goo blog サービス終了のお知らせ 

Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ヤングマスター/師弟出馬

2025-07-09 | 映画(や行)


◾️「ヤングマスター/師弟出馬/師弟出馬」(1980年・香港)

監督=ジャッキー・チェン
主演=ジャッキー・チェン ウェイ・ペイ ユン・ピョウ キー・シエン

ジャッキーがロー・ウェイのプロダクションから、レイモンド・チョウのゴールデンハーベスト社に移籍後最初の作品で、監督と武術指導も兼ねた意欲作。

それまでの「酔拳」「笑拳」もコミックカンフー路線ではあるが、最後はきちんと復讐劇となり、新しい魅力と共に従来のカンフー映画の"型"には一応収まっていた。本作「ヤングマスター」はコミックカンフー路線をさらに進化させており、武術や身体能力の高さを見せつけつつもきちんと笑いがとれる作品に仕上げているところが、従来の型からはみ出した作品になっている。

"型破り"は型を知った上で成し遂げるもの。ジャッキーも型のあるカンフー映画の基礎があるからこうした作品が生まれたのだ。ろくに経験もないくせに「オレ、型破りっすから!」と好き勝手に振る舞う新入社員にイラついたら、こう言ってやってください。
「ジャッキーみたいに型にハマった仕事を知ってから型は破るもんだ。お前みたいなのは"型なし"って言うんだよ」

話を戻しますw。
浮浪者に化けて銀行を襲う悪党を叩きのめす場面はその最たるもので、カンフー、アクロバティックでコミカルなアクションの面白さがある。格闘を見守る街の人々だけでなく、画面のこっち側にいる観客もワクワクさせてくれる。

そこには中国武術伝統の五獣の拳などの"型"が全面に出されことはなく、カンフーのバリエーションを楽しませる映画ではない。ジャッキーと兄弟子タイガーが使う白扇、ユン・ピョウが使う椅子、リリー・リーのロングスカートなど小道具がうまく使われていて、むしろアイディア勝負のアクションシーンになっている。それらはそれぞれのキャラクターを印象づける役割も果たしている。

そして映画冒頭に登場する獅子舞対決も面白い。伝統とアクション演出の中で、さらに兄弟子の裏切りを織り込んで、改めて観ても手際がいい。初公開当時このシーンについて、ジャッキーはミュージカルと撮ってもイケるるんでは?との感想を見た。その意見わかる気がする。

しかしながら、初期ジャッキー主演作の中では僕はそれほど好きな映画ではない。ストーリーの物足りなさがどうしてもあるからだ。兄弟子タイガーを連れ戻す本流のストーリーが、あっち行きこっち行きして当のタイガーが何を考えているのか全く見えてこない。

また、従来のカンフー映画とは違って、主人公とラスボスとの間に様々な因縁や怒り恨みが背景にあるラストの対決ではない。単に逃げ出した悪党を捕まえるそれだけの動機で、どう見ても格上の相手にヘロヘロになりながら立ち向かうジャッキーは、決して勇ましいとは思えない。長い長い対決シーン終盤、覚醒したジャッキーが殴られても蹴られてもまったく怯まずに向かってくるのは、むしろ観ていて怖くなった💦。立ち上がって向かってくるロッキー・バルボアに、アポロが信じられない表情をする場面を何故か思い出すw

タイガーが戻ってめでたしめでたしの結末もそれでいいのかと思うけれど、純粋にアクションを楽しめればよし。「燃えよドラゴン」悪役シー・キエンの登場はちょっと嬉しい。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする