田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ウスモンガガンボダマシ

2009-03-03 | ハエ目(双翅目)
ウスモンガガンボダマシ
ガガンボダマシ科(Trichoceridae)ガガンボダマシ属(Trichocera)のウスモンガガンボダマシ
 Trichocera maculipennis Meigen,1818

庭の隅で堆肥作りをしている。ヒノキの間伐材を組み合わせて、高さ120cmほどの箱型の野菜クズ捨て場が作ってある。
そのヒノキの丸太に止まる翅端まで約1cmほどのガガンボを見つけた。
研究者の方々にお聞きしたところ、一見体形が似ているもののガガンボではなく、ガガンボとは類縁性が遠いガガンボダマシの一種だと言う。
翅後縁基部近くに湾曲した短いA1脈(伝統的A2脈)がはっきり写っている、これがガガンボダマシ科Trichocera属の重要な特徴だと言う。
また、このように翅に顕著に発達した斑紋を持つ種はT. maculipennis群に属するものだと言う。
あるガガンボの研究者は「翅の模様からウスモンガガンボダマシそのものと思います。畑の周りや公園、庭、墓地などで見られるものです。」と教えてくれた。

ガガンボダマシなんて、何の予備知識も無かったので、少し調べた。
ガガンボのことを英語ではcrane fly(鶴ハエ)と言う。そしてガガンボダマシはwinter crane flyと言う。その英名から推測できるように、冬の間に見られる仲間らしい。4月あたりまでは普通に見られるらしい。
「晩冬の夕暮れ,軒先や枯れ木の枝先の下で群飛しているガガンボダマシ」が目撃されている。

ある外国の検索表に
Three ocelli present; wings with second anal vein (A2) short and strongly curved at apex and bent suddenly towards the wing margins.. Family Trichoceridae (Winter crane flies)
とあった。
保育社の「原色日本昆虫図鑑(下)」にはウスモンカガンボダマシの和名で
 体長6㎜、翅長8.5㎜、体は黒褐色、頭頂に3個の単眼がある。
 成虫は晩秋から早春にかけて現れ、群飛して蚊柱をつくる。
 北半球に広く分布する。
などと記述されている。

北隆館の「原色昆虫大図鑑Ⅲ」(s40初版)にはウスモンカガンボダマシの和名で
 「体長5~6.7mm。日本に産する同属の種類のうち翅に数個の斑紋を装うのは本種だけである。」などと記述されている。

ガガンボダマシ科はガガンボよりも脚が取れにくいので標本にしやすいらしい。
九大目録ではガガンボダマシ科は14種。その内Trichocera属が12種。
2009.2.23

ウスモンガガンボダマシ
2009.2.28 トキワマンサクの幹にて

日本昆虫図鑑1950によると,「腹部は一様に黒色,産卵管は比較的細長い.本種は北半球の寒冷の地に広く分布し,北海道・本州に多く,成虫は冬期及び早春に森林に多く出現し,平穏な日には地上2,3mの高さで群飛する.又往々人家内に入り,窓硝子・障子等に静止する場合を目撃する.」
ウスモンガガンボダマシ
日本昆虫図鑑1950のウスモンガガンボダマシ


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2 コメント

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トラックバック (yyzz2)
2009-03-22 17:46:37
はじめまして.
ガガンボダマシについて調べていましたところ,
貴記事に幸運にも出会い,勉強させていただきました.
どうもありがとうございました.
http://d.hatena.ne.jp/yyzz2/20090322

貢献 (田中川)
2009-03-22 22:16:55
ガガンボダマシ科と同定できて良かったですね。これまでのネット情報だけでは無理でしたから。少しでもお役に立てて、うれしいです。

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