田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

サツマゴキブリ

2006-04-03 | 三重の生き物
四国の高知、九州南部以南が生息地であったが、近年熊野地方で見られるようになった。元来は森林性のゴキブリらしいが、とある浜辺で生息しているとの情報を得、会いに行った。砂利ばかりの海岸で、大きめの石の下、流木の下、落ち葉の下に集団で暮らしているのを確認した。体の厚みはさほど無く、狭い石の隙間を自由に動ける体型だが、人が歩いて石が少しでも動けば押しつぶされそうな気がした。
写真の右から2匹目は幼虫。成虫も飛ぶ翅が無く、古代三葉虫を思わせる。

♂の体長は25~35mm、♀は30~35mm。卵胎生で、一回に5mmほどの幼虫を約40個体産む。腹部の体節を数えると、通常は♂は9節、♀は7節であることで判別が出来る。♂には、体の後端にある一対の尾突起の間に節があり、終齢に近い幼虫でも、この判別で♂♀を見分けることが出来る。


流木の下に集団で棲んでいるのを見つけた。後翅は無く、短いうろこ状の前翅の痕跡が残る。長い触角で食べ物を探す。雑食、夜行性。2006.4.1


大きめの石を持ち上げると見つかった、♂の個体。動きは鈍く、簡単に手で捕まえられそうであった。やさしく指で腹部を持ち、生まれて初めてゴキブリに触れた。ゴキブリは人より100倍も長い歴史を持つ。高速走行するというが、強靭な外骨格を持たない分、打撃には弱い。押しつぶされる危険は多々ある。石の下に、成虫と幼虫の死体を見つけた。乾燥させた唐辛子のようだった。サツマゴキブリは翅をもたない。それでもきっと私よりも長く、この浜辺で生き続けていくのだろう。荒涼とした浜辺で生きる彼らは、人畜無害に見える。生きている3億年は、「そうだ、そうだ」というように、両手の中でうごめいていた。

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5 コメント

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シネマ (Miho)
2006-04-06 19:38:31
子どもの頃見たアメリカ映画を思い出しました。科学者の悪巧みで、ゴキブリと三葉虫が交配されてしまうのです。うまれた子はサツマゴキブリに良く似ており、新聞読んで学習し、ゴキブリ文字?でSOSと訴えていました。サツマゴキブリも人知れず集会など開いてるのかもしれません。
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Unknown (田中川)
2006-04-06 23:04:29
映画のことは知りませんが、翅の無い彼らが九州や四国、台湾などからどうやって和歌山や三重県にやってきたのか、何か不思議な物語が有るんでしょうね。
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食欲減少! (笠地蔵)
2006-04-07 20:50:26
妻に食事中にこのプログを見せられたので、それから食欲不振になってしまいました。何を食べようとしてもあの黒い姿を思い出してしまいます。どうしたら忘れられるのでしょうか。

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怖いもの見たさ? (笠地蔵の妻)
2006-04-08 19:04:26
食欲が戻ったらしい夫は、ゴキブリの映画に興味を持ち、レンタルビデオ店に探しに行っていました。どなたかタイトルが分かっら、おしえてやってください。
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サツマゴキブリの旅 (Miho)
2006-04-20 22:26:30
流木に乗って、流れ着いたんじゃないかと旧友にいわれました。どんな旅だったのか、想像しています。
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