司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

なぜ知らぬ間に火葬されたのか? “遺体トラブル”の深層

2024-06-09 18:39:45 | いろいろ
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240609/k10014473361000.html

「搬送され、亡くなったのは3月22日。火葬はその2日後に行われていました。この役場に来たのが28日ですから、4日前のことです。
「火葬許可証」には誰かの名前がサインされていました。」(上掲記事)

 さすがに,これほど慌てて火葬に付す必要があったのか,疑問であるが。

cf. 令和6年4月5日付け「誰が火葬のOK出したんや」
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完成間近のマンションを解体~富士山が見えなくなるから?

2024-06-07 19:54:35 | 不動産登記法その他
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF077BQ0X00C24A6000000/

朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASS6720ZCS67UTIL014M.html

「国立駅から南西に延びる「富士見通り」沿いの物件だった。SNSなどではマンションが建つことで「富士山が見えなくなる」などの指摘があった。積水ハウスは国立市の景観条例を含めて「各種法令はクリアしていた」と説明しているが、周辺住民の反対を受けて解体を決めた可能性がある。」(上掲日経記事)

「富士見通」なのに,富士山が見えなくなるから?

 とはいえ,すごいな。

 朝日新聞記事の写真で,建設前と建設後を比較することができる。
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婚姻数,戦後最少の47万組に

2024-06-05 22:43:43 | 家事事件(成年後見等)
共同通信記事
https://www.47news.jp/11020124.html

「2023年の婚姻数は初めて50万組を割り込み、47万4717組(前年比3万213組減)だった・・・・・婚姻数は1972年の109万9984組がピーク。70年代後半から2010年まではおおむね70万組台を維持していたが、18年に初めて60万組を割るなど減少基調が続く。」(上掲記事)

「晩婚化」&「非婚化」の影響か。
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フリーランス新法と士業

2024-06-05 05:58:46 | 司法書士(改正不動産登記法等)
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

「 「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(令和5年度法律第25号。以下「法」という。)が令和5年4月28日に可決成立し、同年5月12日に公布されました。法は令和6年11月1日に施行されます。
 個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられます。法の取引の適正化に係る規定については主に公正取引委員会及び中小企業庁が、就業環境の整備に係る規定については主に厚生労働省がそれぞれ執行を担います。」

 この法律の士業への適用に関して,政省令に関するパブコメの結果によれば,次のとおりである。

 司法書士等の士業も,ワンオペであれば,対象になる(同居の親族のみを補助者にしている場合は,対象に含まれる。)。

1-2-23
「特定受託事業者」には、弁護士が含まれるか否かについては、当該弁護士が事務員として従業員(非同居親族)を雇用している場合には、特定受託事業者に該当しないとの理解でよいか。

1-2-24
 弁護士、社労士、司法書士等の「士業」は特定受託事業者に該当するのでしょうか。例えば、企業が司法書士(従業員なし)に変更登記手続を委任する場合等のケースを想定しています。

1-2-25
 法律事務所において、法律事務所を経営している弁護士(いわゆるボス弁、パートナー弁護士)が、業務委託の形で弁護士(いわゆるイソ弁、アソシエイト弁護士)を事務所に所属させる通例である。現行法下においては、下請法が適用されないという整理の元、業務委託契約について契約書など、書面が作成されていない事例が多数存在する。このような事態を是正するために本法の適用は極めて重要と思われるため、業務委託を受けて法律事務所に所属する弁護士が特定受託事業者に該当することを確認したい。

【考え方】
 「特定受託事業者」には業種の限定は無く、士業等であったとしても、業務委託の相手方である事業者であって、①個人であって、従業員を使用しないもの、②法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいいます。)がなく、かつ、従業員を使用しないもののいずれかに該当するものであれば、「特定受託事業者」となります。
 なお、事業に同居親族のみを使用している場合には、「従業員を使用」に該当しません(解釈ガイドライン第1部1⑴参照)。

cf. 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の施行に伴い整備する関係政令等について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=110300040&Mode=1
※ パブコメの結果については,別紙2を参照
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規制改革の動き「倒産手続のデジタル化」

