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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中国は「台湾は国内問題」と言いますが

2021年11月16日 22時02分52秒 | 国際関係
米中首脳会談が始まりました。世界の1番と2番の大国のトップが話し合うのですから、人類社会の2大リーダーの(リモートとはいえ)直接対話ですから、何とかそれにふさわしい、世界人類のためになる結果を期待したいと思います。

アメリカもトランプさんの時代だったら、世界中が心配するでしょうが、バイデンさんになって、アメリカファーストはやめ、世界を良い方に導こうというお考えのようです。
しかし、国内ではトランプ流のアメリカファーストがいい人も沢山いるようで少し心配です。

中国は、習近平さんが、「覇権を目指そうとは思はないが、世界を良い状態にするにはアメリカ流の民主主義ではだめで、中国が(自分が)考えているような体制にしなければ纏まるものではない」というお考えのようです。

中国が今やっているのは、経済は自由経済の方が発展するからそれでいいが、政治は共産党一党独裁の専制型でなければならないという事に様に見えます。

心配なのは、習近平さんは、目標達成のために3選を目指していることです。
3選は、鄧小平さんが、毛沢東が中国の統一と発展を目指しながら、晩年は文化大革命といった過ちをしたことに鑑み、長期政権の弊害除去のために定めたものです。

習近平さんが、交替をしないという事は、自分でなければダメと思っているからで、「目指す世界」も自分しか解っていないという事から来るのでしょうか。
自由経済がいいと言いつつ、政治の世界では領土問題や人権問題を中心に国際的なトラブルが多いのが現実です。「目指す世界」は常人には理解困難です。

そうした中で、バイデンさんの(世界中の!)大きな心配は、習近平さんが台湾をどうしようとしているのかという問題でしょう 。

台湾は、中国に併合されたくないという気持ちでしょう。しかし、習近平さんは、「台湾は国内問題」で外国は口を出すべきではないと言っています。

習近平さんの考えと国際世論とはかなり違うでしょう。しかし習近平さんは、まさに本気のようです。

ところで、中國にも離婚はあるでしょうが、夫婦喧嘩で別居していた奥さんが、威張る亭主に愛想を尽かし、もう帰るつもりはないと言っているのに対し、亭主は「力ずくでも連れ戻す」と強引だという場合、中国の多くの人はどう考えるでしょうか。

友人や知人が、「あんまり無理を言うなよ、もうお前のこと好きじゃないんだから」といっても亭主は「これは夫婦の問題だ、口を出すな」と当たり散らすといったところです。

中國でも大抵の人は、亭主に「もういい加減で奥さんの自由にしてやれよ」「嫌われたんだから、しょうがないよ。お前は身を引け」というのではないかと思うのです。

夫婦の問題なら、端から見れば、こんなふうに思うのですが、事が国の問題になると、価値観が変わって、奥さんの権利も自由も認めないとなるのでしょうか。
人間に関わる問題であれば、個人でも国でも良識は変わらないのではないかと思うのですが、国というのは何か異常に感情的になるような気がします。

習近平さんは本心ではどう考えているのでしょうか。それも解りませんが、長期政権になると、ますます頑固になるというのが多くのリーダーの場合ですが、この辺りが世界が最も心配するところではないでしょうか。

注目すべきアセアンの対ミャンマー政策

2021年10月21日 17時43分08秒 | 国際関係

去る6月の3日に、アセアンの対ミャンマー軍事政権の対応について取り上げました。

国連がほとんど何の政策もとれない中、ミャンマーは国際的な常識から見て極めてまっとうな要求をミャンマーの軍事政権に対して示し、自らもそれに沿っての行動を行い、ミャンマーの軍事政権に適切な対応を求めています。

その時にバンコク・ポストに載ったアセアンの「決議」をここに再掲します。

・ミャンマーにおける暴力行為の即時停止
・全関係組織による全国民の利害にたつ平和的な解決探求のための建設的対話
・アセアン事務局長中心のアセアン主導による仲介
・アセアンAHAセンターによる人道的援助
・ミャンマーにおける諸種の活動の現実確認のための特別使節団、代表団の派遣

アセアンは、メンバー国で起きた軍のクーデタによる政権のやり方を認めないことを「決議」として明確にしたのです。

この影響は大きかったと思います。事態は沈静化に向かいましたが、軍事政権は強力に権利を主張、軍事政権と呼ばれることを嫌い、通常の政権と国際的にに認めてもらおうとしているようです。

しかし、アセアンは、それを認めてはいません。
今月26日から開催されるアセアン首脳会議に軍事政権のトップであるフライン将軍を招かないことに事を決めたのです。

これは、ミャンマーの首脳としてフライン将軍を認めていない事に他なりません。
軍政に反対する市民を1000人以上殺戮して、政権奪取をしたつもりでいても、アセアンがそれを認めてくれないのです。

国連の常任理事会は何も決められないという情けない状態ですが、アセアンは明確に、多くの一般市民を殺戮してまでクーデタで政権奪取するという行為は、それを認めないという、今日の人類社会では常識と言うべき行為に反対の意思表示をしているのです。

これに対して、軍事政権も、無視することは出来なかったのでしょう。これまで拒否していたアセアンの特使の受け入れについての交渉を継続することとしたようですし、首脳会議に招かれないことが解った直後には軍への抗議活動に参加したことにより拘束されていた市民5600人の釈放を決めています。

