に金融機関は巨大な損失を出します。そうした時、経済社会の安寧のためにと政府が救済せざるを得なくなり、その負担は結局、ご承知のように、納税者に回ります。

 経済学者や為政者は、目先の対応策よりも、こうした問題を本格的に考えて、資本主義100年の計を建てていただきたいと思います。