司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化(異聞)

2024-03-08 09:48:08 | 不動産登記法その他
数次相続が発生し各相続毎に共同相続の登記申請がされている場合における遺産分割協議後の登記申請について
https://note.com/suwanokomainu/n/n98c953deb961?s=09

 令和5年4月から,「法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化」が図られているが,上記は,法定相続分での相続登記が数次にわたってされている場合の更正の在り方について分析したものであり,慧眼である。

 私も,「更正」の射程として,職権抹消又は申請による抹消を認めてもよいと考える。

 例えば,第1の相続(被相続人 甲)の相続人がABCであり,その後遺産分割協議が未了のうちにCが亡くなって,その相続人がDEFである場合,甲の相続についてABDEFの5人で遺産分割協議を行うことになる。その結果,Aが単独で不動産を取得することになったとして,既に数次の法定相続分による相続登記を経ていた場合,第2次相続(被相続人 C)に関する持分移転登記については,便宜的な抹消登記を認めても差支えないであろう。

 ただし,コメント欄にあるとおり,当分の間は,慎重に。


〇 法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化(令和5年3月28日付け法務省民二第538号通達))
(1)法定相続分での相続登記(民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記をいう。以下同じ。)がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、所有権の更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができる。
 一 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記
 二 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
 三 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
 四 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

(2)(1)の所有権の更正の登記の申請において、申請情報の内容とする登記原因及びその日付は、次の振り合いによるものとする。
 ア (1)一の場合
  「年月日【遺産分割の協議若しくは調停の成立した年月日又はその審判の確定した年月日】遺産分割」
 イ (1)二の場合
  「年月日【相続の放棄の申述が受理された年月日】相続放棄」
 ウ (1)三の場合
  「年月日【特定財産承継遺言の効力の生じた年月日】特定財産承継遺言」
 エ (1)四の場合
  「年月日【遺贈の効力の生じた年月日】遺贈」

(3)(1)の所有権の更正の登記の申請をする場合に提供する登記原因証明情報としては、次のようなものが該当する。
 ア (1)一の場合
  遺産分割協議書( 当該遺産分割協議書に押印した申請人以外の相続人の印鑑に関する証明書を含む。)、遺産分割の審判書の謄本(確定証明書付き)、遺産分割の調停調書の謄本
 イ (1)二の場合
  相続放棄申述受理証明書及び相続を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)
 ウ (1)三の場合
  遺言書(家庭裁判所による検認が必要なものにあっては、当該検認の手続を経たもの)
 エ (1)四の場合
  遺言書(家庭裁判所による検認が必要なものにあっては、当該検認の手続を経たもの)

(4)登記官は、(1)の三及び四の登記(所有権の更正の登記)の申請(登記権利者が単独で申請するものに限る。)があった場合には、登記義務者に対し、当該申請があった旨を通知しなければならない(改正不登規則第183条第4項)。
この通知の様式等については、改正不登準則によるものとし(改正不登準則第117条、第118条第15号)、当該申請の調査完了後、速やかに登記義務者の登記記録上の住所に宛てて通知書を発送するものとする。
 なお、登記官において、当該通知後に、登記義務者からの求め等に応じ、登記手続の処理を中止・停止することを要しない。

(5)(1)の所有権の更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾がなければ申請することができないことなどは、従前のとおりである(不登法第66条、第68条等)。
 
(6)登記の記録は、別紙2の振り合いによるものとする。

(7)本取扱いは、令和5年4月1日以後にされる登記の申請から実施するものとする。
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2 コメント

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Unknown (洋なし)
2024-03-08 17:08:25
現在、上記事案の申請で1ヶ月以上、登記がとまってます...
御回答 (内藤卓)
2024-03-08 17:58:53
それは,それは・・・たいへんですね。

システム上の問題でしょうか。

今般の簡略化の趣旨からすれば,認めるべきだと思いますけどね。

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