軍事政権にしてみれば、国際社会から認められなければ、国の運営もままならないとの認識は多少とも持っているのでしょう。

アセアンは、最も重要な近隣国との協調の場です。そのアセアンが、人類社会の常識として認められないような形での政権奪取をしたものを、自分たちのメンバーとして迎え入れるわけにはいかないという毅然とした態度を取っていることに深い敬意を表するところです。

アセアンのこうした毅然たる政策が、今後どう展開しくか、同じアジアの国の人間として強い関心を持ちつつ応援と見守りを続けたいと思っています。
何時の日かこうした人間としての「当たり前」が国際社会でも当たり前になることを願いながら。

中国のTPP加盟申請と日本の役割

2021年09月17日 17時28分39秒 | 国際関係
中国が正式にTPPへの加盟申請をしたというニュースは驚かれた向きも多いようです。

TPPはご承知のように、環太平洋自由貿易協定という事で、アメリカが主唱し自由貿易協定(FTA)に賛同する12か国で合意を目指したものです。
目指したのは、FTAだけでなく投資、政府調達、知的財産権、人の移動、ビジネス環境整備など広範な合意です。

然し、万年赤字国のアメリカが主唱という事で、このブログでは当初からなんとなく胡散臭いと書いてきました。

実質的にはアメリカと日本の詰めの交渉になったようで、アメリカの通商代表のフロマン氏と日本の担当大臣甘利氏の徹夜の交渉で、何とか決着というところまで行ったのですが、最終的には「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領が、アメリカの役には立たないと判断したのでしょうか、離脱を宣言、12か国でなく、TPP11として発足しています。

先に、EUを脱退したイギリスもTPPに参加したいと加盟申請を出していますが、中国の場合は、政治問題では香港の一国二制度無視や、国内で人権侵害問題などが指摘されている政治的独裁色を強める状況ですから加盟申請は、やはり驚きを持って迎えられるというのも当然でしょう。

一方、アメリカの方は、現状も、トランプ政権の後遺症もあってでしょうか、TPP復帰には否定的のようです。

という事であれば、アメリカ抜きのTPP11との交渉という事になるわけで、当面貿易上のトラブルのあるオーストラリア、と日本辺りとの関係を中国がどう持っていくかという事になるのでしょうか。

アメリカがいない方が、大分やり易いという意識も中国にはあるかもしれませんし、中国が本気でFTAを重視しているという姿勢を海外に示すことにもなるし、ある意味では当面ダメモトでもという事もあるのかもしれません。

アメリカ自身が主唱した時点では、アメリカの赤字削減に役立つものにと多分考えていたでしょうし、中国も上手くいけば、国際関係の改善や経済減速の要因になっている内外諸問題のブレークスルーに役立つと考えていてもおかしくないでしょう。

歴史の経験から言えば、大国は、経済状態が良ければ寛大な国ですが、しかし一旦経済状態に問題が出ると、大国の力と権威を利用して(その他多様な手段も活用し)自国の地位確保に積極的になるという傾向があるように思います。

そういう意味では、アメリカと徹底した交渉をして、参加国全体の共通利益を求めてきた日本は、中国参加申請についても、本来のTPPの望むあるべき姿を念頭に、中国にも、加盟各国とともに、TPPの適切な理解と適切な行動を求めつつ、参加歓迎という、確りした態度を取ることが望まれるのではないでしょうか。

些か荷が重くても、総選挙後の新政権には、そんなことを期待したいと思っています。

米中首脳電話会談:これからも頻繁に

2021年09月10日 21時39分32秒 | 国際関係
マスコミの報道によれば、アメリカ時間9日夜、日本時間の今日の午前中にバイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談が行われたとのことです。

どちらからの意向かはわかりませんが、まずはアメリカからの声明発表という事ですから、アメリカからの働きかけの様な感じです。

バイデンさんは就任当初から米中関係は競争関係という事を闡明する形で発言をされていますが、これは極めて良心的な、世界にとって望ましい表現だと思うところです。

競争は互いに切磋琢磨するという関係ですから、アメリカも頑張るし、中国も頑張る、それによって対立でない前進する方向に両国関係を進めていくという事でしょう。

報道によれば、電話会談のポイントは、バイデンさんからは、
・利益の一致する分野に加えて、利益や価値観が異なる分野でも幅広く話し合った。
・アメリカとしては、インド太平洋の平和と安定、繁栄を重視していると伝えた。
・競争を衝突につなげないための両国の責任について意見を交換した。
といったことのようです。

一方、中国側の報道では、習近平さんからは、
・一時期のアメリカの政策から、中国は深刻な困難に直面している。
・中国とアメリカの協力は世界の利益で、対立は損害をもたらす。
・米中の違いを適切に管理することで、気候変動、コロナ対策、景気回復、国際社会の種々の問題について協力して推進が可能になる。
と連携を強調したとのことです。

現在の国際情勢、その中での米中関係を広く眺めれば、アメリカにしても、中国にしても、経済発展を犠牲にしてまで、自国のメンツを立てようとして対立、抗争、衝突といったことをするような、余裕は本来ないはずです。

現にアメリカは、トランプ政権の4年間に起因する国内の分断の問題があり、その融和の進捗状況が、政治問題だけではなく、経済のコロナ禍からの回復、更には鎬を削る対中国の先端技術をはじめとする各種の開発競争にも影響しかねえない状態にあるでしょう。

