tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府系ファンド(SWF)、日本の場合

2008年06月06日 15時23分27秒 | 経済
政府系ファンド(SWF)、日本の場合
 一部の産油国、シンガポール、ロシア、中国などが政府系ファンドを設立して、お金でお金を儲けることを考えているようです。

 日本でも、政府系ファンドを設立して、外貨準備を運用したらといった議論もあるようです。同じようなもので、すでに公的年金資産の一部も、お金でお金を儲ける投資(投機?)に運用され、儲けたり損をしたりしているようです。

 今日では世界中で「お金がすべて」みたいな風潮が蔓延し、お金でお金を儲ける「マネー資本主義」(資本原理主義 )に、世界中の巨大資本が動いていますが、基本的には、お金でお金を儲けてみたところで、「世界総生産」(世界全体の国の国内総生産の合計)が増えるわけではありません。世界の生産量は同じで、儲けた人のところに購買力が移転するだけです。

 政府系ファンドのやることも、結局それで、発展する地域や国があれば、また値上がりする資源があれば、それに投資して、その分け前に与ろう、ということです。それで上手く行けば、金を持っている国だけがますます得をすることになります。

 政府系ファンドの投資が途上国の経済発展を加速して、政府系ファンドがその余滴に与るというのなら、それは社会正義にかないますが、それなら、借款とか直接投資というのが本筋でしょう。

 「ファンドは基本的に豊かさを生み出すものではない」ということを明確にしていかないと「何で儲けてもお金はお金」といった困った考え方が大手を振って歩くことになりそうでう。

 日本人は、昔から「額に汗したカネ」と「あぶく銭」を区別する鋭い識別力があったはずですがどうしてしまったのでしょうか。