堤卓の弁理士試験情報

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方式審査便覧05.11(中間手続-8) (18.7.19)

2006-07-19 10:04:21 | Weblog
 方式審査便覧05.11(中間手続-8)

※コメント
  手続が中断している期間中に手続がされた場合の特許庁の取扱いを規定しています。
  中断期間中にされた手続が当然に無効になるものではないとしています。
  相手方が争わないときは、中断期間中にされた手続であっても、有効なものとするようです。

★中断又は中止中に行われた手続の取扱い

 受継又は続行の申立者がその申立て(名義変更届により受継の申立てをなす場合も含む。以下同じ。)の時点において、中断又は中止中に当事者又は当庁が行った手続(以下「中断中の手続」という。)の効力について争わないときは、中断中の手続の無効又は取消を主張することは認めないこととする。

(説明)
 当事者の死亡、合併、更生決定等により当事者の手続は中断する(特24条で準用する民訴法124条(1項6号を除く。)、会社更生法53条参照)。
 そして、中断した手続は当事者の承継人においてこれを受け継ぐことができ、承継人からの受継の申立によって中断は解消して、手続の進行が再開されることになる。
 次に、中断中の手続は欠陥あるものとなるが、そもそも、手続の中断は本来公益的なものではなく、当事者の保護に立脚した制度であることにかんがみれば中断中になされた行為は、当然に無効となるものではないと解すべきである。
 したがって、承継人又は管財人があえてその欠陥についてとがめることなく、そのまま手続行為をつみ重ねたときは、その欠陥は補正されたものとみるべきである(参考-民訴法90条)。
 なお、中止についても同様と解する。

方式審査便覧04.12(総論-7の2) (18.7.18)

2006-07-18 07:34:55 | Weblog
 方式審査便覧04.12(総論-7の2)

 期間延長をした場合の期間計算について

 特許法4条及び5条の規定による延長期間は、もとの期間と一体をなし、合計された一つの期間として手続のできる期間が定まるものであり、特許法3条2項にいう「期間の末日」とは、もとの期間の起算日から計算して合計された一つの期間の末日を指称するものである。

 したがって、もとの期間の末日が日曜日及び土曜日、国民の祝日等に当たっても、そこに特許法3条2項の規定は適用されない。

方式審査便覧04.11(総論-6) (18.7.18)

2006-07-18 07:29:04 | Weblog
 方式審査便覧04.11(総論-6)

 特許法3条2項に規定する特許出願、審判請求等の手続についての期間の解釈について

 特許法3条2項の規定は、特許に関する手続についての期間の末日が日曜日及び土曜日、国民の祝日等に当たる場合の期間の計算についてのものである。

 現行特許法は、期間の計算に関する限り3条1項及び2項の規定が適用され、別に法令に規定されている場合(特許法126条2項ただし書)を除き例外はない。

 よって、同法3条2項の規定は、その期間が法定期間であるか否かに関わらず、特許出願、審判請求等の手続に関するものである限り、例外なく適用されるものである。

 なお、商標登録異議申立書の提出期間の末日が商標法77条1項で準用する特許法3条2項の規定に該当するときは、商標法43条の4第2項の規定による異議申立理由補充書の提出期間の起算日は、順延された異議申立期間の末日の翌日である。

方式審査便覧02.28(代理-9) (18.7.18)

2006-07-18 07:20:04 | Weblog
 方式審査便覧02.28(代理-9)

 復代理人が更に復代理人を選任する場合の取扱い

 委任による代理人の復代理人が更に復代理人を選任することは原則として認めない。

(説明)
 委任による代理人の復任権については、民法104条において「本人の許諾を得たとき又はやむを得ない事由があるとき」に限定して認めている。

 委任による代理人は、本人との人的信頼関係によって選任されているものであるから、代理人が復代理人を選任し、これに手続をなさしめることは、一般に、本人の信頼に即したとはいい難いので、特別法である特許法は9条により特別の授権を得た場合に限り、復代理人の選任を認めている。

