司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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法務大臣閣議後記者会見の概要「無国籍の子に係る調査に関する質疑について」

2021-07-21 21:53:04 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和3年7月20日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00219.html

「2件目でありますが,我が国で出生した無国籍の子について,緊急に調査をいたしましたので報告いたします。
 出入国在留管理庁では,過去5年間に我が国で出生した無国籍の子,約300人のデータをサンプルとして抽出し,国籍取得状況等について,調査・確認を行いました。
 その結果,無国籍となった主な理由は,国籍を立証する資料が不足していたこと,駐日大使館等での手続のみでは国籍取得が完了せず,本国の国籍・市民権担当行政機関での手続が必要であったことであると判明しました。
 また,国籍取得状況について確認した結果,約8割の方は,駐日大使館や本国の行政機関での手続の完了などにより,国籍が確定しており,また,年齢が上がるに従って無国籍状態の方の割合が減少していく実態も明らかになりました。
 これらの結果を踏まえまして,出入国在留管理庁では,FRESC等の相談窓口や在留諸手続の窓口におきまして,国籍取得の手続が未了となっている外国人の方を認知した際には,駐日大使館等への届出を適切に行えるよう案内するなど,より丁寧な説明を行うこととしました。
 出入国在留管理庁におきましては,外国人が無国籍であることを理由として不利益を被ることのない取扱いを行っており,その他の行政サービスについても,外国人が無国籍を理由に不利益を被ることのないよう関係機関と連携して対応するとともに,FRESC等の相談窓口や入管法上の取扱いについて,積極的な広報等を行ってまいりたいと考えております。」

○ 無国籍の子に係る調査に関する質疑について
【記者】
 無国籍の問題について伺います。大臣のお言葉があってこのような調査がされたことを,関係者は非常にありがたいと思っていると思うのですが,まず過去5年間の調査で,将来的に減っていく可能性があるにせよ,2割以上の子どもが無国籍の状態が続いている,この春の時点で2割以上が無国籍が続いているこの状況をどういうふうに御覧になったでしょうか。

【大臣】
 今回の調査でございますが,かねてから私も無国籍の問題ということについて,高い関心を持って取り組んでまいりまして,この問題につきましては,出入国在留管理庁に対しまして,具体的なケースをしっかりとカテゴライズしながら,それぞれの原因について,しっかりと分析して対応するようにということで,あらかじめ指示をしたところであります。
 なるべく早い時期にその結果を出してほしいということで,今日このような形で発表させていただいたところでございまして,国籍の取得についての手続については,先ほど申し上げたとおり,様々な原因がございます。そうした状況を,まず理解していただくことが極めて大事でありますし,また,国籍があるかどうかについて,FRESC等の窓口におきまして積極的な把握をしていくことも大事であると考えております。
 早い時期に発表し,情報提供をすること,そして問題の原因が本国の状況による場合もあるということでありますので,早く支援につないで,しっかりと国籍を取得していただくことが大事であると考えております。それでも条件の中で,国籍を取得できないという方は残るわけでございますが,その方々につきましても,国内で生活していらっしゃる以上は,在留カード等の問題もありますので,無国籍状態であったとしても,先ほど申し上げましたとおり,様々な行政サービスをしっかりと受けられるようにということについて,徹底をしていくことが必要ではないかと考えております。

【記者】
 無国籍の問題の関連で,行政職員の方の対応が不十分であるという問題についてです。
 行政職員の方,例えば入管庁ですとか法務局,市役所などで,無国籍の問題が十分に周知されていないという問題だけではなく,そもそも無国籍者というのが法的根拠がないという状況があるから行政職員の対応が不十分になりがちなのではないかという指摘があります。
 入管法でも,国籍法でも,法務省が所管している法律で,無国籍ということの定義がそれぞれ違っているという問題が背景にあると思います。
 政府のこれまでの答弁では,それぞれ目的が異なっているから,それぞれそのままでいいんだという答弁がなされてきたと思うのですけれども,今回なさった調査のように無国籍者を減らしていくということが目的となった場合には,やはり無国籍者を定義して,それを減らしていくために対応が必要になってくるのではないかと思うのですが,そういった無国籍者を定義して,これを法律で位置付けていくということは,日本にとって今後必要になってくると思うのですが,大臣いかがでしょうか。

【大臣】
 国籍というのは,各国それぞれの国籍法というのがありまして,それに従いまして決定されるということが通常であります。父母やその国籍が不明であり,また資料がないということから無国籍状態にあるという,そういうケースが増えていると,報道でそうした指摘もございました。
 それぞれ一人一人が御自分の国籍,つまり国ということを特定していくということが,様々な意味で非常に重要であると私自身は認識をしております。
 仮に外国人の方でない日本人が海外でということについても,同じことであると思っております。国籍を取得するということについては,手続上の様々な課題があることを,今回の調査において,カテゴリー別の分類をした上で,初めて明らかにさせていただきました。
 これに伴いまして,情報が周知されているかどうか,あるいは自分がそのことについてあまり意識をしていないけれども,窓口に行ったらそういう指摘をされたと,こうした積極的な,ある意味では把握ということについては,これは実は日本人の無戸籍問題,私が関わってきた問題と非常によく似ていると認識をしております。いろいろな窓口に来たときに,そのことの事実はどうなのかということを知らないと,そのための手続にも乗れないわけでありますので,そういったことの一連の流れをしっかり作っていくということが大事であると思っております。
 また,御指摘の法律の点もございますけれども,何といっても今のフレームワークの中の問題,課題について,しっかりと対応しながら,この問題の先行きについて,無国籍であるからといって,つまり,国籍取得の手続を試みた上で,なおかつ無国籍の状態にある方については,行政サービスについて差がないようにしていくというのは当然のことでありますので,そういったことも含めて対応してまいりたいと考えております。

【記者】
 事実上の無国籍,無国籍と在留カード上書いていなくて,フィリピンと書かれているような人たちは今回の調査対象にはなりませんでした。
 こういった問題を,入管庁,法務省としてやっていくとするならば,そこの最初の段階で,お母さんの国籍をそのまま書くのではなくて,無国籍と認定して,子どもの国籍が確認された段階で,フィリピンだったりタイとか書くべきなのではないかと思うのですが,最初の段階で母親の国籍が書かれることで気付けないというケースも出てきています。
 こうした問題というのは,運用で改善できるところではないかと思うのですが,その点いかがでしょうか。

【大臣】
 今回は300の事例について,5年間という期間での調査でありましたが,この間に,約8割の方々に国籍を取得していただくことができました。
 実際に無国籍状態であると自分が認識する前の段階,それから認識した後の手続,いろいろなフェーズがございますので,今のような御指摘も含めまして,国籍をしっかりと取得していただく手続に乗っていただくことができるように,また,不利益が生じないようにすること,これは在留カードの記載にかかわらずということでございまして,実質的な国籍の特定の有無,こうしたことについて,意をしっかり尽くしていくように現場にも指示をしているところでありますので,今回の結果をしっかりと生かしきっていきたいと思っております。
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