2024-06-04 18:39:53 | 民事訴訟等
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 40頁
ウ 倒産手続のデジタル化
【a~d:令和6年度に検討に着手し、
改正法の施行時期に先立つ可能な限り速やかな時期に結論、結論を得て措置】

<基本的考え方>
 破産手続、民事再生手続又は会社更生手続(以下「倒産手続」という。)においては、現時点では書面による手続が中心となっており、場合によっては、数十万人に上る多数の債権者が債権額・債権発生原因等の債権届出を行うなど書面中心の手続に起因して、倒産手続の長期化、コストの増大(※)が生じていることから、デジタル化による破産管財人等の業務効率化によって、手続の迅速化や配当額の増大等の効果が期待される。
※ 破産管財人が債権者に対し、債権届出書を含む書面を送付する費用だけで、債権者が10万名で7回送付した場合、約1億円のコストがかかるとの指摘がある。
 以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
a 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、債権届出を行う債権者に関する本人確認について、現在、書面による債権届出書提出の場合には、届出時点で運転免許証等の提示等による厳格な本人確認は行われておらず、特段の問題が生じていないことを踏まえ、手続のデジタル化に伴う債権者等の手続負担の軽減を図る観点から、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」(平成31年2月25日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)等の内容も参照し、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システム導入に当たり、インターネットを利用した債権届出の電子提出時の本人確認は、書面による債権届出の際の本人確認の程度と比較して、債権者に不要な負担を課さないものとするなどして、債権者がシステムの利用を選択しやすくする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所によるシステム構築のための環境整備に取り組む。

b  法務省は、司法府における自律的判断を尊重しつつ、令和10年6月までに最高裁判所が整備する予定の倒産手続の電子システムにおいて、民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号。以下「改正法」という。)の趣旨を踏まえて、債権届出に係る情報がテキストデータの形で入力可能となること、その上で、債権者が裁判所に対して書面で債権届出を行った場合には、破産法(平成16年法律第75号)、民事再生法(平成11年法律第225号)又は会社更生法(平成14年法律第154号)上、裁判所書記官が債権届出によって得られる情報を基礎として債権者や債権額等の一覧表(債権者表)を作成することが定められていることを踏まえつつも、破産管財人等がテキストデータ化する方が個別の事案を効率的に処理できると認められる場合もあることに鑑み、改正法の下で、いたずらにテキストデータ化の負担を破産管財人等にかけることなく、適切な運用が図られるための環境整備に取り組む。

c 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、債権届出における債権額等の情報をテキストデータで管理・変換することのみによっては、債権調査や配当金額の計算など後続の手続を破産管財人等が情報システム等によって効率的に行うことが困難であり、デジタル完結を実現することが必要であるとの指摘があることを踏まえ、倒産手続の迅速化、効率化を推進する観点から、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システムの導入に当たって、破産管財人等が、債権届出における債権額等のデータを債権調査、配当金額の計算その他の後続の手続にも自動的に利用することを可能とする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所による情報システムの構築のための環境整備に取り組む。

d 法務省は、倒産手続に携わる実務家から諸外国と比較して倒産手続のデジタル化に係る司法府の取組が遅れており、デジタル化の運用開始までに時間を要することへの懸念が示されていることも受け止め、司法府における自律的判断を尊重しつつ、破産管財人等が債権者に郵送することが一般的な書面について、倒産手続の電子システム導入に合わせて、当該書面に係る情報の提供方法もデジタル化し、郵送費用を削減することにより、債権者に対する配当額を増やすべきとの指摘を踏まえ、令和10年6月までに予定される倒産手続の電子システム導入に当たり、破産管財人等が裁判所に提出する財産状況報告書又は認否書その他倒産手続において破産管財人等から債権者に送付されることが一般的な書面の全てについて、破産管財人等がこれらの書面をシステムを通じて裁判所に提出した際に、同時に当該書面提出があった旨の電子的通知が債権者にも発出され、債権者が電子的に当該書面を閲覧できるようにする方向で、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所によるシステム又は機能の構築のための環境整備に取り組む。
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規制改革の動き「会社法の改正」

