tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価「マイナスは許容しない-日銀-」の意味

2009年12月19日 14時51分13秒 | 経済
消費者物価「マイナスは許容しない-日銀-」の意味
 日本銀行は18日の金融政策決定会合で、中長期的な物価安定の目安について「政策委員会としてゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」と述べたとの報道がありました。
 日銀が本格的にデフレを回避したいという意思表示をしたものとして、歓迎されるべきものでしょう。

 報道では単に「物価」となっているようですが、これは当然「消費者物価指数」のことでしょう。以前から日銀は、消費者物価を対前年で0~2パーセント程度といっています。企業物価指数では、国民生活に直接関係ありません。

 付属する解説では、今回の表現は、従来の「0~2パーセント程度の範囲内」と違って、「2パーセント以下のプラスの領域」という表現で、マイナス、つまりデフレは認めないことをはっきりさせているという事になっています。

 さらに、この表現は、金融緩和についての姿勢を一層明確にし、市場金利の低下を後押しすることによって、日銀としての景気対策の姿勢を確りと示す意図も読み取れることを目指すものということのようです。

 確かに一国の中央銀行が、こうした決意を示すことは、国民にも、また海外にも、日本の金融当局の金融政策のあり方を明示し、適切な理解をしてもらうということで大変重要な意味を持つでしょう。菅副総理も歓迎の意思を表明したようです。

 ただ、問題は、今日の為替レートが、$1=¥90がらみで、中長期的には、更なるドル安の見方も強いという客観情勢です。

 日本経済が比較的安定感を持っていた2年ほど前の円レート「$1=¥110~120」に比べ、今は$1=¥90ということで、2~3割円高になっています。つまり、ドルで測った日本の物価とコストが、その間に一律2~3割高くなったということで、今日本の企業はその対応に必死で努力 している最中です。物価は下がらざるを得ないでしょう。

 もし現状で円レートが$1=¥110~120になれば、デフレは止まり、企業はほっと一息つき、求人も賃上げも 動き始めるでしょうが、今回の日銀の声明が、こうした為替レートと物価の関係も視野に入れた、「日銀の円レートについての意思表示」も含むものであれば、世界(特に国際投機筋など)はどう反応するでしょうか、さて、日銀の意図はどうなのでしょうか。