goo blog サービス終了のお知らせ 

週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

ソマリアの海賊。

2014年01月07日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
                       日比谷公園にて

 
  「元日の恵比寿も降りる陽だまりや」 哲露

 
 2014年初日、つまり1月1日のこと

 いわゆる映画の日にあたる。

 我が家では、お正月=映画鑑賞で新しい年の幕を開ける。

 ハリーポッターのハーマイオニー役があまりにも有名な、Emma Watsonが主演。

 独創的な世界観を作った「ロスト・イン・トランスレーション」のSofia Coppolaが監督としてメガホンをとった。

 ゴッドファーザーのコッポラでなく、Sofia Coppolaが脳裏にインプットされた作品だった。

 これだ! 

 ということで、銀座Toeiまでチケットを求めにいったら、中一の息子がR15指定で観られないという。

 仕方なく方向転換、Tom Hanks主演の「キャプテン・フィリップス」のチケットを買った。

 家人を待つ間、一人日比谷公園でエビスなど傾けながら、陽だまりの読書に耽る。

 なんともプチ贅沢な元旦になった。


【そして、映画のこと】

 再度のアカデミー賞の呼び声も高い、ソマリアの海賊の話しである。

 版元の仕事では付録のコンテナ輸入で苦労している。

 冒頭から、コンテナを満載したアメリカ国籍の貨物船が登場。

 これがそうか、コンテナ船か!

 と、別の視点で鑑賞しつつ、徐々に映像の世界に惹き込まれていった。

 海賊に襲われ、キャプテン・フィリップス独りが人質になるシーンが臨場感たっぷり。

 主役のTomの演技は鬼気迫るものがあった。名伯楽にさらに拍車がかかったようだ。

 おそるべし、Tom Hanks!

 それにしても、どこにでもある日常の裏に突然現れる危機がリアルに怖い。

 民間の輸送船。通常通りに航海すれば、何事もなく平和に家族のもとに帰れるはずだ。

 グローバルな世界を取り巻く、富裕人のあくなき物欲、途上国の困窮、価値の転換、生活の急転、恐怖による支配、脅しと強奪。モラルや正義の定義の危うさ、テーマが複層に交わってゆく。

 科学文明の現代に海賊が現存することも驚きだ。

 海の上では巨大なタンカーでも、銃さえあれば小型船で意図も簡単に略奪できるのだ。

 搾取と貧困が海賊を作り、平和を脅かす。

 その原因は過剰な贅沢を当たり前として謳歌している我々に起因していたりもする。

 見応えのある作品だった。

 そして、血の臭いがする迫真と、観られなかった「ブリングリング」の窃盗の違い。

 R15指定の設定もまた疑問に残る。

 現実にあった話し。

 勝者も敗者もない、現世の無常を突きつけられた。

 そういえば、パルプフィクションもそうだった。

 死は背と隣り合わせにあるのだ。

 ソマリア海域、こわい

 

 

 

  


  


初日に祈る!

2014年01月02日 | ★江戸っ子エッセイ★

 
              言問橋より


  「初夢や男の意気地筆一本」 海光
          
 
 あけましておめでとうございます

 2014年が始まった。

 6時起床。

 ストレッチして躰を温める。

 今年初のranningのstart!
 


            氏神の熱田神社

 地元の氏神、熱田さまを参る。

 家族の健康と、創作の決意を祈った。




 7時前。隅田川、桜橋に着く。

 綺麗な朝焼けが町並みの先、地平線をうっすらと染めている。

 スマホや本格的にカメラを構えた人がたくさん待ち構えていた。

 ベスポジを探して川沿いを走る。

 隣の若者たちは、カウントダウンから夜通しなのか、

 「さむい、さむい」と会話が途切れない。

 それでも、初日を見ようとする心意気が私には嬉しい。 


 

 7時7分頃、後光が差した。

 2014年の初日の出。

 写真に収めて、静かに手を合わせる。

 Good start!



 

 大川から上がった聖観世音菩薩を祀るため建てられた、駒形堂を参る。

 池波正太郎が愛した旧参道を行く。

 すでに人でごったがえす雷門をくぐった。

 揚げ饅頭の湯気、人形焼を返す音、土産屋から売り子の声が響く。

 浅草は今年も活気で溢れている。




 真新しいお化け提灯が気を引き締めてくれた。

 人の流れにのって、御門をくぐる。

 夜通しの熱気は浅草寺が江戸の中心であった名残を留めているのだ。




            浅草寺の本堂

 五重塔を横目に、本堂の階段を駆け上がる。

 チタン製に葺き替えた瓦屋根が初日に燦然と輝いている。

 お賽銭箱が広くなっている。

 その場所へ銭といっしょに、やる気の本気を投げ入れて参る。




 やはり人気の浅草神社は行列が凄い。

 三社権現さまは、祭り好きの土地の守り神だ。

 裏手の小路に入る。


 
           新門の文字   

     
             被官稲荷社

 新門辰五郎はご存知だろうか?