2024-06-04 18:34:50 | 会社法(改正商法等)
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 99頁
(3)海外活力の取り込み・内外人材活用
(ⅰ) 株式報酬の発行環境を改善する会社法制・金融商品取引法制の見直し
【ア:引き続き検討し、令和6年度中に法制審議会への諮問等を行い、速やかに結論を得て措置、
イ:(a①~③)引き続き検討し、令和6年度上期中に結論を得て速やかに措置、
(a④・b)措置済み、
ウ:措置済み】

<基本的考え方>
 株式報酬は、業績等と連動して報酬額が増減する、ストックオプションと異なり株式そのものを付与するため株価が下がっても上昇するまで保有していれば恩恵を受けることができるなどの特徴を有することから、働き手にとっては働きがいのインセンティブとなり、また、企業にとっては人材確保及び中長期的な企業価値向上の有用な手段となるものであり、我が国企業において導入ニーズが高まっている。
 他方で、会社法制及び金融商品取引法制の規制によって企業はストックオプションを含む株式報酬を発行しにくいとの指摘がある。そこで、企業が優秀な人材を確保しやすくなるよう、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
ア 従業員等に対する株式報酬の無償交付を可能とする会社法の見直し
 法務省は、会社法上、株式そのものを付与する株式報酬の無償交付は上場会社の取締役又は執行役の場合のみに限られ、従業員又は子会社役職員(以下「従業員等」という。)には無償交付することが許されない現行法制について、企業が優秀な人材を円滑に確保しやすくする観点から、従業員等に対する無償交付が可能となるよう、会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
 なお、株式報酬の無償交付に当たっての既存株主への配慮については、自身への報酬について不当に有利な額とするおそれがある役員報酬と異なり、従業員報酬は経営判断の範疇と整理し得るとの意見等を踏まえ、株主総会決議を不要とすることも含め検討する。

イ 株式報酬の発行円滑化に向けた金融商品取引法制の見直し
a 金融庁は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)上、企業が1億円以上の有価証券を発行する際にも有価証券届出書の提出を不要とする特例制度(金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第2条の12。以下「特例」という。)に関し、コーポレートガバナンス強化及び人材確保に資するよう、その活用範囲拡大、利便性向上によって株式報酬の発行を円滑化するため、以下を内容とする同施行令の改正等を検討し、結論を得次第、必要な措置を行う。
① 特例の活用が可能となる株式報酬について、現行の譲渡制限付株式(RS)、ストックオプションに加え、これらと同等の経済的意義がある譲渡制限付株式ユニット(RSU)、パフォーマンスシェアユニット(PSU)、信託型株式報酬、従業員株式所有制度といった株式報酬類型を新設する。
② 特例の活用が可能となる付与対象者の範囲について、現行、発行企業と発行企業の完全子会社の役職員に限定されているところ、戦略的な企業経営の実態も考慮し、完全子会社ではない子会社の役職員にも拡張する。
③ RSに関し、特例の活用が可能となる、交付を受けることとなる日の属する事業年度経過後3月(外国会社にあっては6月)を超える期間(以下「所定期間」という。)譲渡が禁止される旨の制限という要件について、所定期間の合理性の有無を検証し見直しを行う。
④ RSに関し、交付対象者の死亡等によって譲渡制限が解除されるものであっても、特例の要件を充足することの明確化を検討し、結論を得次第、「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」の改正を行う。

b 金融庁は、企業が、在任者・在職者に対して、報酬目的の株式を第三者割当の方法で発行する場合、有価証券届出書等の開示書類の「第三者割当の場合の特記事項」に、氏名、住所、現在の職業及び個人氏名に紐付けた株式保有数等のプライバシー情報の記載は不要である一方、退任者・退職者の場合、記載が必要(企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)第19条第2項第1号ヲ)とされていることについて、退任者・退職者も、在任者・在職者の場合と同様、プライバシー情報の開示を不要とするため、同内閣府令の改正等を検討し、結論を得次第、必要な措置を行う。

ウ ストックオプションプールの実現に向けた産業競争力強化法の見直し
 経済産業省は、スタートアップが優秀な人材を確保しやすくする観点から、ストックオプションを柔軟かつ機動的に発行可能な環境を整備するため、会社法の特例として、以下を内容とする産業競争力強化法の改正案を国会に提出する。
① 権利行使価額や権利行使期間の決定を株主総会から取締役会へ委任できることとする。
② 株主総会から取締役会への委任の有効期限(現行1年)を撤廃する。



