アメリカでは、昨日、トランプ大統領が、トランプ関税政策の本格適用の開始という事でしょう、外国からの自動車の輸入に一律に25%の関税をかけるという大統領令に署名をしたとのことです。
この政策は4月3日に発動されるという事です。この方針は以前からトランプさんは口にしており、手始めは、メキシコとカナダへの25%の適用でしたが、発表後も期日が延期されたり、色々と修正もあったようです。
今度の世界一律25%が、4月3日からがそのまま実行に移されるのかどうかは、トランプさんの事ですから解りませんが、大統領令に署名されたからにはその通り実行に移されると受け取るべきでしょう。
客観的に考えれば、それだけアメリの国民は高い金額を払って外国の車を買う事になりますので、ヨーロッパの車や、日本の車に乗り馴れた人からはいろいろ苦情も出るでしょう。
アメリカに車を輸出している国からは勿論いろいろな意見があるでしょうし、勿論トランプ流関税政策には、いずれの国も、夫々に不満はあるでしょう。
日本の場合は国会での様子を見ますと、石破総理は辻本氏の「25%は、かつての発言と違い協定破りだ」との質問に対し、「適切な対応を考えていかなければならない。あらゆる選択肢は検討の対象となる」と答え、さらに「25%を日本に適用しないことを強く要請している」と答えているようです。
石破さんの答弁の仕方は「適切」という言葉が示しますように、状況に応じて、どうにでも解釈できる面もありますが、「25%は困る」ということのようです。
こういうやり取りを聞いていると、政治家は国民の事を考えているという気持ちの表れとは思いますが、日本だけ関税を負けてほしい、適用除外にしてほしいという事だけの議論でいいのでしょうか、という感じがして来ます。
世界中一律に25%という、どちらかと言えば非常識なことを言っているのはトランプさんです。こういう場合に、日本だけは何とかしてくれと言う論戦は何を意味しているのか、その意識が問題ではないかと思うのです。
野党も与党も、もしアメリカが「日本は除外でいいよ」と言ったら大戦果だと大喜びをするのでしょうか。
25%一律は不当だというのであれば、日本だけの抜け駆けより先に、広く国際的な問題として捉え、先ず自由世界の国際連帯という基本的な日本の姿勢を示しつつという常識、良識、節度を持った議論を日本の国会でしてほしいと思うのです。
国際的な経済外交関係の中で、アメリカとの関係で日本だけ浮いてしまうような立場は、日本にとって決して喜ばしい事ではないでしょう。
また、アメリカという国、特にトランプ政権の考え方からすれば、そうした特典が今後の日本にとって、大変な何かをもたらといったディールの可能性への配慮はあるのでしょうか。
日本の自動車産業にしてみても、今度の円安が始まる前は109円の円レートで頑張っていました。今150円です。これはアメリカの金利政策のせいですが、それで得た国際競争上の有利性は黙って保持するといった姿勢で日本はいいのでしょうか。
トランプさんの政治は、損得で大きく動くのかもしれません。しかし日本は、もう少し理性的で、論理的で、ぶれない国際感覚を持つ国でなければならないのではないでしょうか。