Altered Notes

Something New.

「セシル・マクビー」それはジャズ・ベース奏者の名前

2018-05-09 20:42:40 | 音楽

日本で「セシルマクビー(CECIL McBEE)」と言えば有名なファッションブランドを思い浮かべる人(特に若年層)が多いかもしれないが、音楽の世界では「セシル・マクビー」と言えば有名なジャズのベテランベーシストの名前として広く知られている。
1935年生まれのセシル・マクビーはジャズベーシストとして多くのビッグネームたちのセッションに参加した経歴があり、卓越した技量とセンスでバンド演奏を支える重厚なプレーヤーである。モダンジャズの最先端を切り開くミュージシャンの一人として多くのジャズファンから認知されている。近年は日本絡みの活動としては山下洋輔ニューヨークトリオ(1988年~)での演奏が知られている。

冒頭で述べたファッションブランドとの関係で言えば、このベーシスト、セシル・マクビー氏がジャズ界で広く名が知られるようになった遥か後になってファッションブランドのセシルマクビーが登場した時にはジャズ界から多くの「?」が生じた。セシル・マクビー氏はジャズの世界で1960年代からニューヨークを拠点に活躍しており、日本でもその名前が知られるようになった。

一方でファッションブランドのセシルマクビーのスタートは1986年であり、1987年頃から旗艦店であるSHIBUYA109店の隆盛と共にその名が知られるようになった。

このファッションブランドが流行し始めて以降、セシル・マクビー氏は来日した時に自分の名前が大きく書かれたポスターやら女性が手に下げているバッグ等を見て喫驚し疑問に思ったに違いない。彼はファッションブランドのセシルマクビーを商標権の無効を求めて裁判を起こしたが裁判所は「ジャズ界では有名でも一般社会ではそうでもない」という理由で敗訴した。裁判は往々にして大企業に有利な判決が出ることが多い、という意見があることも記しておく。結局敗訴はしたが、しかし米国においてはセシルマクビーの商標での商品の流通・販売は困難な状態になっているそうである。