 安政元年(1854年)。

 辰五郎の妻女が病に伏した際に、山城国(京都府南部)の伏見稲荷社に快復を祈願する。

 その後妻女の全快の御礼を込めて、伏見から祭神を勧請しこの稲荷様を創建した。

 辰五郎は寛永寺輪王寺宮の家来、町田仁右衛門の養子。

 隠居の父の便を図り造った新しい門を守る役目を任じられ、新門辰五郎を名乗った。

 江戸っ子の最たる町火消し、十番組の組頭での活躍は有名だ。

 この稲荷、浅草神社の裏筋にある。


 
           浅間神社 

 13年は富士山信仰が盛んだった。

 私は地元の浅間神社で、富士講を。

 息子たちの小学校通学を守ってくれた。

 手水場の水は、立派な龍が吐き出してくれるのだ。


 

 小春日和のような元旦。

 浅草の町に笑顔と嬌声がこだましていた。

 いつまでも江戸に活気があらんことを祈る。

 そして、ブログを訪れてくれた多くの友人たちに幸多いことを願う。

 皆さん、本年もどうぞよろしゅうお願い申し上げます 

 




  


芸を残す。

2013年11月15日 | ★江戸っ子エッセイ★

  


   「三味の音や 柳もしとり 島田哉」 海光

 
 新文芸座に行ってきた

 リニューアルした館は、ホント清潔感溢れ、音響や設備も最新のものだった。

 そこへ乗り込んだのが、同期の安原眞琴監督。

 この日は、ここで、吉原最後の芸者「四代目みな子姐さん」が映写される。

 すでに、渋谷の小劇場で観ているしDVDも持っているが、大きなスクリーンで観られるのは嬉しい。

  

 上映前に落語が三席。

 来年真打ちに上がる風車さん、菊之丞師匠が座を盛り上げる。

 柳家権太楼師匠が出てくると、会場にドンと重みが増した。

 紫綬褒章まで極めた芸の深さに、追っかけしたいくらい痺れる。

 掛け値なしの面白さだ!


  

 
 味わい深い、文芸座の座長とおぼしき御仁が紹介する。

 安原監督と、作家「村松友視」さんのトークがあった。

 彼女は立教大学で、若者に旧き日本の文化を伝えるべく教鞭をとっている。

 市井が楽しんできた芸事を、様式を日々探求し、記録に残したいという思いがこの映像を撮るそもそもの発動らしい。

 高校生に芸者、という一見PTAから目くじら立てられるような組み合わせは、彼女ならではの柔軟の発想による。ITに囲まれた現代っ子が85歳の「みな子姐さん」の言動と芸に、自然とほころぶ笑顔がいい。

 彼女、中学時代は私と同じ中学で生徒会長を務めていた。

 知らずに観にいった渋谷の劇場から一ヵ月後。

 たまたま偶然に開かれた、30年ぶりの同窓会でばったり出くわす。

 びっくらこいたよ!

 これが先輩作家、越水利江子師匠のおっしゃっていた、呼び込むということなのだろう。

 江戸から続く、全国の遊郭を取材している彼女とは、これからも接点がありそうだ。


  

 村松友視さん、渋かった。

 著書「私プロレスの味方です」 はプロレスサークルにいた私のバイブルだ。

 その初版を出した版元を受けたこともある。懐かしい青春。

 同じ中央公論に勤務していたK大兄に連れてってもらった吉祥寺のジャズバーにやはり本が置いてあった。村松さんの馴染みということだ。

 そういえば、K兄も落語好き。

 いろんな人が、いろんなもので繋がってくる。


【宣伝】

 芸歴80年を誇る粋なお姐さんのドキュメンタリー映画
 「最後の吉原芸者みな子姐さん」の京都で初上映!


 初日に京都・島原遊廓の司太夫を迎え、東西の廓芸者のワークショップを開催するという。

 西にお住まいのお方、新春に相応しい芸でござる。これを見逃す手はない。

 1月25・26日。初日2000円。2日1000円。

     
             DVDも絶賛発売中

 〈問い合わせ〉 http://www.makotooffice.net/ FAX 03-3823-6115 




 短い秋なれど、ご縁をもたらしてくれた秋に感謝する。

 今宵浅草は二の酉で染まる。

 みな子姐さんに教わった、吉原一本締めで締めよう。

 ひぃ、ふー、みぃ、よー、いつ、むー、なな!パン!

 お後がよろしいようで

  


酉の市。

2013年11月08日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
                            竜泉町 鷲神社

 酉の市が始った

 熊手を担ぐひとを見ると、もう年の瀬か、と時の早さを痛感する。 

 今年はいわゆる三の酉で、言い伝えによると、火事が多いということになっている。

 科学という言葉もなく闇が深かった時代、なにより火災を恐れた江戸の民から自然に発生した戒めじゃないだろうか。 

 火消しが走り回っても、猛火の勢いは容易には止められない。一度起こると、本丸も焼け、死傷者が千万単位に及んだことを明暦が証明している。乾燥した空っ風のなか、薪火と炭しか暖房機がないのだから、仕方のないことであった。

    
   
 景気上向きというが、それは大手資本と団塊の富裕層など一部なのだろう。

 中小の経営者は、アベノミクスより大振りの熊手に縋るのが現実である。

 大小様々に衣裳された熊手に囲まれ、威勢の良い三本締めに一服の清涼がある。

 家族と、馴染みのおばちゃんが焼くベビーカステラ屋に出直そうとしたら、小雨が降ってきた。

 この時期の雨は冷たい。

 湯上りに風邪を引いてはと諦めた、次男の残念そうな顔。

    