※ 103頁
(4)スタートアップの資金調達
(ⅰ) 非上場株式の発行・流通の活性化
【アa,エ:令和6年検討開始、令和7年度措置、
アb~d,イa~d,ウ:令和6年度検討、結論を得次第速やかに措置】

<基本的考え方>
 我が国のスタートアップ等の企業について、ユニコーンやグローバル企業への成長促進や、地域経済再生への貢献等の観点から、適切な投資家保護を確保しつつ、非上場企業についても非上場株式の発行及び流通を活性化することを通じて、円滑な資金調達の途を確保する必要がある。
 以上の考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
ア 発行市場(公募)の活性化
a  金融庁は、事業者が株式による資金調達を行う際に過大な手続コストが掛かるという指摘があることを踏まえ、b,cにおける募集の在り方について検討を行うに当たっては、事業者負担に関する実態調査を行い、コストを分析し、公表する。

b 金融庁は、現行の有価証券届出書の届出免除基準について、スタートアップの具体的な資金ニーズ、投資家保護や事業者負担の実態等を踏まえつつ、基準の引上げを含め制度の在り方について検討し、結論を得る。

c 金融庁は、現行の金融商品取引法第5号第2項に基づく少額募集について、金融庁が現在検討している開示の簡素化を早期に実施するとともに、例えば、少額募集の上限を20億円程度まで引き上げ、1億円から5億円未満、5億円から10億円未満、10億円から20億円未満の金額帯で開示を簡素化する案等、投資家保護の要請に応えつつ、段階的かつ合理的な開示制度となるよう見直しを検討し、結論を得る。

d 金融庁は、株式投資型クラウドファンディング(以下「ECF」という。)について、発行者と投資家との間にファンドを介在させることで株主の一元化を図る、いわゆるシンジケート型の仕組みを採りやすくすることを可能とし、もって、スタートアップ等における資金調達を円滑にする観点から、ECF事業者が顧客やマーケットのニーズに合わせて想定しているビジネスモデルに鑑み、単一株式での運用や投資運用に関する判断が限定的である等の特徴があることを勘案して、この場合に必要な人的構成等に係る登録審査の在り方がどういうものかや、投資運用業の例外的な取扱いをすることがあり得るかを含め、投資家保護の視点に配慮しつつ、ECF事業者が利用しやすい制度となるよう検討し、結論を得る。あわせて、クラウドファンディングに係る自主規制が全体として整合性が確保されるよう検討する。

イ 発行市場(私募)の活性化
a 金融庁は、日本証券業協会と連携し、非上場株式市場を活性化させる観点から、日本証券業協会が定める非上場株式の取扱いに係る自主規制について、発行企業の資金調達の効率化と情報開示を通じた投資家保護の強化に留意しつつ、証券会社による非上場株式の勧誘の在り方を検討し、結論を得る。
 その際、金融庁は、日本証券業協会と連携し、事業者等と議論する場を設け、新たな視点を持った構成員を入れて議論する。議論の際には、参加者の同意が得られる場合には、その議事の公開や議事録を公表するなど透明性の確保に留意する。

b 金融庁は、スタートアップ等が株式による資金調達をしやすくする観点から、投資家保護のための規制が事業者の情報発信や勧誘活動を過大に制約していないか等を検証し、スタートアップの具体的な資金ニーズ、投資家保護や事業者負担の実態等を踏まえつつ、例えば、特定投資家私募時に広範囲に情報提供を認める案や、少人数私募における人数要件(49名以下)の緩和や人数計算を勧誘者基準から取得者基準に変更する案等、広く私募の在り方について検討し、結論を得る。

c 金融庁は、インターネット利用、ピッチイベント等具体的な場面における少人数私募制度に関する考え方を明確化し、少人数私募制度の活用の仕方について改めて整理する。

d 金融庁は、スタートアップ・エコシステムを進化させる観点から、IPОやМ&Aでエグジットした起業家等について、スタートアップに関する実体験に基づく知見を有するとともに一定の資産を保有しているかどうか等を勘案した上で、投資家保護に留意しつつ、特定投資家の要件のうちの「特定の知識経験を有する者」を活用できることを周知することや、その対象範囲の拡大を含めて検討することを通じて、特定投資家の裾野拡大に向けた取組を行う。