一方中国は、多民族の14億人の統一国家の維持に腐心しながら、経済発展によってそれを乗り切る必要は大きいでしょう。特に、新しく掲げた「共同富裕」のスローガンは大きな経済・財政負担を齎すことは容易に想像できます。

こうした中で軍拡競争をやり、多分使う事のないだろう飛行地や空母や弾道ミサイルやその兵器や防衛機器を年々積み上げたりするのは、いかに無駄かということを考えれば、出来れば避けたいというのが本音でしょう。

そういう事になるのは、相手はもっと軍拡をするのではないかという、双方の疑心暗鬼の結果でしょうから、お互いに、少しでも気心が通じれば、そした無駄は省くことが出来る可能性は大きくなります。

ならば、それに一番効果的なのは、常にコミュニケーションを怠らず、競争や対抗意識の中でも、多少の本音も言い合えるようになることがまずはすべての出発点になるのではないでしょうか。

その意味で、今回の米中電話会談は、今後の世界に平和と安定・繁栄へのきっかけになり得るものでしょう。出来得れば、これを適切な頻度で継続する事で、徐々にでも相互の共通利益、両国の人類社会の安定への責任ある態度につての共通理解が進むような方向への進展を心から願うところです。

世界一位と二位の経済大国のリーダーが、まさに地球的責任を果たせるかどうかがかかっている会談で、しかし考えてみればそれこそが両国それぞれにとっても最も利益になることではないでしょうか。

自由世界はアフガニスタンを育てられるか

2021年08月28日 14時14分50秒 | 国際関係
1973年のクーデターによる王制廃止、1979年のソ連侵攻以来、混乱を繰り返し、ISの拠点とされたりしていたアフガニスタンが、新しい国造りを始めることになりました。

政権を握ったのは、どちらかというと悪名の方が高かったタリバンです。イスラム教を奉じ、偶像崇拝を禁じるところから、2001年にはバーミヤンの大仏を破壊したり、イスラム原理主義のISを匿ったりといったニュースは世界に行き渡っています。

しかし今回、米軍撤退を機に一気に政権を握ったタリバンは、積極的に柔軟な姿勢をみせようとしているようです。

イスラム教の範囲内でといった表現はついていますが、イスラム教を奉ずる国はたくさんありますし、女性の権利や、種々の差別などについても、ソフトなイメージを打ち出そうという意識も持っている事は何となく感じられるところです。

タリバンにしてみても、単なる反抗勢力ではなく、一国の統治を、責任を持ってやらなければならない立場になってみれば、国内の平和、平穏を維持し、国連にも加盟し、経済発展のためには、先進諸国の協力をえなければならないということになれば、今までと違った、リーダーとしての責任を感じなければならないでしょう。

マスコミの報道からすれば、そうした意識は持っていると感じる方も多いと思いますが、同時に今迄の行動の在り方から見て、危惧を持つ国や人々も少なくないでしょう。

物事は総て、初めが肝心といわれますが、出来ることなら、この際、自由世界は、アフガニスタンを早期によい国に育てられるような積極的な政策を持つべきではないでしょうか。

日本が太平洋戦争で敗戦し、それまでの富国強兵、勢力版図拡張を目指す軍国主義から、平和を目指し、文化国家、科学技術立国を目指し、経済発展を政策目標とする国となる様、日本を指導し、支援し、協力してくれたのはアメリカでした。

今、アメリカは従来の政策に絡んで大変難しい立場にあるのかも知れませんが、多分バイデン政権はその辺はよく解っているのでしょう。

日本には、中村哲さんのような方が居られ、一民間人でありながら、アフガニスタンには大きな貢献をされ、タリバンも、中村さんには全く手を出さなかったという経緯もあります。(中村さんのペシャワール会は、既に現地で、活動徐々に再開とのことです。)

自由主義圏諸国や国連が、アフガニスタンの再建に向かって、良い国になるよう、優しく育てることに成功することを願っているところです。

このところ、世界中で、いろいろな形での紛争が多くなっています。政権がが独裁化する傾向も、あちこちで見られるような気もします。

ここは、民主主義、自由経済の国々が、国連を中心に十分に思慮深く、これからの世界の良き歴史づくりのために賢明な行動をしていくことが大切なのではないでしょうか。
アフガニスタンの現状はまさにそのチャレンジの第一歩になりうるように思われます。

中村哲さんに生きていてほしかった

2021年08月18日 21時07分35秒 | 国際関係
中村哲さんは一昨年の12月、アフガニスタンでパキスタン系のテロ組織の銃撃を受け亡くなったと報道されました。そのニュースを聞き、そんな不条理なことがと思いました。

アフガニスタンで医療から始まり、潅漑、農業開発と日本政府でもできないような大変な貢献を、日本人として、個人の創意と努力でやっておられた中村さんがテロの凶弾に倒れたことは、日本にとって、大きな、大きな損失だったと思ったのです。

ソ連のアフガニスタン侵攻から始まって、東西対立という背景の中で、穏やかな王政の国から内戦の国になり、テロ組織との関連も言われる中で、一貫して現地の人々が安心して日々の生活を送れるように、医療から始まり、食糧がなければ健康な生活はできないと、潅漑から農業の振興まで、この地域では、アフガニスタンの生活が変わったと言われるほどの活動をされていたことは多くの人の知るところでした。

中村さんは、常に、タリバンだって、こんなに綺麗になった農地に銃弾を撃ち込むようなことはしませんよ、と言っておられたとのことですが、タリバンからも厚い信用を得ていたのでしょう。

中村さんの棺をガニ大統領もかついで感謝の意を示した写真を見ましたが、敵対する政府とタリバンの双方から、絶大の感謝と信頼を得ていた中村さんが、その、アフガニスタンの人々のためという純粋な気持ちで、もし今、アフガニスタン情勢が全く新しい段階を迎えた今です、あのままお元気で活動を続けておられたら、今後のアフガニスタンと日本の関係にどれだけ大きな財産になったか、本当に残念でなりません。

生前、中村さんは、日本が、海外派兵などの面で、「絶対に戦争はしない国」というイメージを薄れさせて来ていることが、何となく身の危険を感じさせるような気がしていると漏らしておられたとのことですが、あの時、それが現実になったのです。

嘗て、バングラデシュで、現地で食事中の日本企業の人達がISに襲われて殺害されました
その事件はこのブログでも取り上げましたが、「日本は戦争をしない国」、まさに人(畜)無害で、いろいろと役に立ってくれるのが日本人、というイメージを薄れさせた責任をとるべきは誰なのでしょうか。

アフガニスタンが、何とか良い国に生まれ変わってほしいと世界が思っている今、中村さんが生きておられたら、いかにこれからも日本への信頼の確立に貢献できたかを考え、言いようのない喪失感に駆られるというのが今の心境です。 (合掌)

政治と領土と経済の関係

2021年08月03日 20時28分07秒 | 国際関係
地政学という学問があります。
地球上のどういう位置に国があって、その位置関係が、その国の政治、軍事、経済などにどのような影響をもたらすかを研究する学問のようです。
 
しかし、地政学的にという言葉が使われるのは、常識的には軍事的な背景を持っている場合が多いようです。
そして軍事的にというのは、いざとなった時、戦争で相手国を倒すのに有利という意味を含んでいるように感じられます。
 
具体的に戦争をしなくても戦争になった時に有利という地政学的な条件を持っていれば、国際間の政治的な交渉をするとき有利だということも当然有り得るのでしょう。
 
そういう事になりますと、当然これは領土問題に繋がりを持っていきます。あそこが自分の領土や衛星国であれば、軍事力を背景に、相手を脅すことで、交渉を有利に展開出来るということになるからでしょう。
 
例えば、中国は南シナ海を中国の領海だと主張すると同時に、浅瀬を埋め立てて軍事基地を作ります。
 
ロシアは2014年に併合したクリミヤ半島の軍事基地化を進め。日本との関係でいえば、事実上の支配地域になっている北方4島に軍事基地の建設を進めています。
 
こうしたそれぞれの国の領土拡張の願望は、経済的に見ますと必ずしもペイしないものでしょう。特に今後の世界では、多分、ペイすることはないでしょう。
 
中国は、今経済が伸び盛りですから、こうした何時どう使われるか全くわからないものを大きな経済的負担をして作っていく経済力があるのかもしれません。
 
ロシアの北方4島での政策は、いわばショウウィンドとしてシベリアやサハリンとは比較にならないようなカネをかけ立派な設備の地域にしているようですが、カネがかかって大変なのでしょう、一生懸命日本に投資を呼びかけています。
 
もし、戦争も何もなければ、後世、「何であんな無駄なことをやったのか」と言われることは必定です。これからの世界では、現実に「ならば戦争してもっと領土を広げよう」などということになる可能性は多分ないでしょう。(国際世論が許しません)
 
こういう多分使う事のない投資に終わると予想されることに膨大な国費を使い、国の経済力を無駄遣いすることは、まともな民主主義国であれば国民が許さないでしょう。
ですから、それが出来るのは独裁政権の国ということになっているのでしょう。
 
日本の独裁政権の時代に、台湾や朝鮮半島を併合し、中国東北部に満州国という属国をつくり、さらに中国大陸まで傘下に置こうと日中戦争をやっています。
 
その当時の日本でも、見る人は見ていました、石橋湛山は、既に大正時代にこうした拡張政策の無駄を見抜いています
現実を見ますと、日本は、戦後、本州、四国、九州、北海道の4つの島の国になって、世界が目を見張る経済成長をしたのです。
 
いま世界人類の大部分は、平和と経済的豊かさ、生活の快適さを求めています。
しかし、独裁者というのは、そんなことにはお構いなく、方向違いの自己満足の追求にうつつを抜かしているのです。独裁国だからこそ、それが可能になるのでしょう。
 
独裁国というのは本当に困ったものですが、世界人類の知恵で、何とかならないでしょうか。

アメリカの分断を危ぶむ

2021年07月21日 18時07分16秒 | 国際関係
バイデン政権が発足して半年、国内ではアメリカの結束を訴え、海外ではかつての良識あるアメリカが返ってきたという印象を与え始めています。
 
トランプの4年間、アメリカファースト、アメリカの栄光の回復をと言いながら、それならば、何か覇権国に相応しい、世界のためになることをやるのではないかと多少の期待も持たれながら、結局は世界に混乱をもたらすだけで、まともなことは殆ど出来ずに勝手放題の4年間が終わって、世界中の良識がホッとしているところではないでしょうか。
 
ところが、アメリカの中では必ずしもそうではない様です。
最近もテレビの報道で見ますと、トランプさんは、2年後の中間選挙、4年後の大統領選を目指して、本格的な活動を始めたという事のようです。
 
