田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

コウボウムギ群落

2009-04-28 | 草花
コウボウムギ
芦原海岸のコウボウムギ群落 2009.4.27

カヤツリグサ科スゲ属のコウボウムギは砂浜の海浜植物の代表的なもの。
普通は雌雄異株。日本では北海道西南部から琉球列島にかけて分布。
学名はCarex kobomugi Ohwi 種小名が和名に基づきコーボームギと命名されている。

もう一ケ月もしないうちに、この海岸はハマボウフウの緑の葉と白い花で埋め尽くされる。
他の海岸では、広い見事な砂浜に松の木をせっせと植えている人がいる。ゴミ拾いもしてくれるから、地元の人たちが喜んでいるとも聞く。砂浜に生息する生き物たちのことは顧みようともしない。砂浜に園芸植物を植え、サツマイモを栽培して、松の手入れをして人生を楽しんでいる。

松なんか抜いてしまって、コウボウムギやハマボウフウなどの海浜植物でも植えていりゃいいのにと思う。

コウボウムギ
コウボウムギ雄株

コウボウムギ
コウボウムギ雌株

干潟のコウボウシバ

2009-04-11 | 草花
コウボウシバ
2009.4.8 コウボウシバ Carex pumila Thunb.の群生 田中川干潟の南端にて
左の植物はケカモノハシ、右はホソバハマアカザ

スゲ属カヤツリグサ科のコウボウシバが花期を迎えた。
コウボウムギよりも細身だが、シオクグほど華奢ではない。いずれも、長い匍匐枝を地下で延ばして殖えて群生する様はいかにも海浜植物らしい。
コウボウシバはハママツナやホソバハマアカザよりも少し高い場所に群生している。
コウボウシバよりも更に高い場所にはケカモノハシやビロードテンツキ、オニシバが育っている。

何年か先に津市の自然についてまとまった冊子が出来上がる予定との話を聞いた。
芦原海岸と田中川干潟は要調査地域の一つになっているという。関係者から「ここの自然は素晴らしい」との声も聞こえてきた。
後世に残す素晴らしい冊子が出来るよう、田中川の生き物調査隊は出来る限りの情報提供と調査協力をしていくつもりだ。

コウボウシバ
2009.4.10 コウボウシバの茶色い雄小穂と下部に見えてる雌小穂

コウボウシバ
果胞がすでに丸く膨れ始めて果期に入った雌小穂もあった

コウボウシバ
コウボウシバの雄小穂と雌小穂

タンキリマメ種子

2008-12-07 | 草花
タンキリマメ種子
タンキリマメの豆果に無性に会いたくなった。自宅から1キロほどの自生地に出かけた。
豆果は赤く熟し裂開して、黒い種子を見せていた。
種子は2個づつ入っていると図鑑などに紹介されているが、3個入りの豆果をいくつか見つけた。
タンキリマメはこれまで田中川干潟の近くでも見たことがある。明和町の大淀海岸周辺でも出会っている。つる性の多年草だから、巻きつくものが無いと困るのだろう、草地や林縁などの人が通る明るい小道脇などに生えている。
しゃがみこんで観察していると、犬の散歩にやってきた小母さんが遠慮してか、気味悪がってか知らないが、「何しとんのやろ」と呟きながら、散歩ルートを変えて行ってしまった。
今日は一人だけど、他の場所では仲間とタンキリマメの種子の様子を観察していた思い出があるんだと自分に言い聞かせた。
どうも近頃一人で動き回っている。
2008.12.3

タンキリマメ

タンキリマメ種子

タンキリマメ種子

オオオナモミ群生

2008-11-20 | 草花
オオオナモミ
伊勢上野公園から伊勢鉄道高架下をみる。田中川の中流。

伊勢鉄道の伊勢上野駅近くに伊勢上野公園という田中川の親水公園がある。この辺りの田中川は、稲の栽培期間中はせき止められているが、刈り取りが終わる頃には川底が見えてくるようになる。すると、たちまちに干上がった川原が緑で被われてくる。オオオナモミの発芽である。約半年間も水に浸かっていた種子が一斉に発芽するのである。
この日は今年一番の冷え込みにもかかわらず、オオオナモミの群生を覘きに出かけた。
川原が褐色に見えるところがオオオナモミの群生である。この群生の中では他の植物は育たないくらい、びっしりとオオオナモミが生えている。
家に帰ってから、ズボンにひっつき虫がくっついているのを家族に見つけられた。
2008.11.19

