tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

使いたくてもカネがないという意見も

2009年06月16日 11時31分53秒 | 経済
使いたくてもカネがないという意見も
 前回書きましたように、国民が金を使えば経済が回り始めるといっても、「カネがないから使えないんだよ」と言う方もいらっしゃいます。確かにその通りです。借金をしてカネを使い続けたら、結果は今回のアメリカのようなことになります。

 日米の違いは、個々人の事情の違いは別にして、国民全体としては1500兆円という世界に類を見ない巨額な個人貯蓄があるということです。国民が使わないので政府が借りて使っているということは「 頭を使った経済政策」で書かせていただいた通りです。

 日本のように、お金があっても使わない国は国内経済は不況になりがちですし、アメリカのように貯金がなくても、、借金してでも消費を楽しむ国は、借金が出来なくなるまでは好況を楽しめます。
しかし、いずれも「過ぎたるは及ばざるが如し」で、結果的には経済はうまくいかないようです。
 経済は生き物ですから、バランスが大切で、稼ぎの中から「適切に 」「計画的に考えて」使うことが経済を長期安定的に活性化するというのが現実です。

 ですから、日本では,さしあたって、カネのある人が貯蓄を取り崩してでも消費を活発にすることが必要でしょう。民間主導の「呼び水」理論です。しかし、個人レベルでは、「俺一人カネを使ってみても・・・」です。消費拡大は、一挙大量投入で、使える金のある人が、皆で「イチ、ニのサン」で大規模にやらないと効果は出てきません。
 
 そこで政府の出番でしょう。政府は「頭を使った経済政策」を総動員し、個人貯蓄1500兆円のうち、何10兆円かでも動けば、日本経済は回り始める、と国民に明るい将来を見せる政策を考えるべきでしょう。明るい将来を構成する内容 はいくらでもあるでしょう。

 国民には消費を促し、企業には投資を促し、その結果、経済は2~3パーセントの成長を達成し、預金金利は3.5パーセントぐらいになる、といった、国民にも達成可能とわかるような経済計画を提示すべきでしょう。時代の違いはありますが、かつての「所得倍増計画」では、国民は大発奮し、10年で、実質GNP2倍、名目値では4倍になりました。
 
 そういうビジョンを国民に示し、国民にやる気を起こしてもらうことが、最大の「頭を使った経済政策」でしょう。 多分それで、雇用不安も、将来不安も消えていくでしょう。皆がその気で消費、投資を行い、社会の役に立つよう勤勉に働けば、GDPは増えるのです。雇用増も、賃金上昇もついてきます。

 根が勤勉な日本人です。この程度は十分可能でしょう。この間までだったら、そんなことをやったら、アメリカが、「政府の介入などまかりならん」と怒鳴り込んできたでしょうが、今のアメリカは、金融機関のみならず、製造業企業まで国有化する国ですから何も言わないと思います。