田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

金色のシギアブ科

2008-05-09 | ハエ目(双翅目)
キアシキンシギアブ
鈴鹿川の中流域。河川敷の低い草むらで金色をした双翅目(ハエ目)を何個体も見かけた。
短角亜目(ハエ亜目)のシギアブ科に属するキアシキンシギアブ(学名はChrysopilus ditissimis Bezzi,1912)またはその近縁種のようである。
キアシキンシギアブは京都府のレッドデータブックでは要注目種とされている。その解説によると、「河岸の自然度の高い草原に生息し、個体数は多いが、生息地は局所的である」という。

三重県のレッドデータブック2005では情報不足とされ、「中・下流域の海岸の草地にみられる。河川の改修によって失われやすい環境であり、詳しい調査を要する」としている。
同書のこの解説は校正ミスだと思うが、海岸は河岸とすべき、また中・下流域は県内の記録などから中・下(ときに上)流域とすべきであろう。

学名のChrysopilusは金毛を意味する。
体色は黒で、金色の毛を装っている。この毛が取れると体の黒色がそれだけ多く見えてくるので、個体によって見かけの色模様が違って見える。
体長は上の写真の♂個体で約9ミリ。
シギアブの名称は脚が細くて長いところから鳥のシギを連想することに由来するもの。
幼虫は土中や朽木の中などで生活し、他の軟弱な昆虫の幼虫などを食べているようである。
Chrysopilus属の1種には違いないのだが、近縁種に関する情報が乏しく、和名すら無い種が多い現状では種の確定が出来ない。ネット上でキアシキンシギアブとして紹介している画像を見比べると、どうも雰囲気や翅の色など少し異なるものがあるように思える。
鈴鹿市発行の「鈴鹿市の自然」にはシギアブ科の記録は無い。
成虫の出現期間は極めて短いらしい。今度はいつ会えることやら。
2008.5.6

キアシキンシギアブ
この個体は雄

キアシキンシギアブ
この個体は雄

キアシキンシギアブ
この個体は雌

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