オオオナモミ
伊勢上野公園から上流を見る。

オオオナモミ
オオオナモミの果苞 いわゆる「ひっつき虫」
先端にくちばし状の突起が2個ある。表面にはカギ状の棘が密生する。この中に2個の細長い種子が入っている。

オオオナモミ
まだ熟していない果苞も見られた。

センダングサ

2008-10-22 | 草花
センダングサ
答志島。道路脇に咲く黄色い花に目が止まった。
まわりにはコセンダングサがたくさん咲いていたが、これは少しおもむきが異なる。
古い時代の帰化植物で、5個の舌状花を持つ1年草のセンダングサである。
関東以西の本州、四国、九州の平地に生息。
図鑑に載っているセンダングサの葉の様子とは少し異なる気がする。写真の個体は葉の鋸歯が少し丸みを帯びているように思う。
2008.10.12

センダングサ

センダングサ

ハマネナシカズラ

2008-10-17 | 草花
ハマネナシカズラ
答志島にて。
80代の植物研究家、岡与一さんが県立博物館主催のアサギマダラのマーキング調査に参加されていた。
岡さんは島の地図も持参されていて、その地図にはたくさんの書き込みがしてあった。何度も島を訪れている様子で、長者ケ浜へ降りるよう勧められた。
岡さんは昆虫網の他に胴らん、籐で作られた野冊(やさつ)など植物採集用の小道具をいくつか用意されていた。
採集した植物を野冊に挟む作業を道路わきで始められたので、覗き込んだ。
新聞紙の上に置かれた植物は初めて見るものであった。
ネナシカズラの仲間だと思ったが、岡さんに尋ねた。
「ネナシカズラですが、これはハマネナシカズラのほうですね」と教えてもらった。
ハマネナシカズラは暖地の海岸に見られる1年生の寄生植物。
中部地方以西の本州、四国、九州、沖縄に分布する。
2008.10.12

ハマネナシカズラ

ナンテンハギ

2008-10-11 | 草花
ナンテンハギ
宮川の河川敷。
林縁の低い草むらの中で咲くナンテンハギを見つけた。
マメ科ソラマメ属だからカラスノエンドウと同じ属である。しかし巻きひげも無ければ、葉の様子も違う。
北海道から九州まで分布。
高さ30~60センチの多年草。

新葉が二つ折りにされて、その半分ほどがくっついたまま膨らんだ虫こぶ状のもの(最後の写真)をいくつか見かけた。これは一体何なんだろう。
2008.10.7

ナンテンハギ

ナンテンハギ

ナンテンハギ

オカヒジキの花

2008-09-25 | 草花
オカヒジキ
砂浜でオカヒジキが白い花を咲かせていた。
アカザ科オカヒジキ属
肉質の葉の先端は鋭く尖り、触ると痛い。
これだけ硬くなった茎葉はもはや食用には適さない。
葉が尖って痛いといえば、帰化植物のアツバキミガヨラン、河芸の砂浜で最近どんどん増えている。先日、伊勢市の岡与一さんに「皆さん方で早く駆除されたし」と言われた。
2008.9.25

オカヒジキ

アメリカネナシカズラ

2008-09-08 | 草花
アメリカネナシカズラ
田中川干潟の南端近くでヒルガオ科ネナシカズラ属のアメリカネナシカズラを見つけた。
北米原産の帰化植物で、一年生の寄生植物。
田中川河口の堤防際辺りにも多い。
アメリカネナシカズラに虫こぶを造るマダラケシツブゾウムシの姿は無かった。
ネナシカズラツルコブフシもしばらく見ていないなあ。
2008.9.4

タンキリマメ

2008-08-14 | 草花
タンキリマメ
津市河芸町の海岸地帯で久しぶりにマメ科のタンキリマメに出会った。
セイタカアワダチソウなどに絡み付いて、花を咲かせていた。
関東地方以西に分布している暖地性のつる性多年草。
豆果が熟すと2個の黒い種子が見えてくるようになる。その様子が忘れられない。また、会いたい。
2008.8.10

