ジャーナリストの田原総一朗氏が自身のSNSにおいて次のような内容を記している。
[田原氏のTwitterから引用]
安倍内閣は、戦後最大の好景気の長さだと強調しているが、NHKの調査では実感出来ない、が多数となった。実質賃金が目減りし、消費も全く伸びていない。
↑この中で田原氏は「実質賃金が目減りし」と書いているが、恐らく彼は「実質賃金」の意味を理解していないようだ。「実質賃金」と「手取りの賃金」を取り違えているのだろう。
実は景気が良くなって失業者数が減って各人の賃金が増えていくと、なんと「実質賃金」は減るのだ。このカラクリと意味が田原氏は理解できていないようである。こんな基本知識すらしっかりしていない人物が討論番組で偉そうに仕切っているのは滑稽と言えよう。(蔑笑)
さて、景気が良くなると実質賃金がなぜ下がるのか?
その理由を以下に記したい。
実質賃金の正確な公式は「名目賃金÷消費者物価指数」である。
要するに、給料を物価で割ったら指数が出る。その指数の変化を見て物価に対して平均賃金がどのように変化したかを見るのが「実質賃金」である。これは「手取り賃金」とは全く関係ない数字だ。生活実感とも一切一致しない。景気が良い時にむしろ下がるのが「実質賃金」である。
どうしてそうなるのか。
例えば、3人の労働者が居て、内2人は給料30万円で、残る1人は失業中だとする。この場合、平均賃金は30万円となる。
このケースでは失業中の1人は統計には入らない。なので平均賃金は30万円になるのだ。
そしてこの3人が翌年になってから、内2人は給料が31万円に上がった。残る1人も就業できて給料が17万円である。この場合、平均賃金は26万円となる。
このケースでは前年は統計に入らなかった残る1人が統計に入ってきたので「3人とも給料が増えた」のに「平均賃金は下がる」という現象が起きるのだ。これは一般に「ニューカマー効果」と呼ばれている。
「実質賃金」はここで言っている平均賃金を消費者物価指数で割り戻すのであるが、物価はそう大きくは変化しない。1%も変化したら大変な問題になる。実質的に0.0X~0.5%なので大した影響はない。
このように失業率が減少し就業者数が増えて、なおかつ従来の就業者の給料が増えたとしても「実質賃金」は減少することになるのだ。
こうした比較的基本の知識を田原氏は理解せずに使っているフシがある。最初に書いたように「実質賃金」と「手取りの賃金」を混同しているように受け取れるからである。(*1)
これを田原総一朗氏の無知として片付けるのは簡単だが、ちょっと気になるのは田原氏の言い分がそのまま野党などの勢力が主張している事と軌を一にしているように思えるからである。つまり意図的に『「実質賃金」を「手取りの賃金」に誤解させようとしている』可能性があるのだ。
その理由は野党勢力が安倍政権のアベノミクスの成果を否定し安倍政権を退陣に追い込みたいと考えているからである。田原総一朗氏がその片棒を担いでいるとすれば、故意にミスリードして社会を騙す(誤解を与える)意図がそこにあるのかもしれない。(*2)
そうだとすれば凶悪である。
なぜ凶悪か?
「実質賃金」の数字を上げたいのなら「賃金を上げ」て「失業者数を増やす」ことで達成できる。実際、2009年~2012年の民主党政権ではこれをやって失業者数が増えたのだ。弱者に対して厳しい政治だったと言えよう。
田原総一朗氏に国民を騙すような意図が無い事を願っている。
-----------
(*1)
2011年に記した拙稿「田原総一朗的COBOL」にあるように、田原氏は俎上にあるテーマに関わる事実も掘り下げず、未確認または誤解したまま迂闊に論じてしまう傾向があるようだ。2011年の時も感じたことだが、田原氏のジャーナリストとしての資質に疑問を持たざるを得ない。思いのほかいい加減な人物であることが判る。
また、こちらの証言『朝生はもう出ない! 田原は卑怯者』を聞いても田原総一朗氏の言論人としての資質に根本的な欠陥が存在しているという見方は裏付けられると思われる。あの番組での司会進行の仕方を見ても、田原氏は議論の深化よりも単に番組が白熱化することの方を優先しているように見えるし、さらに特定勢力に有利になるような進め方をしている印象は強く凶悪なイメージは拭えないのである。
(*2)
田原氏が扱う政治問題は結局全て政局問題に収束してしまう。政治は政策である。政策で何をどのように実現するかが国民にとって最大の問題であるにも関わらず、田原氏が政治を語りだすと最終的に政局の話になって終わる。これは田原氏が驚くほど「政治とは何か」を判っていない事を示しているし、国民に対して間違った問題提起と誘導をしているという意味で田原氏の罪は大きい。
[田原氏のTwitterから引用]
安倍内閣は、戦後最大の好景気の長さだと強調しているが、NHKの調査では実感出来ない、が多数となった。実質賃金が目減りし、消費も全く伸びていない。
↑この中で田原氏は「実質賃金が目減りし」と書いているが、恐らく彼は「実質賃金」の意味を理解していないようだ。「実質賃金」と「手取りの賃金」を取り違えているのだろう。
実は景気が良くなって失業者数が減って各人の賃金が増えていくと、なんと「実質賃金」は減るのだ。このカラクリと意味が田原氏は理解できていないようである。こんな基本知識すらしっかりしていない人物が討論番組で偉そうに仕切っているのは滑稽と言えよう。(蔑笑)
さて、景気が良くなると実質賃金がなぜ下がるのか?