大統領選で僅差で負けたと思い続けていれば、捲土重来を期して、またアメリカ大統領という世界の頂点に復活して、自分の一挙手一投足が世界中で報道されるような心地よい経験の再来という魅力に取りつかれるのも、トランプさんのような性格の人にはありうることなのでしょう。
 
常識的に考えて、トランプさんのような性格の人間がそうした行動に走るということについては有り得ることかなという気もするのですが、ここで解らないのが、推定されている様子ではアメリカの半分近い人達が、それに賛同してそうした活動に参加や支持を示しているようだという事です。
 
恐らく、このブログをお読みいただく多くの方々も、そうだと思いますが、アメリカというのは200余年の短い歴史の国ではありますが、世界最高の頭脳を集め、政治から、国民生活、科学技術、文化芸能などあらゆる面で世界のトップ、あるいはトップクラスの水準を誇る国というイメージを持ってきています。
 
その国が、トランプさんのようなかつての泡沫候補を大統領に選んだことさえ理解に苦しんだのですが、今回の大統領選のトラブルの中では「国会に行こう」というトランプさんの掛け声に従って、大勢の支持者が国会議事堂に押し寄せ窓を割って闖入、国会を占拠しようとするという常識外のことを現実に実行してしまったのです。
 
こうなると、国会議事堂に押しかけて人達は、自分の頭で物を考える人達ではなく、リーダーの指示に盲目的に従う無思考あるいは狂信的なの暴徒のように見えてきます。そんなことがあるのかと驚くばかりです。
 
確かにアメリカは変わったと思います。もともとアメリカの一般の人達は内向きなのですよなどと聞いていましたが、国際的にみても、民主主義を理解した、良識を持った人達だったはずです。
 
ただ統計を見ますと1950年のアメリカの人口は1億5000万人、今は3億2800万人です。
我々の持っていたアメリカ、アメリカ人という意識は過去のものだったのかもしれません。
 
そういう意味では、今、バイデン大統領が言っている「アメリカの分断ではなく結束を目指す」という呼びかけの重要性は痛いほど解りますし、またそれが何か大変なことだということも解るような気がします。
 
バイデン大統領の就任から半年がたちました。これからもアメリカは、世界の良識としてのリーダー役を引き受けてくれるでしょう。
その中で、いわば「トランプ信者」の方々が、本来のアメリカの良心を改めて理解してくれ、アメリカの良識を内外に示してくれることを願うばかりです。

改めてハードパワーとソフトパワーについて考える      

2021年06月11日 22時47分12秒 | 国際関係
 明日からイギリスのコーンウォールでG7サミットが行われます。

 主要議題は、当面するコロナ問題への対策、そしてバイデンさんの言葉を借りれば専制主義に走る中国と如何に付き合うか、それに東京五輪も、というところでしょうか。

 コロナ対策に人類社会がいかに足並みをそろえるかは喫緊の課題でしょう。そして自由主義国が、共産党一党独裁の専制主義国家に対して、如何なる付き合い方をするべきかも、人類社会の将来を左右する深刻な課題でしょう。

 そして今、共産党一党独裁という専制主義を国是とし、覇権国アメリカに
追いつけ追い越せで迫る中国が、地政学的な拡大を求めて、場合によってはハードパワーの行使も選択肢と考えているのではないかと思われる姿勢で、国力の伸長を図っているとみられているのです。

 歴史は繰り返すといいますが、それは人類が、その知恵を十分に活用しない所に起きることで、人類同士が多少の対立はあっても、持てる知恵を十分に使えば、ハードパワーに頼ることなく、ソフトパワーの領域の中で、すべて解決が着く問題なのでしょう。

 今回のG7サミットの議題になるものの中で、コロナウィルスとの闘いは、人類社会の協力によってより良い成果が上げられるであろうことは誰もが理解するところでしょうし、東京五輪も人類の知恵と適切な行動で、最善の解決が可能な問題でしょう。 

 自由世界と専制主義の世界を如何に人類社会の中で破壊的行動を見ずに、ソフトパワーで(人類の知恵で)共存、融和を可能にし、長い目で見れば、互いの長所を生かした、より次元の高い社会へのプロセスの探求として取り組むべき問題なのでしょう。

 アメリカが正常なアメリカに返って初めてのG7サミットでどのようは議論が行われるか、良き成果を期待したいと思う所です 




アセアンは新しい国際関係への道を開くか

2021年04月27日 00時21分09秒 | 国際関係

アセアンは新しい国際関係への道を開くか

アセアンの首脳会議が24日インドネシアのジャカルタで開かれました。

 このサミットが世界の注目を浴びた理由の一つに、今、まさにミャンマーの危機を演出している国軍のトップ、フライン将軍も、自らはミャンマーの代表として出席したからです。

勿論、ミャンマー以外の各国代表は、将軍をミャンマーの代表とは認めていません。しかし将軍はうまく行けばここでミャンマーの代表として認めてもらい、国際的にクーデターによる新政府が国際的に認められる足掛かりにしようという意図は当然あったでしょう。

アセアンがこの事態にいかなる方針を持ち、いかなる対処をするかは、まさに注目されるところです。
 勿論、アセアンとしては、将軍を正式な代表としては認めず、先ず軍による国民の殺戮行為は即座に停止するべきで、その上で、国の体制はどうあるべきかは、関係する全者の話し合いが必要という最も基本的な形を考えたのでしょう。

