司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

継続会の開催と取締役等の任期の問題(補遺の補遺)

2020-04-23 09:33:37 | 会社法(改正商法等)
 改めて整理すると,

 従来の登記実務の考え方からすれば,定時株主総会の開催時期について3か月云々の定款の定めがある株式会社においては,例えば,定時総会を令和2年6月29日,その継続会を同年7月29日に開催するという場合,吉戒解説のとおり,現任の取締役等は,「令和2年6月30日任期満了により退任」となる。

 したがって,

(1)現任の取締役等が,6月29日開催の先の株主総会の終結の時に辞任し,後任者が同時に就任することとして,「令和2年6月29日辞任」&「同日就任」とする。

(2)後任者の就任の日を令和2年7月1日と設定することによって,「令和2年6月30日退任」&「令和2年7月1日就任」とする。

のいずれかの選択ということになる。

 法務省の救済的Q&Aの延長的な考え方として,

(3)現任の取締役等は,令和2年7月29日開催の継続会の終結の時に任期満了により退任するという解釈を採り,「令和2年7月29日退任」&「同日就任」とする。

もあり得るであろう。ただし,救済的Q&Aからは,明らかではない。

 多くの上場企業においては,

(4)現任の取締役等は,令和2年6月29日開催の先の株主総会の終結の時に任期満了により退任するという解釈を採り,「令和2年6月29日退任」&「同日就任」とする。

という形を実現することができれば,最もありがたいのではないか。

 ただし,継続会が開催される以上,令和2年6月29日開催の先の株主総会に「終結の時」を持ち込むことができるのかは,問題である。定時株主総会の終結の時は,あくまで継続会の終結時であるからである。

 とまれ,「定時株主総会」について,常識的な理解は,決算期後一定の時期に計算書類の承認,又は計算書類及び事業報告の報告が行われる株主総会であるが,会社法に定義があるわけではない。

 また,全株懇の定款モデルでは,「当会社の定時株主総会は,毎年6月にこれを開催し・・・」とある。

 というわけで,(4)の解釈を採ることも,ユーザー・フレンドリーに善解する立場からすれば,あり得るのではないか(なかなか厳しいとは思うが。)。
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