その理由を以下に記したい。
実質賃金の正確な公式は「名目賃金÷消費者物価指数」である。
要するに、給料を物価で割ったら指数が出る。その指数の変化を見て物価に対して平均賃金がどのように変化したかを見るのが「実質賃金」である。これは「手取り賃金」とは全く関係ない数字だ。生活実感とも一切一致しない。景気が良い時にむしろ下がるのが「実質賃金」である。
どうしてそうなるのか。
例えば、3人の労働者が居て、内2人は給料30万円で、残る1人は失業中だとする。この場合、平均賃金は30万円となる。
このケースでは失業中の1人は統計には入らない。なので平均賃金は30万円になるのだ。
そしてこの3人が翌年になってから、内2人は給料が31万円に上がった。残る1人も就業できて給料が17万円である。この場合、平均賃金は26万円となる。
このケースでは前年は統計に入らなかった残る1人が統計に入ってきたので「3人とも給料が増えた」のに「平均賃金は下がる」という現象が起きるのだ。これは一般に「ニューカマー効果」と呼ばれている。
「実質賃金」はここで言っている平均賃金を消費者物価指数で割り戻すのであるが、物価はそう大きくは変化しない。1%も変化したら大変な問題になる。実質的に0.0X~0.5%なので大した影響はない。
このように失業率が減少し就業者数が増えて、なおかつ従来の就業者の給料が増えたとしても「実質賃金」は減少することになるのだ。
こうした比較的基本の知識を田原氏は理解せずに使っているフシがある。最初に書いたように「実質賃金」と「手取りの賃金」を混同しているように受け取れるからである。(*1)
これを田原総一朗氏の無知として片付けるのは簡単だが、ちょっと気になるのは田原氏の言い分がそのまま野党などの勢力が主張している事と軌を一にしているように思えるからである。つまり意図的に『「実質賃金」を「手取りの賃金」に誤解させようとしている』可能性があるのだ。
その理由は野党勢力が安倍政権のアベノミクスの成果を否定し安倍政権を退陣に追い込みたいと考えているからである。田原総一朗氏がその片棒を担いでいるとすれば、故意にミスリードして社会を騙す(誤解を与える)意図がそこにあるのかもしれない。(*2)
そうだとすれば凶悪である。
なぜ凶悪か?
「実質賃金」の数字を上げたいのなら「賃金を上げ」て「失業者数を増やす」ことで達成できる。実際、2009年~2012年の民主党政権ではこれをやって失業者数が増えたのだ。弱者に対して厳しい政治だったと言えよう。
田原総一朗氏に国民を騙すような意図が無い事を願っている。
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(*1)
2011年に記した拙稿「田原総一朗的COBOL」にあるように、田原氏は俎上にあるテーマに関わる事実も掘り下げず、未確認または誤解したまま迂闊に論じてしまう傾向があるようだ。2011年の時も感じたことだが、田原氏のジャーナリストとしての資質に疑問を持たざるを得ない。思いのほかいい加減な人物であることが判る。
また、こちらの証言『朝生はもう出ない! 田原は卑怯者』を聞いても田原総一朗氏の言論人としての資質に根本的な欠陥が存在しているという見方は裏付けられると思われる。あの番組での司会進行の仕方を見ても、田原氏は議論の深化よりも単に番組が白熱化することの方を優先しているように見えるし、さらに特定勢力に有利になるような進め方をしている印象は強く凶悪なイメージは拭えないのである。
(*2)
田原氏が扱う政治問題は結局全て政局問題に収束してしまう。政治は政策である。政策で何をどのように実現するかが国民にとって最大の問題であるにも関わらず、田原氏が政治を語りだすと最終的に政局の話になって終わる。これは田原氏が驚くほど「政治とは何か」を判っていない事を示しているし、国民に対して間違った問題提起と誘導をしているという意味で田原氏の罪は大きい。