 
 「焼き待ちて木枯らしびゅうと合わす襟」 海光



 次の日、清洲橋まで走った帰り、仲見世に寄り、人形焼を買った。

 昔懐かしい浅草寺の鳩、五重塔、雷門を模ったつぶ餡のほうを二袋。

 iPhone5S-Gに代えて、ダウンロードしたRUNアプリのGPSで計るとイメージ通りの距離だった。

 何でもできてしまうスマホって凄いのか、怖いのか。

 論議されている秘密のこと。

 力のあるものが人の秘密を知り、暴挙に出ること、そしてその全てを隠せるなんて、これこそホラーではないのか。

 長生きしてもいいことないように思えてくるが、未来ある子供たちを思うと、そうも言ってられまい。

 自分にできること。

 それには文学に希望を託すしかない。

 次の二の酉は11/15(金)、三の酉は11/27(水)でござる。

 人形焼やカステラを食って笑って。

 そんな他愛ない小さな幸せがいつまでも続くことを願う

  


国体の騎士!

2013年10月22日 | ★江戸っ子エッセイ★

 
           台東区リバーサイドセンター体育館

 今年は国体が東京で開催。わが町台東区でも競技が行われた

 マイナーなフェンシングを一躍広めた太田選手。

 その世界一の奥義を見ようと、隅田川沿いの競技場へ出向いた。

   
     国体フェンシングの競技場

 ここは、バスケ、バレーボール、剣道、相撲、卓球場から夏のプールまで様々な施設が混在する。

 区の施設だから、トレーニング室の、ランニングマシーンやらなんやら250円で使い放題なのだ。

 春先の花粉症の時期や梅雨時に、このマシーンで走ったりする。友人は、ダンベルや筋肉増強マシーンで鍛えるマッスルクラブに入っている。ほぼ、その後の飲み会のためのサークルらしいのだが……。

 私が休会中の太極拳の師範が、ここで指導もしたりしている。

 先日の体育の日には、この隣のサッカー競技場で、50m走を測ってもらった。

 カラダを動かすのは至極気持ちいい。

  

 フェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種類の競技がある、なんてこの日初めて知った。

 冒頭と、三枚目の写真、右手が東京選出太田選手の雄姿だ。

 ルールを読んでも、よく判りにくかったが、ランプがつく前に関係者が拍手する。

 スピード感溢れる剣さばきは、素人にはまさに目にも止まらない速さである。

 太田選手だけでなく、東京には代表選手がいて、物凄く強い。

 仲間の選手が2人勝ち抜いたエペの予選では、太田選手がオール負け。こんな姿を見られたのもご愛嬌というか、観客として貴重な経験だった。

 さすがに、決勝になると気合が入ったのか、スピードと技が段違いであった。

 東京圧勝の優勝だが、全国にこれだけのフェンシング人口がいるのに驚いた。

 世の中、まだ知らないことだらけなんだな。

 知ることによる精神喪失を、知恵の悲しみというが、 未知の知識がまだ残されていることは、生きる上で希望なのかもしれない。

 この記事を書くのに時間を要している間に、天野祐吉さんが亡くなられた。

 新聞を読むと、天野さんは千住のお生まれだったらしい。彼岸に旅立たれてなお親近感が湧く。

 やなせさんに続く訃報に、ショックを隠せない。

 朝日新聞のCM天気図を読むのは、 水曜日の朝のささやかな楽しみであった。

 権力と温い時代を切り取る辛辣を含んだコラムは、親しみやすく、肩の力を抜いた文体で書かれており、秀逸で、朝の清水であった。 

 天声人語でも取り上げられていたが、あまロスならぬ、天ロスにしばらく陥りそうだ。

 週末は物書きの合宿。

 あさのあつこ代表の元、本郷に同人約100名が集結する。 

 未熟で微力ながら、書き続ける。それしか仕方あるまい


巨星逝く。

2013年10月17日 | ★江戸っ子エッセイ★

巨大なハリケーンとともに、やなせたかしさんが大往生でこの世を去られた。

生前、西原さんにこんな風におっしゃったようだ。

やなせさん 「いいですか、西原さん。人生は満員電車に乗ってるようなものです。自分の席がなくても、頑張って乗っていれば、いずれみんな降りるから」

西原さん  「遅咲きのやなせたかし先生らしい言葉でした」

よく勘違いされるけど、早生まれの僕は昔から同期より物覚えが悪く、しかも人見知りで、勉強でもスポーツでも何かをモノにするまで物凄く時間がかかって苦労した。そんな僕みたいなもんには、天の恵みのようなお言葉だ。

戦争に父上を奪われ、実の母親と離れ、その後成人されてからは多種多彩なお仕事をこなされてきたようだ。

創作するものが勇気をもらえるのは、アンパンマンはじめ、やなせさんの作品群はきっと子供たち、大人たちに未来永劫続く光であり続けるだろうこと。

やなせさんの愛に溢れた誠実さ。

及ばぬことは承知なれど、私も行灯の小さな灯りほどでも読者の心を照らせるよう努力したい。 

「アンパンマン生きているから笑うんだ」 海光

やなせ先生、たくさんの笑顔をありがとうございます。永い間、本当にお疲れさまでした。

合掌。


太陽とカーニバル!