 したがって、復代理人を選任することは、本来、例外的な事柄であり、復代理人が更に復代理人を選任することを認めると、本人との信頼関係がますます希薄となることから本文のとおり取り扱う。

 なお、本人が代理人に代理権及び復任権を与えるとともに、当該復代理人が更に復代理人を選任しうることを明示した場合において代理人が当該復任権等の内容を明示して復代理人を選任し、この権限に基づいて、更に復代理人が選任されたような場合には、復代理人が更に復代理人を選任することが、例外的に認められようが、本人が代理人に付与した委任状に単に「復代理人を選任する権限を委任する」と記載されている場合には、認められない。

方式審査§便覧02.26(代理-7) (18.7.17)

2006-07-17 07:53:57 | Weblog
 方式審査§便覧02.26(代理-7)

 代理人が死亡した場合における復代理人の地位について

 復代理人の代理権は、代理人の死亡によっては消滅しない。ただし、本人が復代理人を解任することは妨げない。

(説明)
1.民法においては、代理人の死亡によりその代理権が消滅した場合には、同時に代理人が復代理人を監督する可能性も全く消滅するから、復代理人の代理権も消滅するものと解される。
 これに対して、民事訴訟法においては、訴訟の円滑、迅速な進行という訴訟代理の目的等に照して、訴訟代理人が死亡しても、当然には復代理人の代理権は消滅しないものと解されている。特許等の手続は出願、審査、審判等一連の流れにおいて行われ、訴訟手続に類するものと考えられるため、復代理人の代理権は、代理人の死亡によっては、消滅しないものとする。

2.復代理人は本人及び第三者に対しては代理人と同一の権利義務を有し(民法107条2項参照)復代理人といえども委任の本旨に従い善管義務を負うことから、本人は復代理人を解任し得ると解する。

方式審査便覧02.20(代理-1) (18.7.17)

2006-07-17 07:43:58 | Weblog
 方式審査便覧02.20(代理-1)

 未成年者等の手続の代理人の選任について

 未成年者等が手続をする場合は、法定代理人によらなければならない旨規定されているが(特許法7条)、法定代理人が必要であると認めたときは、法定代理人は、自己の名において復代理人を、未成年者等の名において代理人をそれぞれ選任することができる。

 ただし、未成年者等が法定代理人の同意を得て任意代理人を選任し、その代理人が手続をすることはできない。

(説明)
 特許法7条は「未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。」ものとしている。
 この規定の趣旨は、民法上特に未成年者については予め法定代理人の同意を得れば、自ら法律行為をすることができるものとしている(民法5条参照)のに対して、特許の手続は訴訟手続と同様複雑であってこれを未成年者が自ら行うことは事実上難しいという考慮から、民事訴訟法に依ってこのように規定したものである。
 したがって、法定代理人に支障があるような場合に、法定代理人が自己の名において復代理人を選任し、その者が手続をなしうることは問題ないが、更に法定代理人が未成年者等を代理して代理人を選任し、その者が手続をすることも排除する理由はないと考える。
 しかし、未成年者等はたとえ法定代理人の同意を得ても自分で手続をすることはできないのであるから、自ら任意代理人を選任してその者に手続をさせることもできないのは当然である。

意匠審査便覧42.47 (18.7.17)

2006-07-17 07:27:43 | Weblog
 意匠審査便覧42.47

 意匠登録出願前に公開した模様に基づいて意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする場合について

 意匠法4条2項の規定から、公開されたものはあくまでも意匠でなくてはならない(注)ことから、創作者の創作した意匠の一部として模様のみを公開した場合は、当該模様は、意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して、又は意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至つた意匠には該当しない。

(注)新規性喪失の例外の規定は、「意匠登録を受ける権利を有する者」の救済を目的とする規定であることから、意匠登録を受けることができない模様のみを公開した場合にまで、本規定を適用することは、創作した意匠を保護する意匠法本来の目的から認められない。

