tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済のバランスの悪いところ その3:マネーゲームが不得手であること

2009年06月17日 10時26分53秒 | 経済
日本経済のバランスの悪いところ その3:マネーゲームが不得手であること
 今回の金融危機も含めて、日本は、国際的マネーゲームでは、中々成績を上げられないようです。現在、日本の金融の中枢に居られ、かつて、外資系金融機関の経験もお持ちの方が、「日本の金融機関の力では、アメリカやイギリスにはとても敵いませんね」という趣旨のことをいわれたのを覚えています。

 理由はいろいろあるのかもしれませんが、最も決定的なのは、ルールを作っているのがアメリカやイギリスだということでしょう。国際会計基準にしても、デリバティブなどの金融新手法にしても、証券化のやり方を決めたり、その証券の格付けをしているのは日本ではありません。

 日本はかつて欧米がそうであったように保守主義の会計をやり、日本独特の安定株主作りや、株の持ち合いなどを発明して、資本主義経済の長期安定的な発展の方向を目指してきましたが、そういうやり方は最も怪しからんということで、いつもバッシングの対象になってきました。

 基本哲学が違うマネーゲームに手を出してみても、ルールメーカーにはとても敵いません。失敗してマスコミにたたかれるのが落ちでしょうか。
 
 はっきりいってしまえば、アメリカ流は キャピタルゲインでやりくりする資本主義でしょう。日本流はインカムゲイン中心、経済成長指向の正統派の資本主義です。
 今回のアメリカの失敗で、付加価値を移転するだけで生産しないキャピタルゲイン経済の問題点は明らかになったようです。

 日本は、きちんと技術開発を行い、それが実体経済の高度化に貢献するように資本を投資し産業化を実践し、対外投資にしても、マネーゲームではなく、相手国のGDPの拡大(経済成長)に役立つ借款や直接投資中心で、あくまで実体経済の発展を考えた経済活動を行う国であることを標榜するべきでしょう。

 マネーゲームが不得手であることは、少しも恥ずかしいことではなく、逆に不得手であることが、まともな資本主義を実践する国であることの証拠として、大いに胸を張って、その意義を主張していくべきではないでしょうか。

 G7やG20でも、これからは、いかなる資本主義を選択していくのかという、経済社会の本質的な問題が論議されることになるのではないでしょうか。