2013年09月12日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
 
       地元アサヒビールのサンバチーム

 まだ夏ネタで引っ張ります

 燦々と照る今日の太陽のせいかな。

 浅草の新しい風物詩といえば、7月のおわりの隅田の花火に、8月の締めにサンバカーニバル! 

 伝統の植木市やほうずき市、酉の市などと違い、どちらもおいらが物心ついてから再開、もしくはスタートしたイベント。

 このカーニバルも32回目となる。それなりに風格が出てくるもんだね。

 今年の来場者は49万5000人と いう。

 なんでも、北半球で最大のサンバらしいですぜ、アミーゴ。

  
   


   「褐色が包む下町夏サンバ」 海光

 
 この日は気温がぐんぐん上がって、そこここにいるだけで汗が噴いてくる。

 褐色の肌が似合う陽気、まさに南米の踊りにぴったり。

 沿道に詰め掛けた観客も、カメラと団扇と冷えた発泡酒を片手に見入っている。

 アンタも好きね。

  

 第1回目のことをよく憶えている。

 テレビニュースでも取り上げていた。子供心に地元が評価されてるようで嬉しかったんだ。

 ブラジルのリオの招待チームの腰に度肝を抜かれた。

 これぞ、胸騒ぎの腰つきだよ!

 対する日本人のチームのカラダがやたらに貧弱に見えた。

 だって信用金庫の行員さんだもんね。細く白い肌に、むりやり着せた露出の多い衣装は妙に生々しいエロさで、10代にも痛々しかった。

 褐色と健康的な肌だからこその衣装なんだな、と納得だ!

  

 現在では、ご覧のように日本全国のサンバチームが結集する。

 日本人女性の体型も変わり、綺麗に焼ける術も学んだんだね。本場の黒さには叶わないけど。

 南の香りの太陽、サンバに、どぜう鍋に、冷えたエビス。

 浅草の夏ももうお仕舞い。

 来週は十五夜。

 夏がまた一つ心に残った


サザン35th in 茅ヶ崎♪

2013年09月05日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
                     茅ヶ崎公園野球場

 夏だ(9月だけど)! サザンが帰ってきた

 横浜から5年、2000年から13年ぶりの茅ヶ崎Liveだ。 

 活動休止の間、桑田さんは病を乗り越えた。震災もあった。ファンに預けられた屋号の返還式も一つのパフォーマンス。

 バンド結成35周年。茅ヶ崎の地。この場に立ち会えたことが、何よりうれしい。

    

 9月1日(日)。 朝から気分はSASモード全開!

 AM11時茅ヶ崎駅到着。町も、道行く人も、店も、サザン一色に染まっている。

    

 サザンオールスターズの御神輿まで作っちゃうとは、地元民の胸はさすがに熱い。

 茅ヶ崎には開高健師の住まいがあるから、年に数度は訪れる。

 そのときに必ず立ち寄るのが、「Taizo」というローカル御用達のパン屋さん。

   

 11時に焼きあがるという惣菜パンを目当てに寄った。

 予約しないと買えない食パン。

 山切りのイギリスパンと、モチモチッとした食感の白パンの2斤を、前日の電話で予約して手に入れた。

 本当に旨いんだよ、この生地は。

  
               SASショップ 

 
                          サザンビーチ 

 コンサートがメインだけど。やっぱ湘南にきたら、海に入んなきゃ、でしょ!?

 この日まで開いているビーチ、SASショップは朝からファンが押し寄せる。おいらは海の日の解禁にきているからパス。サザンビーチ限定Tシャツがゲットできるのだ。

 いい波が来ている。ああ、板が欲しい。

 だけど遊びは工夫。灼熱の砂浜で火照った体を、ボディーサーフィンで遊ぶ。

 スープの波でも十分な力があった。波に押される感覚、息子は掴んだかな。

  
            スタンドからこの熱気

 僕の分のチケットを持った友人と一塁口で待ち合わせる。

 冷えたモルツでスイッチを、球場へ入る。胸熱のTシャツ、過去のサザンの半被、ランニングを着込んだファンの熱気が満タンだ。グランド席につくと、LEDリストバンドが置いてあった。

    
      鮮明なビジョンに映る桑田圭祐

 サザンのメンバー登場。かつて見たどのLiveより趣向が凝らされていた。

 とても、50代には思えない。桑田さんのパワーが凄い!

 YaYaから始まる馴染みのナンバーは、僕だけでなく、ファンの生きてきた軌跡そのものなのだ。

  

 ときに跳ね、ときにしんみり、ときに踊って、ときに聴き入る。 

 花火、炎、ドライアイス、放水、最新鋭の照明、エロいハリボテと衣装。すべてに魅了される。

 茅ヶ崎限定だという、遠隔操作付きのLEDブレスレットが、何色にも変幻と点灯した。

   「SAS」

 月明かりのもと、腕を高く掲げると、ひと文字が浮かぶ。

 会場がひとつになった。

 デジタルとアナログが合体した、素敵な演出だった。

  


  「サザン浜胸を騒がす月夜のエリ」 海光

 

 一世を風靡した米国の偉大なバンド「KISS」が、桑田さんの歌唱を、無国籍な魅力という。

 興奮と感動の只中にいて一人思った。

 ビジョンに流れる桑田さんの歌詞。

 物書きを本気目指すようになって3年。

 物書きの目でサザンの歌詞を読んでいた。桑田圭祐の編み出す、魔法のような言葉と言葉の結合にとてつもない文才を見た。

 天才だ。その天才が多くの書物を通して閃いた言葉の洪水。

 果たして、どうしたらこの文字と文字の組み合わせを思いつくのだろう? 