※ 107頁
イ 株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の見直し
【令和6年度検討、同年度中に法制審議会への諮問等を行い、速やかに結論を得て措置】

<基本的考え方>
 M&Aにおける対価として、現金ではなく、買収者の株式も利用することで、スタートアップ等が買収者として、その成長力を担保にして、手元の現金に依存するよりも効率的に大規模な事業再編を行うことが可能となる。また、逆に、スタートアップ等が他社に買収された後も株式の保有を通じて当該他社の経営に参画するといったシナジーが期待できるなど、スタートアップのエグジットを多様化できる可能性がある。
 他方で、現行の会社法に規定された株式対価M&Aの一類型である株式交付は、外国会社を買収する場合には活用できないなど活用範囲が狭い、手続負担が過剰となっている点で使い勝手が悪いといった指摘があり、制度を見直す必要がある。このため、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>
 法務省は、株式交付について活用範囲拡大、手続の簡素化を通じてスタートアップ等による活用を促進する以下の内容等の株式対価M&Aの活性化に向けた会社法の改正を検討し、法制審議会への諮問等を行い、結論を得次第、法案を国会に提出する。
① 買収会社が上場会社である場合、当該上場会社の株式流通市場における株式売却の機会が担保されていることを踏まえ、当該買収会社の反対株主の買収会社に対する株式買取請求権を撤廃する。
② 現行法上、株式交付は、制度利用可否を一律に判断する観点から、国内株式会社を買収する場合のみに利用が認められているところ、スタートアップ等の積極的な海外展開ニーズが高まっていることを踏まえ、外国会社を買収する場合にも利用可能とする。
③ 現行法上、株式交付は、一度の制度利用で買収会社が買収対象会社を子会社化する場合のみに利用が認められているところ、既に子会社である株式会社の株式を追加取得する場合や連結子会社化する場合にも利用可能とする。
④ 現行法上、株式交付は、買収対価が株式のみである場合には買収会社において債権者保護手続が不要となっているところ、株式と現金を組み合わせた混合対価の場合にも、必ずしも過大な財産流出が生じないことを踏まえ、同手続を撤廃する。
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規制改革の動き「マネロン対策のための法人の実質的支配者情報の把握」

2024-06-04 18:25:17 | 会社法(改正商法等)
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 96頁
イ マネロン対策のための法人の実質的支配者情報の把握
【a~c:令和6年度中に着手し、速やかに措置、
d:令和7年度末までに着手し、速やかに措置】

a 法務省は、株式会社が自らの実質的支配者(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成20年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号)第11条第2項第1号の自然人(同条第4項の規定により自然人とみなされるものを含む)をいう。以下同じ。)を容易に把握することを可能とする観点から、当該株式会社の株主である他の株式会社(当該他の株式会社の株主等を含む。)の実質的支配者リストを活用し、必要な情報を取得可能とする方策を検討し、商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則(令和3年9月17日法務省告示第187号)の改正等の所要の措置を講ずる。

b 法務省は、株式会社の設立後においてもその実質的支配者情報を正確かつ円滑に把握可能とし、法人の透明性向上及びマネロン対策の強化に資するよう、設立登記時のほか、役員の変更登記申請等を行う際にも実質的支配者リストの商業登記所への保管申請を当該株式会社に求める方策及び特定事業者(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第2条第2項に規定する「特定事業者」をいう。以下同じ。)が同法第4条に基づく取引時確認を行う際に実質的支配者リストを顧客等を介さず商業登記所から直接取得することを可能とする方策を検討し、商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則の改正等の所要の措置を講ずる。

c 警察庁及び金融庁は、特定事業者が保持する実質的支配者情報に対する当局による迅速なアクセスを確保する観点から、特定事業者への情報照会システムを利用して、特定事業者が取引時確認等で得た実質的支配者情報やその他の顧客情報についても、当局が把握するために必要なシステム整備等の方策を検討し、所要の措置を講ずる。

