日比谷公園にて
「元日の恵比寿も降りる陽だまりや」 哲露
2014年初日、つまり1月1日のこと
いわゆる映画の日にあたる。
我が家では、お正月=映画鑑賞で新しい年の幕を開ける。
ハリーポッターのハーマイオニー役があまりにも有名な、Emma Watsonが主演。
独創的な世界観を作った「ロスト・イン・トランスレーション」のSofia Coppolaが監督としてメガホンをとった。
ゴッドファーザーのコッポラでなく、Sofia Coppolaが脳裏にインプットされた作品だった。
これだ!
ということで、銀座Toeiまでチケットを求めにいったら、中一の息子がR15指定で観られないという。
仕方なく方向転換、Tom Hanks主演の「キャプテン・フィリップス」のチケットを買った。
家人を待つ間、一人日比谷公園でエビスなど傾けながら、陽だまりの読書に耽る。
なんともプチ贅沢な元旦になった。
【そして、映画のこと】
再度のアカデミー賞の呼び声も高い、ソマリアの海賊の話しである。
版元の仕事では付録のコンテナ輸入で苦労している。
冒頭から、コンテナを満載したアメリカ国籍の貨物船が登場。
これがそうか、コンテナ船か!
と、別の視点で鑑賞しつつ、徐々に映像の世界に惹き込まれていった。
海賊に襲われ、キャプテン・フィリップス独りが人質になるシーンが臨場感たっぷり。
主役のTomの演技は鬼気迫るものがあった。名伯楽にさらに拍車がかかったようだ。
おそるべし、Tom Hanks!
それにしても、どこにでもある日常の裏に突然現れる危機がリアルに怖い。
民間の輸送船。通常通りに航海すれば、何事もなく平和に家族のもとに帰れるはずだ。
グローバルな世界を取り巻く、富裕人のあくなき物欲、途上国の困窮、価値の転換、生活の急転、恐怖による支配、脅しと強奪。モラルや正義の定義の危うさ、テーマが複層に交わってゆく。
科学文明の現代に海賊が現存することも驚きだ。
海の上では巨大なタンカーでも、銃さえあれば小型船で意図も簡単に略奪できるのだ。
搾取と貧困が海賊を作り、平和を脅かす。
その原因は過剰な贅沢を当たり前として謳歌している我々に起因していたりもする。
見応えのある作品だった。
そして、血の臭いがする迫真と、観られなかった「ブリングリング」の窃盗の違い。
R15指定の設定もまた疑問に残る。
現実にあった話し。
勝者も敗者もない、現世の無常を突きつけられた。
そういえば、パルプフィクションもそうだった。
死は背と隣り合わせにあるのだ。
ソマリア海域、こわい