 変幻自在の表現に、あきれ返るほどで、感動どころか途方に暮れてしまった。

 サザンの曲は、僕らの生きてきた、また生きる時代に、絶妙で巧妙で、必然な意味を持っているのである。 

 このタイミング、リクエストに「いとしのエリー」が流れる。

 鳥肌が立った!

 嫉妬するほどの才能。

 小説家以外で、そんな憧れる才能を初めて感じた。 

 たしかに元気をもらったが、憔悴し突き放された弱い精神もある。

 凹んでばかりいるわけにはいかない。

 往き帰りに読んだずっと昔から親しんだ小説家の短編に愕然としながら、それを判ることで光を、ほんの僅かだが光も見えた。

  
         野球場からみた花火


 チケットを取ってくれた友人と、海辺のコンビニで缶チューハイを飲んだ。

 久しぶりに、大学生に戻ったみたいだ。

 今日の日を、ありがとう。

 千里の道も一歩から。

 また一歩、前に進もう

 サザンと僕の夏はまだおわらない


  


伝統の花火♪

2013年08月09日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
             隅田川の花火

 7月の最終土曜日は、毎年恒例の大川の花火大会なり

 享保18年(1733年)、時の将軍吉宗が、飢餓による大勢の餓死者の慰霊と、疫病の退散を願い水神祭を行った。その際、両国橋周辺の料理屋が嘆願し、公許を得て実現したのが、両国の川開きの始まりと伝わる。

 5尺玉の禁止に続いて、昭和37年に交通事情によりこれが一旦停止になる。伝統が途切れ、きっと下町の人々も淋しかったろう。

 おいらが小学生の時、 待望の花火が隅田川花火と改め、復活する。

 それから36年、毎年欠かさずに観てきた。友人、知人、家族、その他大勢。たくさんの想い出をのせた灯篭が橋の下を流れていった。

 それにしても、昨今の天候不順、世界的な気候変動、東京はTOKYOとなり、亜熱帯と化し、ゲリラ豪雨と呼ぶスコールが灼熱の太陽の下、襲ってくる時代となった。

 36年目にして、初めての中止は残念なことではあるが、自然には逆らえない。これは、3.11を経た日本人には周知の事実になった。

 人間なんてちっぽけで、些少な存在。でも、その人間の及ぼす大地への反逆は夥しい災禍との危うい均衡を作っている。

  
           足立の花火

  「過ぎし日の切なさ香る夏の花」 海光


 隅田川の前週に行われた、足立の花火。

 汐入の芝生から、のんびりと眺めたこの夏の華を締めに飾る。

 暦の立秋は、旧暦ならではの感覚。

 残暑見舞いとは名ばかり、新暦の夏はまだまだ続くのだ。

 心の残る、大切な人との思い出をどうか!

 昨日サッカーの練習中、長男の仲間が熱中症で倒れ、救急車で搬送。

 皆さん、ご自愛のほどを




マンチェスターUをLiveで!

2013年08月01日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
              日産スタジアム

 イギリスは遠い

 かつて旅したロンドン、エジンバラの記憶すら遠いのだ。

 ある朝、朝刊にマンチェスターユナイテッドのツアーが掲載されていた。

 息子たちが夏休みに入ることもあり、 聞いてみた。

 「マンU観たい?」 

 二人ともサッカーをやっているわけで、生のルー二ーを見たくないわけがない。

 「じゃ、ちょっと早い誕生日プレゼントね!」

 「え~~~~ッ」

 ということで、父ちゃんは大枚叩いて入手した

  
            マンU vs 横浜マリノス


  「スコールも夏の想い出ボール蹴り」 海光
 
 
 スコールの中並んでいると、傘もカッパも役に立たず全身ずぶ濡れ、と家族からメールあり。 

 仕事を抜け、不快指数全開のスタジアムに向かう。

 「多摩川の落雷により、全線運転を見合わせております」

 渋谷で東急東横線のホームに降りたおいらに、無情にも流れるアナウンス。

 「なに~~~ッ!」

 地下深くまで降りてからラッシュのなかを再度JRに登って、横浜線を目指す。

 おれがいってぇ何をしたってんだ! 

 やり場のない怒りも空しく、乗り換えを目論んだ品川では東海道線も目の前で発車してしまう。

 スタジアムに着く頃には、スタート間近。でも、どうにか間に合ってよかった。

 トイレにダッシュし、ただでさえ高いプレモルをスタジアム値段で買い込み、席につく。

 いい動きをしていた俊輔が高熱で早々のリタイアとか、

 香川が後半大分経ってからの登場とか、

 そもそもルー二ーがタイで怪我してしまったとか、

 何よりマンUが負けていいのかとか(笑)、

 消化不良は多々ある。

 でも、ギグスは魅せてくれた。

 ザハ、ファンペルシー、リンガードと英国にいかなきゃ見られない、本物のプレミアムリーグの片鱗をみた。

 マリノス側もマルキーニョス、ファビオ、藤田と意地の活躍をした。

 帰りの小机駅は案の定不快指数120%のラッシュで、自宅に着いたのは午前様。

 いろんなことがあった観戦。  だが……。

 Liveは、やっぱりいいね

  