タンキリマメ

オカトラノオ

2008-06-14 | 草花
オカトラノオ
海岸の土手に群生するオカトラノオを見つけた。
去年までは気がつかなかった。山土が盛られた土手は随分前に工事用に造られたもの。
丘陵地の日当たりの良い草地に生える多年草。
茎葉には短毛が生えている。葉の裏表共に触った感触はベルベットのよう。
葉の幅は3センチ近くあつた。
いろんな昆虫たちが花に集まっていた。
サクラソウ科オカトラノオ属
2008.6.10

オカトラノオ


オカトラノオ

砂浜のマンテマ

2008-06-01 | 草花
マンテマ
津市の町屋海岸にマンテマが群生している。今が花の盛り。
ヨーロッパ原産の1~2年草で、江戸末期に観賞用として導入されたもの。
ナデシコ科マンテマ属
花弁が白色から淡紅色のものはシロバナマンテマといい、国道23号線の中央分離帯や歩道脇でよく見かける。
マンテマ群生地の周りでは地元小学生が松を毎年植えている。自治会が学校側に働きかけて実施していると聞く。
私はマンテマの生息場所が奪われることを心配している一人である。
観賞用として栽培されていただけに、赤いマンテマは美しい。
2008.5.30

マンテマ

マンテマ

セイヨウヒキヨモギ

2008-05-29 | 草花
セイヨウヒキヨモギ
鈴鹿川の堤防沿いに車を走らせていたとき、黄色い花の群落を見つけた。
初めて見る帰化植物に違いないと思った。
茎葉のどこを触っても粘ついた。全草に白い毛と腺毛を密生している。
ゴマノハグサ科の1年草で、地中海沿岸が原産。
千葉県船橋市の宅地造成地で1973年に発見。
『鈴鹿市の帰化植物』(1999 太田久次)によると、鈴鹿市では1983年に国道23号線沿いで初記録されている。砂防用植物種子に混入して帰化したとのことである。
今年、太田久次さんは急死された。『改訂三重県帰化植物誌』を書き加えて再発行したいと数年前におっしゃっていた。ご自宅で見せていただいた同書には、たくさんの赤字の加筆があった。太田さんには『津市の帰化植物』も発行していただいた。ずいぶん厄介になった。
2008.5.28

セイヨウヒキヨモギ

セイヨウヒキヨモギ

アカウキクサの池

2008-04-27 | 草花
アカウキクサの池
一ヶ月前に新聞で紹介されていたアカウキクサの池を訪ねた。
日本植物分類学会会員で82歳の岡与一さんが鳥羽へ向かう近鉄電車の窓から横池(伊勢市)を見て気づいたという。
池の表面は赤く、田園地帯の中で目立っている。
アカウキクサはアカウキクサ科の常緑シダ植物。根には長い根毛がある。葉は秋から初春にかけて赤く変色する。繁殖力は強く、東海地方より西に分布するが、池の埋め立てや農薬には勝てず、各地で急激に減少している。
三重県内ではこれまで8市で生息記録があるものの、現在は激減しており、三重県レッドデータブック2005では絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている。
岸近くのアカウキクサを観察していたら、緑色がかった個体群を見かけた。夏にはほとんど緑白色になることもあるらしい。また、夏にも見に行こうと思っている。
横池を管理する楠部町自治会が保護に熱心と聞く。なによりだ。

池の周りを歩いていると、何匹もの蛾が飛んだ。飛んでも池の周りからは離れない。ヒメマダラミズメイガ達だ。
幼虫の食草がウキクサ科やヒシ科などの水生植物だから、この池に居ても不思議ではないが、出現月は通常7~9月の盛夏なんだけど。
♀ならもっと黒っぽくなるから、褐色のこの個体は多分♂。
2008.4.25

アカウキクサ

アカウキクサ

ヒメマダラミズメイガ

ムラサキケマン咲く

2008-04-18 | 草花
ムラサキケマン
里山の山道を歩く。西日は当たらないけど明るい道端に、草むらの中で紅紫色の花が咲いている。
ケシ科のムラサキケマンだ。
花の色が薄茶色に変わっているのもあり、下向きに曲がって付く果も見られた。すでに花の盛りを過ぎているのだろう。
傷つけると、やや悪臭がすると図鑑に書いてあった。柔らかい植物なんだから、優しくしてあげなくっちゃ。
2008.4.16

ムラサキケマン

ムラサキケマン