堤卓の弁理士試験情報

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方式審査便覧15.20(却下-1) その2 (18.7.19)

2006-07-19 23:02:02 | Weblog
 方式審査便覧15.20(却下-1) その2

 不適法な出願書類等に係る手続の却下の取扱い

(5)原出願の出願人以外の者が、分割・変更に係る出願又は補正却下後の新出願をしたとき(代理権が確認できる代理人又はもとの出願の代理人による手続であって、出願書面作成時に誤記したことが明らかな場合を除く。)。
〔特44条1項(実11条1項により準用)、46条1項、2項、実10条1項、2項、意10条の2第1項、13条1項、2項、17条の3第1項(商17条の2第1項(商68条2項で準用)により準用)、商10条1項、11条1項、2項、3項、12条1項、65条1項、68条1項、昭和60年改正前特45条1項、同53条4項(昭和60年改正前実13条により準用)、平成10年改正前意10条の2第1項、11条1項、12条1項、2項、13条1項、2項、17条の3第1項〕

※コメント
 他人名義の出願を分割することなど通常は考えられませんが、出願公開がされた特許出願をみて、第三者が勝手に分割出願をすることはあり得るということです。
 この場合は、特44条1項違反として、特18条の2第1項により分割出願を却下することになります。

(6)分割・変更に係る出願又は補正却下後の新出願において、原出願が共同出願の場合で、原出願の出願人全員で行っていないとき(代理権が確認できる代理人又はもとの出願の代理人による手続であって、出願書面作成時に脱漏したことが明かな場合を除く。)。

※コメント
 もとの出願が甲と乙の共同出願である場合において、甲が単独で分割出願をした場合には、特44条1項柱書の要件を満たさず、特18条の2第1項の規定により分割出願が却下されることになります。
 特14条には、特許出願の分割は明記されていませんが、特14条とは直接の関係はありません。
 甲が単独で分割出願をした場合、分割出願の願書の出願人の欄を甲単独の名義から甲と乙の共同名義に補正することは、要旨の変更となります。
 また、分割出願について出願人名義変更届を提出して出願人が甲と乙の共同名義になったとしても、出願人名義変更届の効果は将来効ですので、分割出願時において甲と乙が共同出願人となるわけではありません。

(7)出願をすることができる期間が特許法、実用新案法、意匠法又は商標法により定められている場合において、その期間外に出願をしたとき。
 なお、商標法20条2項又は3項に規定する期間外に商標権の更新登録の申請をしたときも同様とする。
〔特44条1項(実11条1項により準用)、46条1項から4項まで、46条の2第1項、67条の2第3項、67条の2の2第2項、実10条1項、2項、5項、6項、意10条の2第1項、13条1項、2項、17条の3第1項(商17条の2第1項(同68条2項において準用する場合も含む。)により準用)、商10条1項、11条4項、12条2項、20条2項(平成8年改正法附則14条において準用する場合を含む。)、3項(平成8年改正法附則14条において準用する場合を含む。)、21条1項(平成8年改正法附則14条において準用する場合を含む。)、65条2項、65条の3第2項、3項、68条3項、昭和60年改正前特45条2項、4項、53条4項(昭和60年改正前実13条により準用)、平成10年改正前意10条の2第1項、11条1項、12条3項、13条1項、2項、17条の3第1項〕

※コメント
 特許出願の分割をすることができる時期ではない時期に特許出願の分割をした場合には、特44条1項各号違反であるとして、特18条の2により分割出願が却下されることになります。
 時期的違反も、分割の日にされた出願として扱われることはないということです。

方式審査便覧15.20(却下-1) その1 (18.7.19)

2006-07-19 18:27:54 | Weblog
 方式審査便覧15.20(却下-1) その1

 不適法な出願書類等に係る手続の却下の取扱い

 不適法な手続であって、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする(特18条の2第1項)。
 また、却下しようとするときは、その理由を通知し、弁明の機会を与えなければならない(特18条の2第2項)。

 不適法な出願書類等に係る手続の却下については、次のとおり取り扱う。

1.出願手続の却下
 願書及びその添付書類が、次に掲げる事項に該当する場合には、特許法18条の2第1項の規定により却下するものとする(商標法5条の2第1項の規定に該当するときは、同条2項の規定により補完をすべきことを命じ、指定された期間内にその補完をしないときは、同条第5項の規定により却下するものとする。)。

(共通事項)

(1)いずれの種類の出願であるか不明な出願をしたとき。
※コメント
 例えば、特許出願をするときに、【書類名】に「特許願」と記載しなかった場合がこれに該当します。しかし、電子出願ではあり得ないと思います。

(2)出願人の識別番号及び氏名(名称)のいずれも記載されていない書面をもって出願をしたとき(願書に添付された書面全体から特定できるときを除く。)。〔特36条1項1号、実5条1項1号、意6条1項1号、特例施規2条〕
※コメント
 出願人は、最終的には特許権者となる者ですので、氏名が記載されていないときは、却下されることになります。

(3)日本語で書かれていない書面をもって出願をしたとき(特許法36条の2第1項で規定するものを除く。)。〔特施規2条1項(実施規23条1項、意施規19条1項及び商施規22条1項により準用)〕
※コメント
 外国語書面出願をするときに、願書を英語で作成した場合には、外国語書面出願が却下されることになります。