真夏のSAS 到来♪♪

2013年07月28日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
          ご存知茅ヶ崎サザンビーチ♪

 若い頃、海の日が来るまで、浜辺に行かない自分なんて信じられなかった

 GWを過ぎると波が恋しくて、ここより東の辻堂、稲村ガ崎、由比ガ浜に愛車(死語かい!?)のBMWのクーペで通っていた。

 茅ヶ崎は、師の住まいがあることから、オフシーズンに訪れることが多かった。

 どこかで見かけた浜降祭がどうしても観たくなって、はじめて夏のハイシーズンにきた。

 
                サザオールスターズ復活記念 茅ヶ崎限定Tシャツ

  

 もう一つのお目当ては、こちら。

 5年ぶりにSASが復活する。

 そのアンテナショップが、サザンビーチにお目見えしているのだ。

 限定モノも売られている。

 相州節の後は、歌謡のビーチサウンド♪

  

   「えぼし岩白い波間に蒼き夢」 海光

 江ノ島、エボシ岩を目前に、頭上いっぱいに広がる蒼い空を仰いで、サザンミュージックに身を任せる。

 これ以上の贅沢があるだろうか。

 カミュの描いた地中海の青と白に思いを馳せ、おいらは相模湾の蒼と白い入道に心をオープンにする。

 真夏の暑さは、果実そのもの。射熱が心を惑わせ、人を狂わせる。

    

 ほぼ手ぶらできたので、ボディーサーフィンで波と戯れる。

 板もボードも、何もなくても人間って遊べるんだね。

 町に戻れば、お神輿は商店街を練って歩いている。

 殺人的な夏の日差しに、海辺の町を散策しながら、 師の家を再訪した。

 師は、この海を眺め、旅への憧れを思ったのだろうか。

    
           開高健記念館

 漂えど沈まず。悠々と急げ。

 数々の箴言を胸の奥に仕舞い、東海道線の車窓から海をみる。

 無能を悲しむのは、祭りの後でいい。

 あとは、好きなことをやるだけだ。

 書かずにはいられない、何モノかを


  


相州 浜降祭!

2013年07月18日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
                          茅ヶ崎海岸

 朝5時に起き、山手線から東海道線に飛び乗った

 絲山さんのエッセイに、引っ越す町々のど真ん中で、どういう訳か祭りがあるという文があった。

 お祭り命のデカイ面した親父が翌日になるとしょぼいオッサンに様変わりする痛切に思わず、笑ってしまう。たしかにいる、いる、そんなオヤジたち。

 いや、まてよ! 

 おいらもそう思われているのじゃないか、と顔が引き攣る。

 酒もそう、祭りもそう、一時の狂騒で日頃の憂さを晴らせればいいんじゃないかと思っている。 

 まして、封建の時代、祭りは鎮魂のためにあった。震災後、考えさせられたことでもある。

 人に迷惑をかけさえしなければ……。

 そういう点では、禁煙している煙草もそうだな。

 いまや高額納税者といえる、酒飲みと煙草飲み。酒は無用なクダや喧嘩ははた迷惑なだけだ。一人二人で静かに、もしくは仲間と陽気に飲む酒は世の優れもの。煙草は何故か吸いたくない者に煙が向かってゆくのが問題なんだよな。

 止めちまうとこんなことをほざく。無駄に敵を作ってしまうなァ。

 観るアホと、踊るアホ。そりゃ踊るアホのが愉しいはず。

 御神輿も担ぎ手の愉悦たるや、やってみないと判るまい。その汗の輝きが見学者をも虜にするのやもしれないね。

  
                  浜降祭


    「どっこいと 相州浜や 夏トンビ」 海光


 御神輿が海に入る祭り。都内では、品川の荏原神社の天王祭かっぱ祭りが有名だろう。

 師の家のある茅ヶ崎は、おいらにとって特別な地でもある。

 そこで見つけたのが、そう! この「浜降祭」だ。

 この祭りの起源は諸説あるらしいが、江戸時代の後期、相模川を渡御する際、寒川神社の氏子と地元の氏子が喧嘩をし、行方不明になったそうな。その数日後、南湖の漁師の網にご神体がかかった。その御礼を兼ねて、海に入って禊(みそぎ)を行うようになったというのがひとつ。

   
  

 御神輿の傍にいくと、「茅ヶ崎甚句」の唄が聴こえてくる。土着の唄って、味わいがあって、いいもんだ。

 相州の土地ならではの「どっこい!どっこい!」という掛け声は、三社で育ったおいらには新鮮である。

 午前4時の宮出しは、地元民でなければ到底無理な相談だが、8時頃から始まる「みそぎ」は壮観であり、圧巻である。34神社の御神輿が一斉に海に入ってみそぎを行う。

 揃いのカラータオルで締めた34基の神輿は、よく見ると微妙に担ぎ方が違う。これも面白い。

  

 担ぎ棒は、前後を通した2本のみ。

 御神輿横に、西洋のドアーノックのような金属がついており、それを「トンッ!カンッ!トン!」と鳴らして練る。

 この日は、海の日。今年はじめての海だ。

 朝方覆っていた雲が徐々に散り、お陽さまが顔を出した。

 目の前に広がる蒼い大空に、群青にたゆたう大海原と白い波の飛沫!

