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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

レミニセンス

2021-09-17 | 映画(ら行)


◼️「レミニセンス/Reminiscence」(2021年・アメリカ)

監督=リサ・ジョイ
主演=ヒュー・ジャックマン レベッカ・ファーガソン タンディ・ニュートン クリフ・カーティス

温暖化で海水面が上昇し、多くの陸地が水没。昼間は高温で活動できないので、人類は夜行性になっている…という世界。70年代からダークな未来観のSF映画をあれこれ観て育ったけれど、こういう未来を映画で示されても、なくはないよな、と思ってしまう今日この頃である。

夢に潜入して事件に挑むお話…と聞いていたし、クリストファー・ノーラン弟の製作なので、「インセプション」を期待していた。されど主人公が依頼を受けて事件の為に記憶をのぞき見るのはそれ程長い尺でもなく、彼が執着してしまった女性を他人の記憶の中でただひたすらに追い続ける物語。現実と記憶の映像が入り乱れるのだけど、「TENET」のように時間軸が絡み合うこともなく、「インセプション」のように複雑な多重構造でもない。主人公は危険も冒すけれども、装置を通じて映し出される記憶の映像から真実を見出そうとする物語。

キャッチコピーにある「潜入」めいた話ではない。原題は「回想」の意味だもの。他人の記憶の中を行き来して、バーチャルイメージの中で大活躍めいたことをすると期待してはいけない。見どころはその女性を取り憑かれたように追い続けるヒュー・ジャックマンの狂いっぷり。しかしそれは他人の記憶を再生して見ているだけでしかない切なさ。これは究極のすれ違いラブストーリーだ。

楽しかった記憶にすがって生きたり、装置で追体験を繰り返したりする人間の欲望はよくわかる。この思い出があれば生きていける…って気持ちは誰にでもあること。そこは共感する。「ストレンジ・デイズ」のレイフ・ファインズが、麻薬のように愛の記憶に溺れていたのも思い出させる。人は何かにすがって生きていくもの。

あなたがレベッカ・ファーガソン目当てなら、この映画損はない。



コメント (2)
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