 結局ミャンマーに対して、アセアンとして取るべき5項目の計画を示し、それに対する合意を得るといことになったようです。

 その5項目とは

  • ミャンマーにおける暴力行為の即時停止
  • 全関係組織による全国民の利害にたつ平和的な解決探求のための建設的対話
  • アセアン事務局長中心のアセアン主導による仲介
  • アセアンAHAセンターによる人道的援助
  • ミャンマーにおける諸種の活動の現実確認のための特別使節団、代表団の派遣

の5項目です。(以上Bangkok Postなどより)

 硬軟取り混ぜて、微妙な表現もあり、反対はしにくいし、賛成すると、またいろいろなことが起こりそうな、そして実行されれば問題はほとんど解決するのではないかと思われる、極めて確りしたもののように感じられます。

 ホスト国インドネシアのウィドド大統領は、第一項目の、即時一斉に暴力を停止することが最も大事と指摘されたとのことです。

フライン将軍は、公式にはコメントは延べなかったとのことです。

シンガポールのリーシェンロン首相が、スーチー女史の解放を要請したとの報道、また同氏が記者たちに対して、将軍の意見として、アセアンの建設的な役割り、あるいは代表団の来訪あるは人道的支援には反対しない。アセアンと共に建設的に前進しようと思うと、将軍の言葉を引用しながら話したと伝えています。

考えてみれば、第二次大戦後に独立を果たし(タイはもともと独立国)、ともに発展する新興国のグループとして目覚ましい発展をしてきたアセアンです。

結果がどうなるのかまだ解りませんが、もし暴力が収まり、正常な民主主義が機能するようになれば、事は単にアジアの一部ではなく、世界の国々、地球人類のガバナンスに道を開く活動の嚆矢となる可能性もあるのではないでしょうか。

良い成果を期待したいと心から思う所です。


結局は「捕らぬ狸」のワクチンに

2021年04月22日 19時35分50秒 | 国際関係

結局は「捕らぬ狸」のワクチンに 

 菅首相が訪米から帰ってきて「今年9月までに2回分のワクチン接種が可能になる」という趣旨の発表をしました。

 アメリカでファイザーのプーラ社長と話した結果ということで、危ない危ないと思いながら、もしこれが実現すればという期待を込めて、4月15日に「9月まで徹底的に頑張れ」というブログを書きました。

 しかし、今日現在、すでにこれは菅総理の独りよがり、あるいは誇大報告で、真実はとてもそんな旨い具合にはいかないようだと言う事が解ってきてしまいました。

 参議院の厚労委員会で野党側に質問に対して総理が詳細の説明は差し控えると5回言ったり、マスコミ関係の同社に対する問い合わせで協議が進行中の問題という回答があったりして、9月OKといった線は何処にも見られないということのようです。

 安倍前総理は「息を吐くように嘘をつく」などと言われたりしていましたが、菅総理はたたき上げで苦労人という評価もあったことですし、一生懸命やっているところも見えるので多少は信用してみたのですが残念でした。

 日本の会社なら、政府は怖いですから、政府がそう言ったら忖度して嘘にならないように辻褄合わせに努力するかもしれませんが、アメリカの会社にそれを期待してもとても無理な話でしょう。 

 ところで今日、アメリカからニュースが飛び込んできました。バイデン大統領がワクチン接種のペースを早めて7月には完全実施に持っていくという方針を表明したというのです。1日300万回のペース(従来200万回)です。

 恐らくファイザーは生産設備も拡張、生産ペースも上げるでしょう。その結果、7月一杯で、アメリカ国内の需要が急減することも予測され、そうなると、新しい販路の開拓が必要になります。

 その際、事情を察知しているバイデン大統領が、菅総理の窮状を察して、親切にもファイザー社に「日本はどうかね?」なんて言ってくれるかも知れません。

  菅総理はバイデンさんが忖度してくれた大喜びするでしょうが、これこそ「捕らぬ狸の皮算用」だというお笑いの一席。

 

 

 

 


賢明な平和的解決を期待する米中関係

2021年03月26日 19時38分58秒 | 国際関係
賢明な平和的解決を期待する米中関係
 バイデン大統領の就任後初めての公式の記者会見での発言が報道されていますが、その率直な物言いは、我々日本人にとっては、些かショッキングなものです。

 習近平さんから、大統領就任を祝福する電話があり、2時間も話したそうですが、バイデンさんとしては対決(confrontation)するつもりはないが、厳しい競争になるだろうし,アメリカとしては、中国に国際ルールに則ることを徹底して言っていくという事のようです。

 バイデンさんは副大統領のころから、習近平さんとは誰よりも長い時間話をしているとのことですが、習近平さんの考え方については厳しい見方をしていることが強く感じられます。

 バイデンさんの言うには、習近平はプーチンと同じように専制主義をよしとする人であり、専制主義こそが将来へのうねりであり、専制主義でなければ、この複雑は世界を統治することは不可能と考えている人間だ、と明確に指摘となっています。
 彼の頭の中にはデモクラシーの「デ」の字もない、と言いきっています。

 我々日本人には、アメリカ流の交渉術というのは、なかなか理解できないのかもしれませんが、これからどんな形の(対決ではない)競争が行われていくのか、ドキドキ、ハラハラしながら見守っていくことになりそうな気がします。

 専制主義にはファッショのような右派も、ミャンマーのようなクーデターによる軍政も、共産党一党支配の左派もあるのですから、これからの問題理解は「民主主義対専制主義」「自由主義対独裁主義」といった形で定義されなければならないのでしょう。