 それを一望できる茅ヶ崎の浜を、どっこい!どっこい!の掛け声の下、御神輿と担ぎ手、観客が一帯となる。

 あー、いい気分になれた。

 隣の浜は、サザンビーチ。

 復活した青春の音は、また次回ご紹介しやす


どちらもLIVEに限る!

2013年06月10日 | ★江戸っ子エッセイ★

 
            ライヴハウス「Wellcome back」

 社会人になって出来た友人と、ここんとこ仕事半分で語ることがあった

 彼に云わせると、やりたいこと、夢をみつけられた人は素晴らしく、羨ましいとのこと。そんな風に思う人もいるのだ、と改めて思う。利害から発した彼との関係は、それを飛び越えたものになった。静かに熱い彼が夢を持っていないことが驚きでもあった。

 確かに、僕は長年胸の奥底に溜めてきた夢がある。気恥ずかしいがその熱は止むことがなかった。

 夢というのは、思い続けているだけでは決して形にならないものであることも知っている。夢は行動を起して、なおかつ継続してこそ具現化していくのだ。

 そして初めて、明確な目標となる。目標となれば、目的を成すための手段はあるはずなのだ。

 同時に、好きなことを仕事にする、好きなことだから仕事にしない、という選択肢の両方に言い分もあるだろう。

 この日、好きなことを趣味として続けている友人のLIVEにいった。

   

 バンドの名は、「John G. Rose」

 先ほど趣味と書いたが、趣味を越えたオリジナルは、遠く石垣島の人々との交流も生んだ。

 彼は、社会人としての評価もきちんと積みながら、家族の笑顔に囲まれる家庭人でもある。

 その骨の部分が長年続けてきた音楽であり、いまや音楽こそは、彼の生きてきた軌跡の証なのだ。

 おいらが苦しんでいるときに、話を聞いてくれた彼。あの日の真摯は決して忘れない。 

 ↓ John G.Rose の演奏はここから聴けるよ ↓

 http://www.myspace.com/johngrose1998

   

 珍しくコピー曲を一曲披露していた。

 ↓ 「ダイナミック琉球」という曲。 ↓

 https://www.youtube.com/watch?v=TP48Vhs5U4I」 

 島の唄は、心に響くね。

 唄を聴きながら、書きかけの小説のセリフがうかんだ。

 もらったアンケートの裏紙に、それらを書いてゆく。

 力のこもった演奏に刺激をもらった。

 Jiroありがとう。

 ぜひ、また。。


  
                 鳥越祭

 その帰り、蔵前橋に向かう。

 鳥越神社を中心に、町会神輿の夜渡御が行われているのだ。

 三社さまと違い、大小たくさんの提灯がのった御神輿が特徴。
 
   
           神社前 提灯神輿が集結 

 鬼平犯科帳でお馴染みの高張提灯に守られた、元祖提灯神輿が一斉に境内を参詣する。

 1350年ほどの歴史は、荘厳で、幻想的雅で、観るものを魅了する。

   
                宮入り風景

 社をくぐる御神輿みたさに、担ぎ手とカメラ片手の群衆が入り混じる。

 どちらも初夏の祭りの一風景である。

   
                   屋台 

 鳥越神社の周辺は、数え切れないほどの露天がひしめく。

 どれにしようか迷うのも、子供らのお楽しみ!

 翌日の日曜は長男だけ地元の友達と出かけていった。

 煌びやかで、重量感のある千貫神輿の迫力は、鳥越の真骨頂だ。

 品川のお祭りとともに、今年は創作のために諦めた。

 まだ、道半ば。。

 御神輿を見ると、つい血が騒いでしまう性分なもんでね。


 「路地裏の紫陽花出でて袖とられ」 海光

 
 ひとつ云えることは、演奏も、祭りも、どちらも生(LIVE)に限るってことだ


今戸祭りと日本一の堤。

2013年06月03日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
      日本堤本町会の夜神輿

 ついに水無月にはいった

 この月が終わると、ことしも半分が消化する。

 まっこと世の流れは速まるばかり、とは年寄ったモノの弁。

    

 三社祭で痛めた腰の具合を、長男とのモーニングRUNで試してみる。どうだろう?

