堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

PCT2条(xi)優先日 18.7.2

2006-07-02 13:39:51 | Weblog
 PCT2条(xi)優先日

 優先日は、期間の計算のためにだけ使用されます。
 
 発明の新規性や進歩性の判断においては、優先日は基準日とはなりません。
 複数の優先権の主張を伴う場合には、優先日は1つに定まりますが、国際予備審査における新規性や進歩性の基準日はそれぞれ先の出願日となります。
 基準日については、規則64.1(b)に規定されています。

 (a)の規定により、国際出願が8条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日が優先日となります。
 この(a)の規定は、国際出願が優先権の主張を伴う場合であって、先の出願が1つのみである場合に適用されます。
 優先権が有効である必要はなく、優先権の主張がされている場合に、適用されます。
 受理官庁は、優先権の有効性を判断する時間的余裕がないからです。
 国際予備審査における基準日では、優先権が有効であるかどうかを判断することになります(規則64.1(b)())。
 
 (b)の規定により、国際出願が8条の規定による2以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日が優先日となります。
 この規定(b)は、国際出願が優先権の主張を伴う場合であって、先の出願が2以上ある場合に適用されます。
 優先日は、期間の計算のために用いるものですので、先の出願が複数ある場合には、1つに定めることが必要となります。
 すなわち、優先日はただ1つに定めなければならないといえます。
 この点、国際調査機関が行う書面による見解の作成や、国際予備審査機関が行う国際予備審査の基準日が優先権ごとに複数存在するのとは、異なる概念です。

 (c)の規定により、国際出願が8条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日が優先日となります。
 国際出願が優先権の主張を伴わない場合には、国際出願日を優先日とすることになります。

 規則64.1(b)の基準日と対比して理解しておくのがよいと思います。

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PCTの国際出願制度の概要(初心者用) 18.7.2

2006-07-02 11:25:42 | Weblog
PCTの国際出願制度の概要(初心者用)

★国際出願制度の趣旨
 自国において特許を取得する場合には、自国の国内官庁に特許出願をすれば足ります。
 しかし、外国において特許を取得する場合には、PCTが締結される前においては、各国ごとに定められた手続に従って特許出願をすることが必要でした。そのため、外国で特許を取得するための手続が複雑で手間の要するものでした。
 そこで、出願人の手続的な負担を軽減するため、PCTを締結し、国際出願制度を創設しました。
 国際出願制度は、所定の受理官庁に所定の言語で国際出願をすることにより、各指定国に同時に出願したのと同等の効果(出願日のみなし効果)を認めることにより、出願人の手続的な負担の軽減を図るものです。

★国際出願の出願人適格
 PCT締約国の居住者及び国民が、国際出願をすることができます(9条)。

★国際出願のあて先
 国際出願は、管轄受理官庁又は国際事務局にします(10条)。
 つまり、国際出願は1箇所にすればよいわけです。

★国際出願の言語
 国際出願の言語は、管轄受理官庁が認める言語で行います(3条(4))。
 わが国では、日本語と英語による国際出願を認めています。

★国際出願日の認定要件
 PCTにおいては、国際出願日が各指定国における実際の出願日とみなされますので(11条(3))、国際出願日が認められるために必要な要件が明記されています(11条(1))。

★国際出願の点検
 管轄受理官庁は、国際出願の方式的要件について点検します。その結果、不備のある場合は、出願人に補充をすることを求めます(14条)。

★国際調査
 国際出願は、管轄国際機関による国際調査の対象となります(15条(1))。
 国際調査は、先行技術の発見を目的として行われます(15条(2))
 国際調査機関は、国際調査の結果としての国際調査報告を作成します(18条)。
 国際調査機関は、発明の新規性や進歩性について書面による見解も作成します(規則43の2)。

★PCT19条補正
 国際調査報告を受け取った出願人は、請求の範囲について1回だけ国際段階の補正をすることができます(19条(1))。
 補正書は国際事務局に提出します(19条(1))。

★国際予備審査
 国際出願の出願人であって、国際予備審査の請求人適格を有する者は、必要に応じて管轄国際予備審査機関に国際予備審査を請求することができます(31条)。
 国際予備審査においては、発明の新規性や進歩性について判断します(33条)。
 国際予備審査機関は、国際予備審査の結果として、国際予備審査報告を作成します(35条)。
 国際予備審査報告は、国際事務局によって各選択国に送達されます(36条)。
 国際予備審査報告の送達を受けた選択国においては、国際予備審査報告を利用して国内の審査を行うことができます。

★国内移行手続
 国際出願をしただけでは、各指定国において特許を取得することはできません。各指定国において特許を取得するためには、さらに国内移行手続を各指定国ごとにしなければなりません(22条)。
 国内移行手続は、原則として、優先日から30月を経過するまでにしなければなりません。
 国内移行手続をしなかった指定国については、指定国における国内出願の取下げと同一の効果をもって消滅することになります(24条)。

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論文式試験のアドバイス 18.7.2

2006-07-02 06:38:22 | Weblog
論文式試験を受験される方へ

本日はいよいよ論文式試験です。

悔いが残らないように、自分の思うところを答案に書きまくってください。
必要かもしれないと思った項目(直接事項)は書いておくべきです。

問題文はあまり制限的に解釈しないことです。
問題文が大雑把なときは解答も大雑把になります。

事例問題の場合は場合分けはあまり要求されていないと考えてよいと思います。
条件付加型でとることができる措置を積極的に説明すべきです。
これを条件を満たす場合と満たさない場合に分けて書くのはきわめて効率の悪い答案となります。
要件を満たす場合を説明すれば、要件を満たさない場合は説明するまでもありません。
「場合分けバカ」と称される答案は書くべきではありません。

それから一般的な趣旨や定義を平気で書く答案は「趣旨バカ」や「定義バカ」と称されますが、事例問題では心証がとても悪くなります。
問題文に対応した具体的説明がとても重要です。

論文式試験をクリアすると次は口述式試験がまっています。
昨年は約50人が不合格となっています。
今年も同程度の不合格者が予想されます。
口述式試験の対策は、明日から開始することをお勧めします。
条文の読み込みがとても大事です。

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