ノクターナル・アニマルズ

■「ノクターナル・アニマルズ／Nocturnal Animals」（２０１６年・アメリカ）

●２０１６年ヴェネチア国際映画祭　審査員大賞
●２０１６年ゴールデングローブ賞　助演男優賞

監督＝トム・フォード
主演＝エイミー・アダムス　ジェイク・ギレンホール　マイケル・シャノン　アーロン・テイラー・ジョンソン

ファッションデザイナーであるトム・フォードが、
「シングルマン」に続いて撮った監督第２作目。

芸術家として活躍する主人公スーザン。
裕福な夫とのハイソな生活だが、心は冷え切っていた。
そんな彼女に元夫から小説の原稿が送られてくる。
「君とのことをヒントに書いた。感想を聞かせて欲しい」との手紙を添えて。

映画は、現実の虚しい人間関係と、
小説に書かれたとんでもなくダークなアメリカ南部の物語、
そして前夫との過去を織り込んでいく。

前作のスタイリッシュな印象はいくつかの場面に見られるものの、
小説に描かれたバイオレンスと救いのない展開に、
映画を見終えてどよーんとした気持ちになる。

ラストは一切台詞を排除して、
夫が残酷な小説に込めた真意が何なのかを明確に語られないまま映画は終わる。

深読みしてみる面白さはあるし、随所に巧い演出もあるのだが、
とにかく後味が悪いので結局は好き好きかな。
「シングルマン」のイメージで観ると痛い目に遭うぞ。

『ノクターナル・アニマルズ』予告




　

彼は秘密の女ともだち

■「彼は秘密の女ともだち／Une Nouvelle Amie」（２０１４年・フランス）

監督＝フランソワ・オゾン
主演＝ロマン・デュリス　アナイス・ドゥムースティエ　ラファエル・ペルソナーズ

フランソワ・オゾン監督作「彼は秘密の女ともだち」鑑賞。
親友を失った女性クレールは、友人の夫デビッドと娘を支えていくと葬儀で誓う。
ところがデビッドには誰にも明かしていない秘密があった。

性の多様性を描いた映画は数あれど、
自身ゲイであるオゾン監督だからこそできた優しい目線。
女性としての気持ちが覚醒していくデビッドと、
彼に関わることでだんだん美しく変わっていく主人公が魅力的。
映像もファッションも主人公の気持ちがアガることでカラフルになっていく。

人は見つめ、見つめられることで気持ちや行動が変わっていく。
そして生きていく上でかけがえのない存在は理解者。

フランス映画じゃなければセックスコメディにされちゃいそうな題材が、
素敵な人間ドラマに仕上がっている。
観ているこっちも前向きな気持ちにさせてくれる。
これは映画館で観たかったなぁ･･･。

亡くなった親友の旦那が女装!?映画『彼は秘密の女ともだち』予告編

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