田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

河川敷のヤガミスゲ

2011-05-19 | 草花

カヤツリグサ科スゲ属のヤガミスゲ Carex maaskii Maxim.

三重県四日市市塩浜町の鈴鹿川河川敷で見慣れぬスゲを見つけた。当初,ナガバアメリカミコシガヤCarex vulpinoidea Michx.ではないかと思ったが,複数の植物屋にみてもらったら,ヤガミスゲと同定された。写真中央の有花茎の高さは70センチ以上あった。

『日本のスゲ』によると,ヤガミスゲの生育環境は河川敷などの湿った草地で,「花序は3~6cm,熟すと果胞はやや開出する。有花茎は高さ40~70cm,鋭稜があって著しくざらつく。花序は無柄の小穂を円柱状に密生し,長さ3~5cm,幅約1cm。小穂は長さ5~8mm,雌雄性で多数の雌花と基部に少数の雄花をつける。果胞は長さ約3.5mm,狭いが明らかな翼があり,その縁はざらつき,上部はしだいに狭くなって長嘴となる。」
Y氏によると,ヤガミスゲの三重県内の記録は少ないという。

なお,『日本のスゲ』によると,ナガバアメリカミコシガヤは「北アメリカ原産。1998年に神奈川県津久井郡相模湖町の休耕田で採集された。その後,埼玉県,岡山県から報告がある。アメリカミコシガヤにきわめてよく似るが,葉は果期に有花茎よりも長く,果胞は長さ約2mm,幅葯1mmと小さい。」
また,『新版三重県帰化植物誌』をみても,ナガバアメリカミコシガヤは載っていなかった。

2011.5.18

小穂は雌雄性

当初,ナガバアメリカミコシガヤとして紹介していたが,2011.5.23にヤガミスゲとして記事を訂正して加筆した。