 しかし、ロシアにしても中国にしても、一応ロシアには政党も対立候補もあり、中国の全人代も各地の代表が集まって賛否を決するのですから、形は民主主義を取っているといった見方も可能でしょう。

 専制主義、独裁主義は、その中で対立候補の行動を規制したり、シャンシャン総会になるよう権力を使って根回ししたりして特定のリーダーだけがリーダーになれるようにしているという事ではないでしょうか。

 ある意味では、トランプさんや安倍さんにも、異論を権力によって封じるといった行動はそれなりにあったわけで、専制主義、独裁主義は、リーダーの個人的な要素が大きく左右するというのが共通する点ではないでしょうか。

 そうして意味では、専制主義、独裁主義はどこかに暗い闇の面を持つ、何らかの犯罪によって支えられる面を持つという事がありうるのではないかと思われます。

 恐らく今後は、左右の思想的対立と考えられた東西対立ではなく,左派か右派かではなく、民主主義と専制(独裁)主義が対立する世界 という事になるのではないでしょうか。
 勿論人類社会にとって、正義はいずれにあるかは明らかでしょう。

 これからの21世紀の前半は米中の「競争」を主軸に、この難問題を人類社会がいかに解決していくかの歴史的実験が行われることになるのではないでしょうか。
 あまり激しい事にならないことを願うばかりです。 

米中対立:イデオロギー、経済競争と現実

2021年02月11日 17時14分11秒 | 国際関係
米中対立:イデオロギー、経済競争と現実
 第二次世界大戦後の世界では、多くの国が戦後の経済復興に努力する中で、自由主義経済がその長所を生かして世界中が、毎年経済が成長することが当たり前になるような時代を作り出す一方、政治的イデオロギーの分野では鉄のカーテンと呼ばれたアメリカとソ連の対立が地球人類の大きな問題になりました。

 この対立は、自由世界と共産圏の地球上での陣どり合戦のような状況を呈しましたが、1991年に至り、ソヴィエト連邦の崩壊という形で、終わりを告げました。
 原因はいろいろ考えらますが、決定的に重要なのは、共産主義の経済政策では、自由経済圏のように経済成長が確保できなかったことでしょう。結果は、国民や衛星国の不満や離反を統御できなくなったという事でしょう

 一方当時から「竹のカーテン」で自由経済圏から隔てられた、共産主義の大国、中国は、国際環境変化の中で、共産主義的経済手法を次第に自由経済的に手直しを始め、1985年には農業を人民公社から農家請負制に、そして最終的には、鄧小平の社会的市場経済に移行、この間、1980年には1人民元=150円から2000年には13円に10分の1以下に切り下げています。(世界の工場への準備完成)

 こうして見ると、経済発展という視点から見た場合、自由主義経済は、共産主義経済に比べて圧倒的に、経済成長に適したシステムだという事が言えるでしょう。

 米中対立というのは、こんな過程を経て今日に至っているのですが、本来、自由主義経済の本家であるアメリカがあまり経済成長をしなくなって、後から自由経済の良さに気づいて追いかけてきた中国が、 アメリカを追い越そうという段階になっているのです。

 追いかけられて焦るアメリカ、まだまだ発展の余地を残す中国、経済面だけを見れば、それも、人口規模の違いによる経済規模だけの競争と見れば、中国が絶対に有利でしょう。

 勿論1人当たりという質的な状態を見れば、中国がアメリカに追いつくのは大分先の話でしょうし、そこまで中国が順調に経済発展していけるかどうかには、種々問題もありうるでしょう。現に中国が、質的な意味も含めてアメリカを追い越すことは不可能という見方も、アメリカの中ではかなり一般的のようですが、もしそれが当たっているとしても、そこまでの、多分かなり長い時間、米中対立に世界中が振り回されるというのは困ったことというのが現実ではないでしょうか。

 そういう意味で本当に問題の原因になるのは、経済だけでなく、政治体制という事なのではないでしょうか。
 中国は、自ら称するように、社会主義市場経済で、政治的には共産党一党独裁です。そして、困ったことに、独裁政権というのはほとんど間違いなく腐敗していくのです。

 習近平は、終身、中国のリーダーとして君臨する立場を確保しました。共産主義の政治体制は、ほとんど必然的に、 独裁主義に陥ることは既にこのブログでも述べていますが、米中対立の本質は、経済力という事よりも、独裁国家という地球人類社会に往々にして大きな問題を起こす国に対して、自由世界、民主主義社会が、いかに対応するかという問題に他ならないのではないでしょうか。
 
 もっとはっきり言ってしまえば、今、地球人類社会にとって、最も大きな問題は、独裁主義、独裁者に対して、いかなる対応策をとっていくかという問題なのではないでしょうか。

バイデン政権のアメリカとどう向き合うか

2021年02月01日 20時09分12秒 | 国際関係
バイデン政権のアメリカとどう向き合うか
 難産の末みたいな感覚ですが、アメリカがバイデン政権になって世界中がほっと一息
という所ではないかと思います。

 ところでこれからの日米関係はどうでしょうか。
 確かにトランプさんの気まぐれと付き合うよりも安定した関係は期待できるのでしょう。しかし、これからの日米関係も、基本的に容易でないことは変わらないような気がしています。

 この4年間は、まさにトランプさんと日本(安倍さん)の関係だったように思えますが、これからは、バイデンさんと日本の関係というよりは、アメリカと日本の関係に帰るという事になるのでしょう。 

