tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済のバランスの悪いところ、その2:輸出依存症

2009年06月10日 16時16分06秒 | インポート
日本経済のバランスの悪いところ、その2:輸出依存症
 日本は無資源国といわれます。しかし、最も大事である人的資源に関しては、文化人類学的な背景も含めて(多分)世界でもトップクラスの資源を持っているのではないでしょうか。

 であって見れば、日本の発展は人的資源に投資することによって、最も効率よく達成できるといえそうです。

 幸なことに、世界は自由貿易体制になっています。人間以外の資源は、お金があれば手に入ります。日本は、人間の知恵で技術革新をし、それをモノづくりの技能で製品化し、輸出して資金を作り、それで資源を購入するというサイクルで成功してきました。

 それで、輸出が大事という習性が身についたのかもしれません。もちろん輸出出来る技術水準の製品を持つことは最も大事です。しかし、それを使った生活水準の向上は、先ず国内経済の発展の中で実現したいものです。

 日本は人口が減っているし、耐久消費財は行き渡っているし、国民はもうあまり欲しいものはないし、といった状態になってしまい、日本企業はもう海外展開しかないといった意見もあります。

 しかしそんな事はないのです。今日本の一人当たり国民所得は300万円ほどで、平成に入ってほとんど増えていませんが、いざなぎ景気の頃(1970年)は僅か80万円ぐらいでした。技術革新と経済循環がうまく噛み合えば、1人当たり国民所得はいくらでも増えます。天井はありません。

 宅急便や、デジカメ、ケータイ、薄型TV、LED・EL照明、蓄電技術、電気自動車、リニアー新幹線、省エネ航空機、再生可能エネルギー開発などなど、日本人が働いて所得を得、その所得で生活の質を改善し、1人当たり国民所得を高めて行く技術革新は継続的に起きているはずです。

 このサイクルを、かつてのように活発化するために、企業は国内需要の徹底的な発掘・開発と深耕を、消費者は思い切って消費の拡大を、政府は金でなく頭を使ったその支援政策を、日本人全体が、新しい成長する日本を作るために「本気」なる必要があるようです。

 その結果、経済成長が回復すれば(日本人の勤勉と実力なら必ず回復するでしょう)、多分、将来不安などは朝霧のように消えていくことになるのではないでしょうか。
  「具体的にどうするか」の国民会議ぐらい開いて欲しいですね。