d 警察庁、金融庁、法務省、財務省及び経済産業省は、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針」(令和4年5月19日マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議決定)及び「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」(令和6年4月17日同会議決定)や上記a~cの取組による実効性を踏まえ、株式会社以外を含めマネロンに利用される可能性が相当程度存在する全ての法人形態について、事業者負担にも配慮しつつ、そのリスクに応じ、法人の実質的支配者情報の一元的、継続的、かつ正確な把握を可能とする枠組みに関する制度整備を新法の制定や法改正を含めて検討し、結論を得次第、必要な措置を講ずる。
※ 省庁の記載の順序は建制順。
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規制改革の動き「起業家の負担軽減に向けた定款認証・法人設立手続の見直し」

2024-06-04 18:22:50 | 会社法(改正商法等)
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 95頁
ア 起業家の負担軽減に向けた定款認証・法人設立手続の見直し
【a:令和6年度中に着手、
b前段:令和6年度上期措置、b後段:aによるシステム等の構築後、速やかに措置、
c:令和6年度中に措置、
d:令和6年度中に措置、
e:令和7年度中に措置、
f:令和6年度中に検討着手】

a 法務省は、スタートアップの法人設立時における起業家の負担を軽減する観点から、所定のフォームに一定の必要事項(商号・事業目的・発行可能株式数等)を発起人等(会社法第26条の規定により定款の作成を行う発起人及びその代理人をいう。以下同じ。)が入力又は選択することで定款の必須記載事項等を満たした定型的な株式会社の定款案(以下「モデル定款」という。)を簡易・確実・迅速に作成することが可能なシステムないしアプリケーション(以下「システム等」という。)を構築する。その際、スタートアップのニーズを踏まえた組織形態に十分対応できるものを念頭に置いた上で、モデル定款の検討を行う。

b 法務省は、発起人等がモデル定款(令和5年12月に公開された「定款作成支援ツール」によって作成された定款案を含む。以下この項において同じ。)を用いて定款認証を行う場合に、定款案の提出から法人設立登記までを原則として72時間以内に完了させる新たな運用を開始する。その際、発起人等からの情報提供を要することなく、公証人・法務局間での連携によって当該運用を実現するものとする。あわせて、法務省は本取組を拡充し、デジタル庁と連携して、デジタル庁が運営する「法人設立ワンストップサービス」でaにて構築したシステム等により作成されるモデル定款を利用した場合には、原則として、24時間以内に、定款認証及び法人設立登記を完了させる運用を開始するとともに、同サービスを利用できない代理人による申請についても同様に24時間以内に完了させる運用を可能とする。加えて、いずれの申請による場合であっても、定款案の作成から設立登記の申請まで一括して行うことができるようにする。

c 法務省は、モデル定款について、民間事業者が提供する法人設立支援サービスにおいてもbと同様の機能の実装が可能となるよう、希望する民間事業者に対して必要な情報提供その他の協力を行う。

d 法務省は、スタートアップの法人設立時における財政的基盤の乏しい起業家の負担を軽減し、スタートアップの創出を加速する観点から、公証人の定款認証手数料について、事業実態・事業規模等一定の条件を満たす場合に、現行3万円の最低区分を半額程度にまで引き下げることを目指して検討する。

e 法務省は、デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和5年6月9日閣議決定)において「犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。」とされていること等を踏まえ、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本として、デジタル技術を用いた手法で、定款認証における発起人の本人確認及び真意の確認を行うことにより、公証人による面前確認について、違法・不当な目的による会社設立であることが疑われる等の事情がない場合には、原則として省略することを可能とする方向で具体的方策等を検討し、令和6年度中に結論を得た上で、必要に応じて令和7年度中を目標に公証人法の改正法案を提出するなど所要の措置を講ずる。

f 法務省は、令和5年の行政事業レビューにおける「将来的な定款認証制度の廃止を含め、制度の在り方を年度内に早期に検討すべきである。」旨の取りまとめ及び「起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しに関する検討会~議論の取りまとめ~」(令和6年1月31日)において示された今後の制度設計の方向性等を踏まえ、将来的な株式会社設立の際の定款認証制度の在り方について、制度そのものの必要性を含め、検討を行う。
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規制改革の動き「死亡・相続手続のデジタル化」

