世の中全体では男女の人数は同数ではなく、男性の方が多い。2020年の国勢調査による未婚の「男余り」は約430万人ということだ。これは1920年の国勢調査開始以降の最高記録とのことである。未婚の女性が全員結婚したとしても430万人の男性は絶対にあぶれてしまう運命にある。完全な「男性余り」の実態である。
・・・にも関わらず、だ。
結婚相談所に登録している人数は圧倒的に女性が多く男性が少ない。どこの相談所に聞いても男女の比率は女性が多く、「女性が余っている」状態に変わりはない。
なぜそうなるのか?
色々な原因がある。
昔、「皆婚時代」と呼ばれていた大正~昭和中期の時代はコンビニはもちろん、スーパーマーケットも無かった時代である。食事をしようと思えば誰でも八百屋や肉屋・魚屋等で食材を買い、それを自分で調理しなければならなかった。必然的に男性は稼ぐことに専念し、女性は子育てを含む家事全般を引き受ける分業体制にならざるを得なかったのである。これが原因の一つ。
もう一つは明治民法による結婚保護政策によって個人と個人の関係以上に家と家の結びつきを重視したことで上述の分業体制が確立されたことであろう。この時代に「お見合い」という社会的マッチングシステムが始まったのである。これは異性とうまく関係を築けない恋愛弱者の男性たちには大きな力となったことであろう。だから、昭和の時代まではほぼ100%に近い婚姻率が実現されていたのだし、社会的に「男性は結婚してこそ一人前」という価値観が広く浸透していたのである。結婚しないでいると「あの人は何か問題がある」とまで陰口を囁かれるほどだったのだ。
だが、1980年代あたりから世の中は段々と恋愛至上主義に傾き始めた。荒川和久氏によれば男性の3割が恋愛強者であり、残りの7割が恋愛弱者である。この比率はいつの時代も変わらない。恋愛至上主義に彩られ始めた社会は徐々に恋愛格差が目立ち始める。何も努力せずとも異性とカップリングできる3割の恋愛強者はともかく、残りの7割の恋愛弱者達には冬の時代が訪れてきたのだ。つまり「結婚できなくなってきた」のであり、恋愛(交際)もままならなくなってきたのだ。しかもここに就職氷河期が重なる。これが本来なら1990年代に訪れる筈だった第3次ベビーブームが来なかった主たる理由である。
もう一つ。
当時の政府が「少子化を推進」していた、という事実が以外に知られていない。当時は右肩上がりで人口は増えていたが、政府は「人口爆発で資源が足りなくなる」と国民に啓蒙し始めるのだ。そしてこれに日本国民は素直に応じてしまったのである。「子供は二人まで」という標語を当時のマスコミは大々的に喧伝した。それを真面目に守った日本国民だったが、実はこの時代に既に現在(2020年代)の少子化現象は予測されていた。当時の官僚が作成した資料に記されているし、ほぼ寸分たがわずにその通りにデータが推移しているのは興味深いところである。(*1)
こうして人口抑制に舵を切った日本だったが、それは同時に婚姻数の大減少を招いてしまった。今のマスコミはそこは都合が悪いので言わないのである。(蔑笑)
社会に広がった前述の恋愛至上主義は多くの恋愛弱者男性たちの弱く惨めな立場を改めて再自覚させる事になり、彼らはやがて現代の「婚活」という活動なしには結婚にたどり着けない立場にまで追い込まれてしまったのである。
「婚活」といえば「婚活という言葉を作ったのは僕です」という自慢ばかりで、その言説は何一つ少子化対策の改善に繋がらなかった中央大学教授の山田昌弘氏がよくテレビでコメントしているのを見かける。はっきり言って山田氏にこの問題解決の能力が無かったのは明らかであろう。悪口ではない。事実、この山田昌弘教授は長年に渡って政府の少子化対策会議のメンバーであったにも関わらず、何一つ成果を上げられず、少子化の本質を明らかにできなかった事が証明している。しかも今になってテレビ番組等で、独身研究家の荒川和久氏の言説をパクってコメントし始めている事実は山田氏の能力の低さと人間性を表しているのであろうと思われる。さらに、「婚活」という言葉で社会に混乱をもたらした罪の大きさは計り知れないが、本人はその責任の重さについて自覚が全くないようだが。
ここで冒頭の結婚相談所の「女性余り」についての話に戻る。
相談所の担当者によれば、現代の男性は「結婚」に焦りを感じていないそうで、確かに生活家電の充実やコンビニ・スーパーマーケットの存在がそうした考えを下支えしていると言えよう。また、女性と違って自分が出産する訳ではないのでそれもあろう。しかも結婚相談所はお金もかかり、提出する書類を揃えるだけで頭が痛くなるほど面倒だ。そして、何より自分自身のスペックを上から目線で査定されることに嫌悪感を持っているからである。
男性のスペックで最も大きなものは「年収」である。さらに顔が良いこと、つまりイケメンである事も必要だが、女性にとってみればそれは前提条件であろう。ここでは「年収」にスポットを当てるが、そもそもここ30年ほど、日本人の年収は伸びていない。伸びないどころか下がってもいる。(これは政府というより、増税や社会負担を増やす事ばかり考える財務省が悪い)その一方で女性側が希望する男性の年収は上昇するばかりであり、希望と実態の乖離が年々激しくなっていっている。男性の年収として現在最もボリュームゾーンと言えるのは200万~300万台である。しかし女性の希望は一千万、妥協しても800万、下げても600万くらいであろうか。そんな年収を稼ぐ男性はほんの数えるほどしかいないのが実態である。
