tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

途上国支援のあり方

2008年06月08日 13時50分11秒 | 経済
途上国支援のあり方
 5月末には第4回アフリカ開発会議(横浜市)があり、6月はじめには食料サミット(ローマ)があり、世界的な食料価格の高騰問題もあって、途上国援助の問題が深刻になっています。

 日本は援助大国の1つということになっていますが、援助というのは、実は金額ではなくて、その中身だということを十分に考える必要があるようです。

 モノの例えとして、「魚を食べたい人に魚をあげるのではなく、釣竿をあげなさい。」といったことがいわれますが、本当の援助というのは(緊急援助は例外として)、釣竿をあげ、釣り方を教え、さらには釣り道具の作り方まで教えてあげることでしょう。

 貧しい人たちが自立できるようになるということは、自分たちで「拡大再生産」が出来るようになるとです。もらった物だけしかなければ、結果は分捕り合戦しかありません。これは争いの元です。自分たちで生産を増やせることがわかって、初めて協力して生産を増やす気になります。争いが無くなるのです。

 「そんな単純なことをお節介じみていうな」といわれそうですが、これは、労使の労働分配率の論争でも同じです。労働分配率を高めようという分捕り合戦的発想(労使対立)が良い結果につながらないことは、このブログでも、すでに縷々述べてきました。

 余談ですが、日本には、NICC(日本経団連国際協力センター)という組織があります。この組織は、アジア諸国の経営管理者に「日本企業の経営理念と人材育成、優れた日本企業の経営手法」の研修だけをやっています。経済援助に比べれば、かかるお金はずっと小額です。しかし、QC、5S、 改善、人間中心の経営、労使の信頼関係などの重要性を理解した経営管理者が、アジアでどんどん増えていることは、アジアの経済発展に大きな力になっているようです。