  
            今戸神社

 この週末が祭礼の熱田神社さまと今戸神社さまにお参り。 

 この今戸神社さま、浅草七福神の一つ、福禄寿がおられる。

 浮世絵にも残るかの今戸焼きの発祥の地。また境内に数え切れない猫がおり、招き猫の発祥とも云われる。お賽銭箱の向こうに、巨大な猫さまも鎮座なさる。

 浅草の中心地から離れた地でありながら、若い女性の参拝があとを絶たない。近いところでは、縁結びの神様として崇められているのだ。

 そして、大先輩、作家越水利江子姐さんの作品でもたびたび登場する、沖田総司の終焉の地ともされている。

 さて、どうか、担ぎ衆が怪我もなくお神輿の渡御ができますように。 パンパンッ!。

  
         隅田川 散策ロード

 竹屋と橋場の渡しをつなぐ、川辺のランニングロードを疾走する。

 初夏の風がカラダ全体を抜けてゆく。

 酒精に犯された、あれもこれも剥げ落ちてしまえばいい。

   
            歌川広重 今戸橋玉庄の図

  
             井上安治 今戸橋雪 

 隅田川両岸には、たくさんの浮世絵の転写が飾られている。

 今戸祭にちなんで、天保と明治初期の絵を撮ってみた。

 対岸側の、東の空から朝陽が反射している。

 この風情を残したら、世界遺産級だと思うのだけど…。

  
                  石浜神社

 明治通り白髭橋を横切ると、石浜神社がある。

 池波正太郎大兄が書く、「剣客商売」秋山大冶郎が住まう道場があった真崎稲荷は、この神社に鎮座しているのだ。

 石浜神社もこの日が祭礼。大先輩の作家、高橋うららさんはこちらの氏子らしい。お祭りにお顔を出されるのだろうか。

   
         今戸の本社神輿

 実家の町会、日本堤本町会は午後からの渡御。

 お清めをしてから発進する。

   
          府中の大太鼓

 大震災復興を願って作られた大太鼓は府中から運ばれたらしい。

 子供の山車の太鼓にしては異様な豪音が町にコダマすると思っていた。

 腹に、家々の窓ガラスに響く巨音は、この太鼓が正体だった。バチがバットと同じようである。

 それにしても、デ・カ・い!!

  

 一本下駄の天狗様も登場した。

 本社神輿の出番でござる。

 

 いずこも女性の活躍がめざましい。

   

 スカイツリーを背に、土手八丁をゆく。

 ちょいとこの先に見まう見返り柳を右手に回れば、花魁に会いに来た武士も襟をただず衣紋坂。いわゆる新吉原の仲町通りにあたる。

 おいらが生まれ育った地。

 お江戸開府以来、日本全国の名だたる諸大名が真土(待乳山聖天)の山を切り崩して土手を築いた。

 日本一の堤とはこのことの由来とも。この普請の間、日本晴れが続いたという説もある。 

 何気なく育った故郷。日本堤本町会という名称に、連綿とつづく歴史を感じる。

 
       今戸神社氏子町会の五つの提灯

 夕方5時20分、いよいよ宮入りスタート。

 親しんだ本町会の半纏も誇らしく、神様を担ぎ境内へまいる。

 
               宮入り風景

 鳥居を潜る前、やはり起きた揉め事。

 往時と同じく、酒がたっぷり入った男衆の鼻息は荒い。

 火事と喧嘩は江戸の華とはよくいったもんだ。

 
             見事宮入り一本締め

 長くなった陽も陰り、お祭りも最高潮に達した。

 涼風やどこへ、神輿のなかで揉まれるとまるで湿式サウナの如し、なのだ。 

 関東一本で締めた!


  「土手を往く半纏の背に南風」 海光



 
                神社の屋台

 
               スライスポテト 

 お祭り好きに育った子供たち、夜店の味も外せない。 

 焼き鳥、イカ焼、いろいろ頬張って、迷って、初めて見るスライスポテトに目がとまった。

 揚げ立てのホヤホヤは、大当たり。

 未来の青年部長たち、半纏姿が逞しい。

 散々食って飲んで、担いで、やっぱり祭りはいい


初夏の匂い。

2013年05月27日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
             江戸風鈴と植木

  「風濡れてチリンの音や腕まくり」 海光

 毎年皐月と水無月のおわり、観音裏の浅間神社を中心にお富士さんの植木市が行われる

 丁度、三社祭と今戸祭の間にある、癒しの下町の催し。

 強くなった陽射しに火照る首筋の汗を拭うと、町の路地裏に風が抜ける。

 江戸風鈴の音が、一葉通りに木霊する。

  

 子供たちは、屋台が大好き。

 ばらばらに散った中学。

 地元で育った仲間が集まるのも、季節の風物詩ならではでいいよね。

 たこやきに、ヤキソバは定番だが、おいらの小さい頃になかった、タイラーメンがおいしそうだ。

 富士宮の新名物やら、チキンステーキ、シャーピン、フリフリポテト、から揚げを次から次へと頬張る姿がたのもしい。

 腹いっぱい食べられるのも、若さゆえの才能だ、とつくづく思う。

 
               浅間神社 

 三社祭で一斉にあがる夜神輿の舞台、お富士さんの浅間神社。

 この日ばかりは、ご開帳。

 一年分の御礼参り。

 二礼二拍手一礼。

 今年もいいことありますように!

 
            ツリーと東京ホタル 

 陽が落ちると、大川に人が並ぶ。

 二年目の、東京ホタル。

 朝、隅田公園を走るとはやくもカメラの場所取りをしている人もいたくらいだから、大きなイベントになっているんだろう。

 いつもの、広場に白い砂が撒かれ、白浜のようだ。見慣れない、屋台が競い、カクテルをこさえる若者の元気が気分いい。

 隅田の流れに、本物のホタルが見られる日が来るのだろうか。

  
        桜橋から流れるブルーのLED 

 約10万個の青いLEDが川面を染める。

 スカイツリーのブルー(粋)色の点灯と、夜空に輝く。

 新鮮なコラボレーションだ。 

 8時になり、ツリーの点灯が消える。

 東京オリンピック招致のための、特別な5色の灯りに切り替わったのだ。

 大勢の観客が流す、いのり星にうっとりと、夜の公園を散歩した。

 今年は雲に霞み、ビッグムーン(満月)はおやすみとな。

 あー、麦酒が旨い!

 浅草は、いま初夏の香りでいっぱいである