田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

ヒコサンヨツコブゴミムシダマシ越冬中

2011-01-31 | 甲虫

ゴミムシダマシ科のヒコサンヨツコブゴミムシダマシ Uloma hikosana

紀北町の赤野島で2011.1.16に見つけていた甲虫の種名が判明した。ヒコサンヨツコブゴミムシダマシという。同定者はN氏である。N氏はこの標本を検鏡するとき,標本を逆さにして腹面を確かめていた。南方系の種で,三重県では南の方でしか採れていないようだ。

赤野島には松の倒木が多く,その朽ち木を崩していて見つかった。小雪が舞う中,この成虫は朽ち木の中で越冬していくのだろう。この島での個体数は多いと感じた。

甲虫図鑑には,ヨツコブゴミムシダマシの記載の中で「九州山地産のやや小型の亜種にU.b.hikosana Nakaneがあるが,多数並べてみると,基亜種に吸収される」とある。
それでもなお,ヒコサンヨツコブゴミムシダマシと同定するということは,近年の研究がそれだけ進んでいるからなのだろう。

『熊野灘沿岸照葉樹林の昆虫』には,Uloma属が5種記録されていて,ヒコサンヨツコブゴミムシダマシは尾鷲市や熊野市で採集されている。なお,尾鷲市からはヨツコブゴミムシダマシも記録されている。