(4)在外者(在外者と日本国内に住所(居所)を有する者が共同して出願をしたときを含む。)が日本国内に住所(居所)を有する代理人によらないで出願をしたとき。〔特8条1項(実2条の5第2項、意68条2項及び商77条2項において準用)〕
※コメント
 在外者が単独で特許出願した場合のみならず、共同出願人のうち1人でも在外者がいる場合に特許管理人によらないで特許出願をしたときも、却下されることになります。
 特8条違反は、特17条3項1号の適用から除外されていますので、特18条の2第1項の却下の対象となります。

方式審査便覧06.10(中間手続-3) (18.7.19)

2006-07-19 10:33:01 | Weblog
 方式審査便覧06.10(中間手続-3)

※コメント
 出願人名義変更届を提出したことにより、出願人が甲から乙に変更された場合であっても、拒絶理由の通知が甲にされることがあります。この場合は、文理上は、特許法20条により、当該拒絶理由の通知は承継人乙にも及ぶこととされています。しかし、甲が拒絶理由の通知を放置した場合には、乙の知らない間に拒絶査定がされてしまうことになります。これでは乙に酷となります。そこで、運用では、あらためて乙に対して拒絶理由の通知をすることとしています。きわめて妥当な取扱いだと思います。

★出願人名義変更の届出後に、拒絶理由通知又は査定の謄本が旧名義人あてに発送された場合の取扱い

 出願人名義変更の届出後に、拒絶理由通知又は査定の謄本が旧名義人あてに発送された場合は、無効通知の手続を行った後、承継人に対して再送する。
 ただし、承継人が旧名義人あてに行われた通知又は送達に対応する手続(拒絶理由通知に応答する意見書又は手続補正書の提出、拒絶査定不服審判の請求又は特許(登録)査定に対する特許(登録)料の納付)を行った場合は、上記に関わらず承継人に対して手続を続行する。

(説明)
 特許法21条には、「特許庁長官又は審判長は、特許庁に事件が係属している場合において、特許権その他特許に関する権利の移転があったときは、特許権その他特許に関する権利の承継人に対し、その事件に関する手続を続行することができる。」と規定し、出願人名義変更の届出の後における手続の追行について、旧名義人に行わせるかあるいは承継人に行わせるかを特許庁長官又は審判長の裁量権とし、旧名義人あてに行った手続は、それを理由に欠陥のある手続には当たらず、同法20条において、「特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する承継人にも及ぶものとする。」と規定して、旧名義人あてに行った手続であってもその効力は、承継人にも及ぶこととしている。

 また、出願人名義変更の届出後に旧名義人あてに行った手続効力に関する裁判例においても、「特許出願後、特許を受ける権利の特定承継は、特許庁長官への届出が効力発生要件であるが、出願審査の手続をこの承継人に引き継がせるか否かは立法政策の問題であり(いわゆる当事者恒定主義と訴訟承継主義の採否の如く)、特許法21条は、基本的に承継主義の立場を採用し、特許庁長官又は審判長は裁量により権利の承継人に手続を引き継がせるか否かを決定し得るものとしているのであるから、長官は権利の承継人に対して手続を続行せず、従前の権利者に対して特許査定を送達しても、この送達には何らの手続上の欠陥はなく、右送達により効力が生じ、その効力は承継人に及ぶことは明らかである。」(昭和62年5月7日東高民六判・昭和60年(行ケ)186号)のように判示している。

 しかしながら、出願人名義変更の届出後の手続は、その承継人に対して続行させる運用をとっており、手続者においても当然の如くこの運用に対応しているところ、旧名義人あてに行った手続が法的には有効であっても、旧名義人による怠りがあった場合における承継人が受ける不利益を考慮すると、承継人が了知し得ない状況で手続を進行させることは、承継人にとって極めて過酷な事態も想定される。

 したがって、本文のとおり取り扱うこととする。

方式審査便覧05.11(中間手続-8) (18.7.19)

2006-07-19 10:04:21 | Weblog
 方式審査便覧05.11(中間手続-8)

※コメント
  手続が中断している期間中に手続がされた場合の特許庁の取扱いを規定しています。
  中断期間中にされた手続が当然に無効になるものではないとしています。
  相手方が争わないときは、中断期間中にされた手続であっても、有効なものとするようです。

★中断又は中止中に行われた手続の取扱い

 受継又は続行の申立者がその申立て(名義変更届により受継の申立てをなす場合も含む。以下同じ。)の時点において、中断又は中止中に当事者又は当庁が行った手続(以下「中断中の手続」という。)の効力について争わないときは、中断中の手続の無効又は取消を主張することは認めないこととする。

(説明)
 当事者の死亡、合併、更生決定等により当事者の手続は中断する(特24条で準用する民訴法124条(1項6号を除く。)、会社更生法53条参照)。
 そして、中断した手続は当事者の承継人においてこれを受け継ぐことができ、承継人からの受継の申立によって中断は解消して、手続の進行が再開されることになる。
 次に、中断中の手続は欠陥あるものとなるが、そもそも、手続の中断は本来公益的なものではなく、当事者の保護に立脚した制度であることにかんがみれば中断中になされた行為は、当然に無効となるものではないと解すべきである。
 したがって、承継人又は管財人があえてその欠陥についてとがめることなく、そのまま手続行為をつみ重ねたときは、その欠陥は補正されたものとみるべきである(参考-民訴法90条)。
 なお、中止についても同様と解する。