 本来の日米関係と言えば、戦後の「日本を戦争の出来ない国にする」という方針、言い換えればアメリカにとって安全な国にするために、戦争放棄・民主主義教育を徹底した段階から、米ソ対立の中で、対共産圏の防波堤の役割期待、経済面では、向上する日本の国際競争力からアメリカ経済を守るための、日米繊維交渉に始まり鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉といった日本製品の対米進出の防圧、そして最後にはプラザ合意で大幅な円高誘導による日本経済の成長阻止という歴史を作ってきているのです。

 そして今のアメリカは、経済力低下の結果の万年赤字国転落の中で、日本の巨大な蓄積資本をいかにアメリカのために役立てるかが大きな問題となっているのでしょう。

まともに考えれば、万年赤字国になったアメリカが、覇権国としての役割、そのための活動をするだけの力を持った国になるためには、改めて、アメリカ自体の経済力、国際競争力を世界最高水準に上げていくことが必要でしょうが、それは容易な事ではありません。

確かに、ビジネスでも技術でもアメリカの多様な開発力は偉大ですが、それを製品、商品にするのは殆ど中国をはじめとした途上国のモノ作りです。

せめて航空機はアメリカでと考えたのでしょうか、日本には航空機は作らせないとしても、ボーイング機の部品、部材は大幅に日本製です。

こうしたアメリカが、覇権国にふさわしい健全な経済状態を回復するのには国民全体にそれだけの意気込みが必要でしょう、しかし、現在のアメリカ、分断状態のアメリカでは、そのために国民が一致してといったことは至難でしょう。

当然日本への種々の要請・要求は出て来るでしょう、アメリカが日本を自分にとって都合の良い国にしたいという気持ちは、本来アメリカという国の意思であって、大統領によって変わることはないでしょう。

 そのアメリカに対して、日本はいかなる態度で臨むべきかという基本理念を菅政権は持っているのでしょうか。
 アメリカに押され押されて集団的自衛権まで来たしまった日本ですが、経済面でのアメリカへの協力と武力行使の問題は、平和憲法を持つ日本としては、確り分けて考えるべきでしょう。

 経済の場においても、基本的な考え方は、日本経済とアメリカ経済を共に健全なものにする為に役立つかどうかが判断の基準になるべきでしょう。

 そして、そうしたことが出来るためには、日本の持つソフトパワーを徹底して磨き上げておくことが必須でしょう。

 今の、政権、政権の維持だけに汲々として、視点は近視眼的、進むべき方向も理念も国民によく解らない様な政権で、その大役は果たせるのではないでしょうか。
多くの国民は心配しているように思われますがこれからどうなっていくのでしょうか。

米中の覇権争い、GDPから見れば

2020年09月09日 16時53分58秒 | 国際関係
米中の覇権争い、GDPから見れば
 先ず今世紀に入っての米中の経済規模のグラフを載せておきます。推計方法は下に注書きします。


 ところで、トランプさんの中国叩きはますますエスカレートしそうです。
 それには、11月の大統領選の結果も大いに関係してくるのでしょうが、たとえ大統領が変わっても、米中の覇権争いは、矢張り続くのでしょう。

 覇権を支えるのは一体何でしょうか。歴史的に見れば、覇権を支えるのは、先ず軍事力(兵器の技術革新も含む)という事でしょう。しかし、軍事力の源泉はといえば矢張り経済力でしょう。
 第二次大戦までは、先ずは軍事力という感じだったのかもしれませんが、次第に経済力の方が重要になってきたように見えます。

 おそらく、核の軍事利用が可能になり、一旦戦争になれば、多分勝者のいない戦争、結果は人類社会の破滅という事が見えてきて、核戦争は起こりえないと考えるようになったことが大きく影響しているのでしょう。

 それでもまだ、覇権国は最大の核保有国でなければならないという意識から人類は抜け出していません。そして、そのためにも経済力を大きくする必要があると考えるのでしょう。
 
 この所、米中の覇権争いが大分深刻になってきました。トランプさんは政策的には支離滅裂で、大変焦っておられるようですが、習近平さんは、無表情ですが、やることは、極めて厳しいようです。

 かつて、アメリカは、経済規模でアメリカを追い上げる国を蹴落としたことがあります。相手はご承知のように日本です。
 日本の無知を利用したという事でしょう。手段は単純で、G5の場で、日本に円の切り上げを認めさせることでした。

 現代の金融理論で先駆けるアメリカ、実体経済中心で古い貨幣理論だけの日本です。勝負はあっけなくついて、日本はその後30年ほど経済停滞になり、アメリカは成功体験を得ました。

 次にアメリカを追い上げたのは中国です。アメリカは、対日本での成功体験をもとに、中国に人民元の切り上げを求めました。
 しかし中国は、日本の失敗をつぶさに見ていて、一貫して拒否の姿勢でした。その後のアメリカのとった政策、特にトランプさんの政策は皆様ご承知の通りで、中国経済は(新常態)など言いながら、アメリカの2倍以上の成長率を続けています。

長くなりますので、以下次回とさせていただきます。
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 <推計方法>
 「世界経済のネタ帳」から2001年-2019年の経済成長率をとり、2019年の両国のドル表示のGDPの実額(米21.48兆ドル、中国14.17兆ドル)から過去18年のGDPを算出、2020年以降については、中国が「新常態」に入ってからの成長率が6%台であることから6%成長を仮定し、アメリカは過去20年間の平均成長率2.1015%成長を仮定した。
 したがって為替レートの変更は考慮していない。