そして、結婚相談所で女性が希望する男性の年収を例えば「500万以上」とすれば、コンピュータシステム上に於いて200万円台や300万円台の男性たちはマッチングされず、最初から「存在しない」人間として除外される。「いなかった人々」という扱いだ。また、相談所によっては年収200万円台では入会を断るケースも多いようだ。つまり最初から年収で足切りされているので、マッチング相手としての母数はぐんと減ってしまうことになる。
現代の婚活において、女性たちは男性に対して「高い年収」と「イケメンな顔立ち」を当然のように要求してくる。これでは大抵の男性は婚活市場から撤退する。当たり前だ。
これらが結婚相談所で「女性余り」が発生する主な原因である。
そもそも男女の結びつきを「婚活」というシステマティックな方法で実現しようとした山田昌弘教授の浅はかな考えには喫驚するばかりである。男女をスペックでマッチングさせるならば、女性は「高収入」の男性にだけ群がる結末になるのは目に見えている。今になって山田教授は「僕はそんなつもりで婚活を提唱したのではないが、誤解されてしまった」という趣旨の言い訳をしているが、まさしく「言い訳」に過ぎない。子供か。自分の考えの浅さを他人の誤解に責任転嫁しているのは卑怯とも言える。結婚以前に「人間」という生き物の本質を考察すればある程度推察・想像できたろうに。これが今の文系学者様の程度なのだろうか。呆れるばかりだ。
今、結婚に関して起きている現実は下記の通りである。
女性の希望は「お金を寄こせ」
男性の希望は「愛が欲しい」
である。
ここでも大きなズレが確認できるのであり、これではもう無理というものであろう。上述の通り、ほとんどの男性は絶望し、婚活市場から身を引いているのである。
言っても結婚というのは選んだパートナーと毎日顔を合わせて会話するのである。これをロジカルに決めた相手(いわば契約で決めた相手)と一生やり続けるのは結構厳しいものがある。
上述した通り、男女の出会いや関連性をロジカルに決めてしまう事自体が乱暴極まりないのであり、そもそも男女の結びつきは深層心理に由来するところが多い。スイスの深層心理学社であるユングは男性の無意識の奥にある「男性が理想とする女性像」を「アニマ」と呼ぶ。女性が理想とする男性像は「アニムス」と呼ぶ。無意識の領域は扱いが非常に難しく、そもそも「分からない」から「無意識」と呼んでいるのである。こうした深層心理が求める「何か」について人はもっと真剣に考えた方が良いだろう。
この心理領域(アニマ、アニムス)で惹かれ合って結ばれるのがおそらく本来の生き物としての自然なあり方なのであろうと推察されるところであり、結婚が長く続く基礎条件の一つでもあろう。これは決してロジカルな決定プロセスではない。(*2) 逆に(心理的に乖離があるのに)現在の結婚相談所のようにロジカルに決めてしまうと、後で無意識内から反抗の動きが発生し、「離婚」という災いを招きかねないとも言えるのだ。スペックだけで決めてしまうと、無意識的領域の中で反発が起きて、やがてそれが看過できない大きさになると悲劇的な結果を生みかねない。目に見えるスペックばかり考えていると、こうした本質的な部分に目がいかなくなる。
また、上で女性の本質として(男性に対して)「お金を寄こせ」と書いたが、現代女性の多くは専業主婦希望が多く、男性側の大きな収入で優雅に裕福に富裕層としての暮らしを満喫したい女性が大半である。(*3) 男性の年収が低いことに関して昭和時代を生きてきた人々は「夫婦で稼げば食っていける」と述べる。しかし、現実は上述の通りで、女性一般は「旦那の収入で優雅に暮らしたい」という欲望が丸見えなのである。女性は働きたくない(遊びたい)のであり、旦那の豊かな蓄財を自分のものとして使いたいのである。男性が結婚から離れていく現実の裏には、こうした女性一般が示す「強欲にまみれた傲慢な実像」が広く知られるようになった事も大きいと言えよう。
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(*1)
ちなみに、そのデータによれば、「今後100年間は子供は増えない」ということである。
(*2)
その意味では結婚相談所のあり方として、ITシステムでマッチングさせるよりも、昔ながらの世話焼きおばさんによる結びつきの方に普遍妥当性があるのかもしれない・・・とも考えるものである。人はロジックよりももっと大きく深く、しかも曖昧なものを考えることができ、経験による勘も含めて、そこに存外正解があるのかもしれないのだ。
(*3)
いわゆる「港区女子」がそれである。彼女らは港区や中央区あたりのタワーマンション高層階に住む高収入の男性に取り入って結婚まで持っていこうと画策する女性達だ。実際に東京都の中でも港区や中央区あたりの富裕層が住んでいるエリアでは子供の出生数が伸びており、全国一位だそうだ。これが女性の本質を雄弁に物語っている事実と言えるだろう。
現代は富裕層だけが結婚・出産を享受できる時代なのである。
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