tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

世界インフレの構造と対応

2008年06月18日 14時54分20秒 | 経済
世界インフレの構造と対応
 世界インフレの懸念が報道されています。特に新興国で著しいようです。べトナム、中国、フィリピン、・・・補助金で石油の値上がりを押さえてきたインドでも政府が負担に耐え切れず心配になってきているようです。

 このブログで先月 「インフレの原因(その1~3)」 を書きましたが、かつて第1次オイルショックの時日本が経験したことと同じことが、各国で起こり始めているようです。

 きっかけは「原油の高騰」と、それも原因の1つになっている食料の高騰です。これは明らかに「輸入インフレ」です。そしてこれが本格的なインフレになるかどうかは、「物価が上がったから賃金を上げろ」という賃上げ要求が起こり、国内で賃金インフレ(コストプッシュインフレ=自家製インフレ)に、輸入インフレが転嫁されるかどうかで決まります。この現象が新興国ではまさに起こり始めているようです。

 インドのシン首相は、「このインフレは原油や食料の世界的なインフレによるものだからガソリンの値上げを理解してくれ」と国民を説得しているようですが、これは輸入インフレを、輸入インフレだけにとどめようという政策で、これが最も大切です。成功を祈りたいと思います。

 さいわい主要国では、輸入インフレの賃金インフレへの転嫁はまだあまり起こっていないようです。労組が過去の経験に懲りて冷静さを保っているのでしょうか。 中国のように、政府主導で最低賃金を引き上げたところは対応が難しいと思います。

 これに対して、何でも金融でという風潮の中で、金融引き締めで対抗しようという意見が強いようですが、それでは対策が経済全体の活力を損なって、「角を矯めて牛を殺す」になってしまいます。賃上げ抑制こそが正しい処方箋と言うことを理解すべきでしょう。

 ところで、今年も日本の政府は、 最低賃金を大幅に引き上げるべきだなどと行政指導をしているようですが、自分たちの過去の経験から全く学んでいないようで、困ったものです。