2024-06-04 18:13:09 | 不動産登記法その他
第19回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/240531/agenda.html

 規制改革会議が最終答申をまとめている。

※ 42頁
エ 死亡・相続手続のデジタル化
b 法務省は、デジタル庁と連携し、相続手続の基礎となる法定相続人の特定に当たり、被相続人の生涯における全本籍地の戸籍証明書等を市区町村から書面で収集した上で、相続手続ごとに戸籍証明書等を提出する書面のやり取りが相続人の負担となっているとの指摘がある一方で、戸籍証明書等は、多くの市区町村でオンライン請求が行われておらず、かつ、その交付をオンラインで行っている市区町村がない現状を踏まえ、相続に伴う遺族等の負担を軽減する観点から、マイナポータル等を用いた戸籍証明書等の操作性に十分配慮したオンライン請求を全国で実現することを目指し、戸籍情報連携システムの改善を含め、その方策に関する具体的検討に着手し、結論を得次第、市区町村と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。また、戸籍証明書等の電子交付を、平成6年の戸籍法改正から令和2年9月にかけて行われた全国の市区町村における戸籍事務のコンピュータ化に伴い順次テキストデータ化されている戸籍情報及び各市区町村のコンピュータ化以前の戸籍のうちイメージデータ化されている約1.1億件の戸籍情報を対象に全国で実現することを目指し、具体的検討に着手し、結論を得次第、市区町村と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。さらに、戸籍法(昭和22年法律第224号)第10条の2第3項の士業者が職務のために戸籍証明書等を請求する場合についても、操作性に十分配慮したオンライン請求を実現するため、他の行政手続における対応も参考に、不正請求の防止策を含めて具体的検討を行い、結論を得次第、市区町村及び士業団体と連携して、情報システムの見直しなど所要の措置を講ずる。
 あわせて、記載された日付の誤り、電子化できない文字があることなどの事由により電子情報処理組織による取扱いに適合しない戸籍(改製不適合戸籍)約8.8千件の当該事由の解消による機械可読なテキストデータ化及び紙を原本として取り扱っている約5万件の除籍のイメージデータ化を完了していない市区町村名について、各市区町村に情報提供し、進捗に応じて更新する。

c 法務省は、デジタル庁と連携し、戸籍証明書等に基づき相続人が作成した「法定相続情報一覧図」を登記官が認証し、無料で交付している法定相続情報証明制度に関し、その利用により行政機関又は民間事業者における相続に関わる業務を効率化することができる一方、現状では、法務局への申出の方法及び交付される証明書が書面に限定されていることを踏まえ、マイナポータル連携を含めて申出や証明書の交付をオンライン化するための方策を、民間事業者等の意見も聞きながら、費用対効果や証明書の提出先となる各種機関における電子署名の検証等の体制の整備状況を考慮して検討し、結論を得次第、情報システムの整備など所要の措置を講ずる。

d 法務省は、現状では、相続人が自ら戸籍証明書等を収集して行政機関や金融機関等の民間事業者に法定相続関係を証明する必要があり、相続人の負担となっているところ、行政が保有している戸籍情報に基づき、戸籍上の証拠が残存する範囲において相続人の関与なく機械的に法定相続人を特定し、相続人の手続負担を回避する仕組みの構築の実現可否について、デジタル庁と連携して検討し、結論を得る。
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「戦後占領期の民法改正過程 ー「家」の廃止ー」

2024-06-04 10:22:21 | 民法改正
私法(1999 年 1999 巻 61 号 p. 230-236)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shiho1949/1999/61/1999_61_230/_article/-char/ja

 朝ドラ「虎に翼」で,ちょうど戦後の家族法改正作業が取り上げられているが,和田佳彦「戦後占領期の民法改正過程 ー「家」の廃止ー」がそのあたりの事情に詳しい。

 神保教授のモデルは,若干設定は異なるが,牧野英一か?
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