意匠審査便覧42.46 (18.7.16)

2006-07-16 13:24:01 | Weblog
 意匠審査便覧42.46

 相互に類似する公開意匠A、A’が同日又は異日に初めて公開されたものである場合において、それぞれの公開意匠と同一の意匠について意匠登録出願を意匠法4条2項の規定の適用を受ける手続と共に同日にした時に、「証明する書面」にはそれぞれの出願の意匠と同一の公開意匠しか記載されていなかった場合の取扱いについて

 両出願が、本意匠と関連意匠出願の関係にあるか否かにかかわらず、意匠登録出願の意匠Aについては、意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったものとみなすことができる公開意匠はAのみであり、同様に意匠登録出願の意匠A’については、公開意匠A’のみである。

 したがって、意匠登録出願の意匠Aは公開意匠A ’と類似し、又意匠登録出願の意匠A’は公開意匠A と類似することから、いずれも意匠法3条1項3号の意匠に該当し、拒絶となる。

 なお、意匠登録出願A及びA’の出願に当たり、それぞれ公開意匠A及びA’を「証明する書面」に記載し、意匠法4条2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り意匠登録出願の意匠A及びA’は登録される。(説明は、44.44を参照)

意匠審査便覧42.45 (18.7.16)

2006-07-16 13:20:31 | Weblog
 意匠審査便覧42.45

 意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする旨の書面を提出した意匠登録出願の意匠Aを「本意匠」とする関連意匠の意匠登録出願に係る意匠A’の登録要件判断における、意匠法4条3項の「証明する書面」によって示された公開意匠Aの取扱いについて

 関連意匠の意匠登録出願については、意匠法4条2項の規定を受けるための手続がされていないのであるから、公開意匠Aと類似する関連意匠の意匠登録出願の意匠A’は、意匠法3条1項3号の意匠に該当し、拒絶となる。

 なお、関連意匠の意匠登録出願A’の出願に当たり、公開意匠Aを「証明する書面」に記載し、意匠法4条2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り関連
意匠の意匠登録出願の意匠A’は登録される。(説明は、42.44を参照)

意匠審査便覧42.44 (18.7.16)

2006-07-16 13:16:57 | Weblog
意匠審査便覧42.44

 相互に類似する意匠A、A’が同時に初めて公開された場合において、公開意匠Aに基づいて意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願の「証明する書面」には公開意匠Aしか記載されていない場合の当該意匠登録出願に係る意匠の取扱いについて

 この場合、当該意匠登録出願において意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったものとみなすことができる公開意匠はAのみである。

 したがって、当該意匠登録出願された意匠は、意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至った公開意匠A’と類似する意匠であることから、意匠法3条1項3号の意匠に該当し、拒絶となる。

 なお、意匠登録出願Aの出願に当たり、公開意匠A及びA’を「証明する書面」に記載し、意匠法4条2項の規定の適用が認められれば、他に拒絶の理由がない限り意匠登録出願の意匠Aは登録される。

(説明)
 平成11年に改正された意匠法4条2項は、意匠登録出願前の公開意匠と当該意匠登録出願の意匠との同一又は類似を問わずに、「証明する書面」に記載された公開意匠が然るべき要件を満たしたときに意匠法3条1項又は2項の規定により拒絶されないよう明示的に規定したものである。

 しかるに、この規定の反射的効果として意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする公開意匠すべてにつき「証明する書面」に記載することが必要となったものである。

 さらに、①意匠の登録要件の一つである意匠法3条1項又は2項の例外規定である意匠法4条に、このような場合に対する特段の更なる例外規定が設けれられていないこと、②公開された相互に類似するそれぞれの意匠について意匠の新規性の喪失の例外規定の適用を申請し意匠登録出願することにより、関連意匠制度によってそれぞれの意匠権が独立して発生することから、上記のとおり取り扱うこととする。