Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

図書館戦争

2013-05-12 | 映画(た行)

■「図書館戦争/Library Wars」(2013年・日本)

監督=佐藤信介
主演=岡田准一 榮倉奈々 田中圭 福士蒼汰 栗山千明

有川浩の人気小説シリーズを実写映画化した意欲作。原作は僕も好きで、ミリタリー色の濃いハードな一面と、主人公のでっかい乙女笠原郁が騒動を巻き起こすコミカルな面が同居して、娯楽小説としてとても楽しんでいる。しかし、原作に思い入れがある映画ってハズレだった過去が多々あるだけに、今回の映画化も期待していいのか、中途半端な娯楽作になっちゃってるのではないか、個人的には正直不安だった。でも、僕の生息地である北九州市で大がかりなロケが行われたこともあり、これは観ておかねば・・・と劇場へ。

結論。これはこれでアリでしょ。2時間の尺に収めた割には原作の本筋も曲げられず、主要なエピソードはほぼ網羅。しかも原作のシリーズ第1作のクライマックスにあたる大がかりな良化隊との戦闘エピソードが、実写だからさすがに盛り上がる。しかもその舞台が、地元の見慣れた風景(北九州市立美術館)なんだから地元民は嫌でもテンションがあがる。映画はミリタリー色がさらに濃くなり、コミカルな部分は少なめ。その分だけ原作よりも派手で、正義感に満ちた、真摯な映画に仕上がっている。あまりのアツさに「海猿」を観ているような錯覚に陥るが。

そして心に残るのは、”本を守る=思想・表現の自由を守る”ことの大切さと、ろくな議論もせずに「メディア良化法」という化け物を成立させてしまう人々の愚かさ。法を遵守するあまりに”焚書”や”検閲”が行われる醜い世界が描かれる。一方、僕らがスクリーンのこっち側の現実世界では、2010年には有害なコミックなどを規制する目的の東京都の条例改正が、漫画家を巻き込む論議を呼んだり、アニメ関係のイベント開催に影響が出たり、騒動になったこともあったっけ。あの条例が「メディア良化法」だとは言わないまでも、僕らはこの物語で描かれる「正化」時代のような世の中にしてはならない。良化隊を徹底して悪として描き、石坂浩二扮する稲嶺司令に「こんな世界にしてしてしまってすまない」と言わしめる演出。有川浩が原作で訴えたかったメッセージは、きちんと描かれている。これなら原作派の鑑賞者にも不満はないだろう。

個人的にはキャスティングがいい。主人公笠原郁が演じられそうな大柄な若手女優と言えば、榮倉奈々の他に僕も思いつかなかった。映画本編でも”でっかい乙女”としてコミカルな部分を一人で引き受ける。堂上教官の岡田准一も適任だろう。岡田准一は、ブルース・リーが既存の拳法を発展させた截拳道(ジークンドー)のインストラクター資格をもつ。誘拐された稲嶺司令と郁を救う為に戦うクライマックスでみせるカンフーアクション。どうせ暗闇でドンパチするだけの場面だろうと思っていた僕は、本格的なカンフーアクションに心躍ってしまう。郁の同僚柴崎役は原作のイメージ通りの栗山千明。主要キャラはバッチリかな。そして読書を愛した故児玉清がこんな形で出演するなんて・・・感涙。

Production I.G.が手掛けたアニメ版も今見直しているが、こっちはコミカルな部分が楽しい。「焚書」のエピソードで「これは予言書なんだ。」とレイ・ブラッドベリの「華氏451」が出てくるエピソードに感激。




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